いつもの鶏肉で作れる!韓国鍋「タッカンマリ」
年の瀬が近づいてくると無性に恋しくなるお鍋料理。今回、芸人ボルサリーノ関好江さんに作っていただくのは、韓国の鍋料理「タッカンマリ」です。ざっくり刻んで煮るだけで、鶏肉の旨みがたっぷり!酢醤油とからし、薬味、そして自作できる韓国調味料「タテギ」をお好みで混ぜたたれをからめて食べるのがたまらない、心もからだもじんわり温まる一品をぜひ。
タッカンマリ
材料(2〜3人前)
作り方
- 1. むね肉ともも肉はぶつ切り、手羽先は骨の間に切れ目を入れる。しょうがを厚めにスライスする。
- 2. 鍋に【スープ】の材料、鶏肉を入れ、沸騰したらアクをとり、ふたをして弱火にし15〜20分煮る。
- 3. 2に厚めにスライスしたじゃがいも、大きめのくし切りにした玉ねぎ、ざく切りのキャベツ、しめじを加えて10分煮る。
- 4. 5センチ幅に切って縦半分にしたねぎを加え、さらに5分ほど煮る。
- 5. 【タテギ】の材料を混ぜ、4に添える。器に酢醤油とスープにマスタードを溶いたもの、タテギ、刻んだニラと玉ねぎを入れ、具材をつけていただく。
鶏むね・もも・手羽先で作る「鶏一羽」の鍋料理
温かい料理から立ちのぼる白い湯気の姿を見ているとうれしくなる季節がやってきました。今回関さんに紹介してもらうのは、今の時期にぴったりの韓国鍋「タッカンマリ」。
「『タッカンマリ』というのは韓国語で『鶏一羽』の意味なんですよ。本場や韓国料理のお店では、鶏一羽がまるごと煮込まれているんだけど、家で作るときには、普段スーパーで見かける鶏もも肉、むね肉、手羽先があれば大丈夫!」と関さん。
「クリスマス前はスーパーに丸鶏が売られていることが多いから、それを使って作るのもいいと思います。クリスマスにこの鍋を出したら、みんなに『違うだろ』ってツッコまれたんですけど(笑)。」
下ごしらえはまず、鶏肉をカットするところから始めます。鶏むね肉ともも肉は、ぶつ切りに。
「大きさはお好みで。鶏むね肉はゴロンとしているのが好きだから私は大きめにしちゃう!」と関さん。
手羽先は、下の写真のように骨と骨の間に切れ目を入れます。
「これは、食べやすくするために入れる切れ目です。キッチンバサミがない場合は包丁で入れれば大丈夫。道具はなんでも、使いやすいものでOKです!」
手羽先に切れ目を入れながらふと話題は名古屋名物、手羽先揚げの話に。
「名古屋といえば揚げた手羽先が有名だけど、私はあれをすごくきれいに食べられます(笑)。二口でスパッと骨が取れるの。ふふっ。名古屋の人だから(笑)。」
すごい!
