
双松桃子さんの「関西人が作る本気のお好み焼き」を作る
料理研究家リュウジさんとゲストがお互いのレシピをトレードし、料理をしながら語り合う本連載。今回のゲストは、「モテ料理研究家」の双松桃子さんです。双松さんは3年前からリュウジさんのアシスタントを務め、リュウジさんのレシピは500以上も作ってきているのだとか。
今回、リュウジさんが作る双松さんのレシピは「関西人が作る本気のお好み焼き」。定番のソースとマヨネーズではなく、「めんつゆレモン」と「トマトチーズソース」で食べるお好み焼き、はたしてそのお味とは…?
弟子のレシピを師匠が作る今回のレシピトレード、リュウジさんいわく「料理研究家になりたい人の参考になる回」です!
関西人が作る本気のお好み焼き
材料(2人分)
作り⽅
- 1. ボウルに山芋をすりおろし、小⻨粉、めんつゆ、卵を入れ混ぜ合わせる。
- 2. ねぎを小口切り、キャベツとこんにゃくを粗いみじん切りにする。1に加え、優しく空気を入れるようにふんわりと混ぜる。
- 3. ホットプレートに豚肉を敷いて、その上に3をおたま1杯程の大きさで焼く。
- 4. トマトをダイスカットし、お好み焼きソース大さじ4を混ぜる。ピザ用チーズを加えて混ぜ、食べる直前にラップせずにレンジで1分半加熱。お好み焼きにかけ、青のりをふる。
- 5. レモンを切っておく。お好み焼きにレモンをしぼり、めんつゆをかける。お好み焼きにレモンのスライスを飾る。
弟子になって3年。「もう料理研究家を名乗ってもいい」

桃子はWebメディアの仕事ってしたことある?

メインで取り上げていただくのは今回が初めてです。

きっとこれから増えるよ。僕も今年、ようやく「桃子を売りだそう」って決心がついたし。長いこと僕のアシスタントとして修行してきたから、もうプロの料理研究家を名乗ってもいいと思う。

弟子になってから3年かかりました…!

桃子はもともと、料理の実力はあるんですよ。ただ、料理研究家って説得力が大事だから、「なぜこれを入れるとおいしくなるのか」を自分の言葉で言えないとダメ。桃子はそこの説明がまだちょっと足りないんだよね。

リュウジさん、説得力ありますもんね。

でも、桃子も最近は認知されるようになってきたんじゃない?レシピ本の話も来てるみたいだし。

おめでとうございます!レシピ本のテーマは決まっているんですか?

私は「モテ料理研究家」を名乗っているので、レシピ本のテーマも「モテる料理」です!

僕は桃子が「モテ料理研究家」を名乗ることに納得いってないんだけどね。なんでかたくなにモテようとするのよ。

いいじゃないですか!(笑)

双松さんは最初から「モテ料理研究家」を名乗っているんですか?

いえ、最初はコンセプトがブレまくってました。「独身一人酒」とか「ズボラ女」とか、いろんなキャラを試してみて、たどり着いたのが「モテ料理研究家」です。

そこにたどり着くまで、かなり迷走してたよね。

まぁ、「モテる料理」もコンセプトとしてはアリだけどね。「モテる料理」って自分のために作る料理じゃなくて誰かのために作る料理だから、それはそれで需要があると思う。

リュウジさん、師匠というよりプロデューサー目線ですね。

桃子は弟子だけど、料理についてはそれほど教えることはないんです。もともとできる人だから。だから僕は桃子に「料理研究家としての自分の見せ方」を教えてる。今回のレシピトレード、料理研究家になりたい人にとっては参考になるかもね。
料理研究家として説得力を持たせるには?

じゃあ、まずはお好み焼きの生地を作っていきます。山芋をすりおろしてください。

山芋なの?長芋じゃなくて?

