トマト冷や汁
芸人ボルサリーノ関好江さんに料理を作ってもらいながら、おいしさのポイントなどを伺う本連載。今回のメニューは、サッと作れてスルッと食べられる「トマト冷や汁」。サバ水煮缶をまるごと使って作る、薬味とうまみたっぷりの一品です。豪快で楽しげなトマトの調理法にもぜひ注目ください。
トマト冷や汁
材料(2人分)
作り方
- 1. きゅうりは輪切りにして塩もみする。みょうが、⼤葉は細切りに。オクラは板ずりして輪切りにする。
- 2. トマトにフォークを刺してあぶり、⽔につけ⽪をむいて、⼿でちぎる。
- 3. サバ⽸を汁ごとボウルに⼊れ、☆を加えて混ぜる。
- 4. 3に⽔と1,2を加えて混ぜる。
- 5. 器に盛り、温かいごはんにかけてお好みで⼩⼝ねぎやすりごまをかけていただく。
大好きな野菜は一切れでも多く食べたい
暑い時期、ちょっと食欲がない……という時にもうれしい冷汁。関さん流はサバの水煮缶と夏野菜がもりもりな具だくさんの一品です。
「後輩で、『ごはんを食べるという行為に魅力を感じない』『仙豆があればいい』っていう子がいるんだけど、なぜか『冷や汁はおいしい!』って言っていました(笑)」と関さん。
まずは材料を切るところからスタート。きゅうりは細かく刻んで塩もみに。少し置いたあと、水分をきゅっと絞ります。
その他の野菜も刻んでいきます。オクラは、表面の産毛を取り除き、口当たりをなめらかにするため、板ずりを。
塩をまな板に広げ、オクラをゴロゴロ転がしてから水洗いをして、輪切りにします。
「オクラ、大好きなんです。一切れでも、1ミリでも多く食べたい(笑)。ほんっとにおいしい!」とオクラへの愛を叫びながら刻んでいく関さん。
「オクラ以外に好きな野菜はありますか?」と質問したところ、「みょうが!」との力強い回答が。そんなみょうがもざくざく、細切りにしていきます。
「スーパーで売っているみょうがは大体3本ずつ入っているから、レシピは『みょうが3本』としたのだけど、好きな人はもっと入れても大丈夫!」
「みょうがって生え方もおもしろいですよね。地面からにゅって生えてくるあの感じ。おもしろいといえば、落花生の実のつき方もすごい。あれは衝撃的!」
「そういえば。前に沖縄でいかにも生命力が強そうな葉っぱを買ったらすごくおいしくて、食べ尽くしたあとの茎を植えておいたら、ちゃんと育ったことがありました。『ハンダマ』っていう、つるむらさきのような色をした野菜です。別名『金時草』とも言うみたい。」
食物の育成にまつわるトークで盛り上がっているうちに、大葉も含め、包丁で切る必要のある野菜たちの下準備があっという間に終わりました。
トマトは火であぶって皮をむき、手でちぎる
次はトマトの調理。
「トマトの皮をむく時には、湯むきをすることが多いと思うんですけど、1個の場合は火であぶるのがおすすめです」と関さん。
「お湯を沸かさずに皮がむけるから楽ちんなんです。しかもキャンプみたいで楽しい(笑)。IHだとできない方法ではあるんですけども……。」
まずはトマトにフォークをしっかり刺して……
火であぶっていると、徐々に皮がはじけてきます。少し焦げ目がついても構いません。
まんべんなくトマト全体を焼き終わったら、水につけて皮をむきます。
「キンキンに冷えたお水じゃなくても大丈夫です!」
壮観!あっというまにスルリとむけました。
ところで、これまでの連載のなかで、にんじんや大根、ごぼうの皮をむかずに刻んでいくことが多かった関さん。「皮をむいている関さん、なんだか新鮮です」と伝えたところ……
「そうだ!私、皮むかない派だった!」との一言が。
「トマトもね、気にならない人はむかなくても大丈夫。でも皮をむくと、味の馴染みがグンとよくなるし、食感もなめらかになるんです。」
むいたトマトは、ガシッとつかんで手でちぎっていくスタイルです。豪快!
「こうした方が、トマトのうまみ成分が冷や汁に放出されやすくなって、おいしくなると思ったんです。あとね、トマトを手でちぎれば、『包丁を使わないレシピになる!』って思ったんだけど……他の材料で使うんですよね(笑)。野菜も薬味もめっちゃ刻む(笑)。でもトマトを切らないだけもちょっと楽になるし、なによりこの動作自体がとっても楽しいんです。」
サバ缶はそのままでも崩してもお好みで
材料の下準備を終えたら、あとはボウルで混ぜていくのみ。まずはサバの水煮缶を入れ、おろししょうが、味噌、すりごま、だしの素を混ぜ合わせます。
「サバ缶はほぐさずにそのままゴロっとした食感を楽しんでも良いし、崩しても良いし、お好みで!味噌煮缶を使っても良いのだけど、その場合は入れるお味噌の量を調整してください。ちなみに今日使っているお味噌はこうじ味噌です。このレシピに関しては、赤味噌だとちょっと味が強いかもしれません。」
野菜たちを全部ボウルに入れたら、お水を入れ……
混ぜ合わせたら、温かいごはんの上にのせて完成です!
見えてなくてもトマトの存在がわかる
ちらちら見える夏野菜と薬味たち。緑色とうすい赤色は、食卓に涼を運んでくれる色なんだなぁとしみじみしながら、清涼感たっぷりの姿に見惚れつつ……
お好みで小口ねぎや白すりごまをかけていただきます。
「うん!おいしい。オクラのネバネバが思った以上にありますね。このオクラはいいオクラだ!」とオクラを大絶賛の関さん。
食べてみたところ……たしかにこれはオクラのネバネバが効いている!そしてトマトの存在感も強い。姿が見えなくても、トマトがいるっていうことが味で認識できるのです。冷や汁の隅から隅までトマトが行き渡っていて、サバ缶のエキスと相まってたっぷりのうまみが押し寄せてきます。そんな中、時折やってくるきゅうりの歯ごたえと、ぴりっと効いてくる薬味たち。
このままでも十分おいしいのだけど、薬味好きとしてはみょうがと大葉をもっと入れるのもアリかなぁと思ってしまう。楽しい計画が膨らみまくりです。
「冷や汁は意外といろんなことができる汁。そうめんと合わせても、冷たい味噌汁としてそのまま飲んでもおいしいです。」
「お野菜も、何を入れても結構おいしいんじゃないかなぁと思います。固い野菜は、塩もみをしてから入れれば大丈夫!」
じめじめとした梅雨の時期にも、これからやってくる暑い夏にも。食欲がなくなりがちな人はもちろん、特段季節にお腹の具合を左右されないよっていう人も、心と体に優しい味わいの冷や汁をぜひ、食卓に。作る工程込みでたっぷり満喫してほしいです。