水からじっくり弱火で煮ていく
ところで「韓国の水炊き」とも言われているタッカンマリ。水炊きとは素材を水で煮るお鍋料理のこと。まずは鶏肉をじっくり煮詰めていきます。
鶏が入った鍋に水を注いだら…
にんにくと厚めにスライスしたしょうが、ねぎの青い部分、酒、塩、こしょうを入れます。
沸騰したらアクを取り除いて…
そのあとは弱火で15分から20分ほど、ぐつぐつと。
その間に野菜を切ります。玉ねぎのうち4分の3は、鍋の具材用で大きめのくし切りに。残り4分の1は薬味として使います。
と、ここで「あっ、切り方を間違っちゃったかも!いや大丈夫かな」と自問自答ののち「今日は刻んじゃおう」と粗めのみじん切りを始めた関さん。
「薬味として使う玉ねぎは、粗みじん切りにしても、スライスしてもどっちでもOKです。刻んだら、鍋の具材にからまる感じになって、スライスすると、鍋の具材にのっけて一緒に食べる感じになります。お好みで!」
刻み終わったら刻んだニラとあわせておきます。
じゃがいもは厚めにスライス。キャベツも大きめのざく切りにします。
「キャベツのかわりに白菜を入れてもおいしいんですよ。」
野菜、そしてしめじをぎゅっと鍋に入れたら、さらに10分煮込みます。
「きのこは価格が安定していていいですよね。」
10分後。今度はねぎを入れて、さらにまた5分。ねぎは5センチ幅に切って縦半分にしたものです。
ここまでくれば、もうまもなく完成。仕上げに鍋に添える韓国調味料「タテギ」を手作りします。
材料は韓国唐辛子、ごま油、みりん、おろしにんにくとしょうが。以前タッカンマリを食べに行ったとき、お店の方に教えてもらった配合がベースになっているのだそう。
「お店や人によってタテギのレシピは違っていて、いろんな味があるらしいです。ちなみにここで使うにんにくとしょうがはチューブのものでも大丈夫なんですが、唐辛子は必ず韓国の唐辛子を使ってほしいです。韓国の唐辛子はそんなに辛くなくて、まろやかで、日本のものとは別物なんです。同量の国産一味唐辛子を入れちゃうのは危険だと思います。すごく辛いからお腹が大変なことになる…!」
日本のお鍋との一番の違いは「たれ」の配合にあり
そうこうしているうちにタッカンマリが完成しました。
ちなみに筆者は、この日がタッカンマリ初体験。立ち込める湯気にうっとりしながら、さっそく実食です。
すると「食べるときにはまず、小皿にお酢と醤油を入れて、そこにマスタードを溶くんです」と関さん。
えっ!マスタード…!??
マスタードのあの、つんとした強い刺激が脳裏に浮かんで一瞬ひゅんと心がひるんだのですが、「私も最初は衝撃でした(笑)。でも、マスタードは結構いっぱい入れるのがおいしいです!」という関さんの力強い言葉を聞き、これはもう、躊躇している場合じゃないわと、気持ち多めにマスタードを絞って、箸で溶きました。
タテギも小さめのスプーン一杯ほど入れて…
お好みの量の薬味も入れ、鍋から具材をすくいあげ、たれとからめていざ口の中へ。
わ!これは!一体なにが起こっているんだ…!
不思議なほどにマスタードの辛さも、タテギの辛さも強く響いてきません。こんなにも辛い要素をたっぷり盛り込んでいるわりに、刺激がさわやかで晴々しい。
お酢の酸味で後味もすっきり。このすっぱ辛さを思う存分味わいたくて、くったり煮込まれたお鍋の具たちに、際限なく箸を伸ばしてしまう。いまだかつてこんな風な味わいをまとった鶏肉を、野菜を、私は食べたことがない。
そして、衝撃的な味わいのたれを抜きにしても、そもそもまず、鶏肉のうまみがぎゅっとあふれたスープと、そのエキスがしみしみになった野菜たちが滋味深くてたまらないことにも気づきました。〆にうどんとかを入れて煮込んだらおいしいんだろうなぁと、うどんを入れる前から確信できる味。お腹も気持ちもぽかぽかです。
「これは本当に鶏肉をたっぷり味わうための鍋。たれの辛さが気になる場合には、スープで薄めながら食べるといいと思います」と関さん。
「ちなみにタテギは、作ったあと少し時間をおいたほうが味が馴染みます。残った分は取っておいて、鍋以外の用途に使うのもおすすめです。うどんに入れても、お野菜を漬けるのに使っても、お豆腐にのっけてもおいしい!」
あたたかいものの温度が、いつにも増して心身に染み渡ることこそが冬の醍醐味。ほかほかのお鍋をたっぷり食べて、新しい年までのあと少しの時間を、健やかに駆け抜けていけますように。関さんのタッカンマリは、これからの季節の大いなる味方です。