えーと、山芋かな…?どっちでもいいんですけど。

どっちかにしようよ(笑)。

じゃあ山芋です。

僕は特異体質で、山芋を素手で触ってもかゆくならないんだよね。皆さんは山芋をすりおろすときは、手袋とかしたほうがいいですよ。
山芋のすりおろしに、小⻨粉、めんつゆ、卵を混ぜ合わせる

この生地、小麦粉がめっちゃ少ないね。

はい。粉が少ないからこそ、ふわっとした軽い食感になるんです。お酒を飲むとき、ずっしりした重いお好み焼きは食べられないけど、これなら軽いから食べられます。

糖質を抑えられるからいいね。

次はキャベツを粗みじんにしてください。

お好み焼きのキャベツって人によっては千切りだったりしますけど、みじん切りの理由はあるんですか?

えっと…なんだろう?生まれ育った家庭がみじん切りだったからかな…?

切り方一つでも、聞かれる前にさらっと理由を説明できるようにしておいたほうがいい。「なんでこの切り方なのか」を説明するのとしないのとでは、レシピの印象がぜんぜん違うのよ。

勉強になります…!

次はねぎを小口切りにしてください。

お好み焼きにねぎなんか入れたっけ?

入れるとおいしいですよ。

そこももっと、説得力のある言い方をしなきゃ。さっき、小麦粉が少ない理由を「粉が少ないとふわっと軽くなるから」って説明したでしょ。あんなふうにすべての工程の理由を説明できるようにしたほうが、料理研究家としての説得力が増すよ。

はい!

こんにゃくを粗いみじん切りにしてください。

お好み焼きにこんにゃくを入れるなんて聞いたことない。

私の地元では入ってるんですよ。

桃子の地元って大阪のどこだっけ?

藤井寺ってところです。藤井寺では、お店のお好み焼きにもこんにゃくが入っています。こんにゃくを入れることで、食べごたえがアップするんですよ。
みじん切りにしたキャベツ・ねぎ・こんにゃくを生地に入れ、優しく空気を入れるようにふんわりと混ぜる

最初は粉が少なくてビックリしたけど、他の具材を入れたらなんかいい感じになったね。

そうなんです。ふわっとしてるし、めんつゆが入ってるから生地そのものがおいしいんですよ。
モテレシピのポイントは「めんつゆレモン」と「トマトチーズソース」

生地の準備ができたので、お好み焼きにかけるソースの準備をしていきます。今回は、「めんつゆレモン」と「トマトチーズソース」の2種類です。

トマトをダイスカットして、お好み焼きソース大さじ4とチーズを加えて混ぜます。

トマトとチーズだけならまだわかるけど、お好み焼きソース入れるの?信じがたいわ。でも、お好み焼きソースってケチャップが入ってるから、成分的にはそこまでおかしくないのかな…。

混ぜたら、そのまま置いておきます。これを食べる直前にレンジで温めて、お好み焼きにかけるんです。

次は、「めんつゆレモン」のレモンをカットしてください。お好み焼きの上にしぼる用と、のせる用の薄切りです。

はいはい。このお好み焼き、超簡単だな。面倒な工程って山芋をすりおろすくらいで、あとはあっという間だね。
豚肉はUの字?弟子の天然発言にリュウジさんがツッコミ
ホットプレートを熱し、豚肉を焼く

では、豚肉をUの字にのせてください。

えっ?Uの字って?

豚肉2枚をこうやって…。

いやいやいや、「丸くなるように並べてください」でよくない!?レシピ本に「Uの字」なんて書かれたら読者が混乱しちゃうよ!

そっか(笑)、たしかにそうですね。

豚肉の上に、生地をおたま1杯分のせてください。生地がゆるいので、おたま1杯でちょうどいい大きさになります。

やっぱり粉が少ないから生地が柔らかいね。

強火にすると中まで火が通る前に焦げちゃうので、中火くらいでじっくり火を通してください。裏にちゃんと焼き目がついたら、ひっくり返すタイミングです。

お好み焼きをひっくり返すのって腕の見せどころだよね。僕、かなりうまいよ。よっ…!

さすが!

さっき準備しておいたトマトチーズソースを、ラップせずにレンジで1分半チンします。

トマトチーズソースで食べるのは実家でもやってたの?

いえ、私のオリジナルです。今回、リュウジさんに「ソースとマヨネーズじゃ普通すぎる」って言われるかなと思って…。料理研究家っぽいレシピを持ってきました!

大丈夫?ソースとマヨネーズに勝てる?

じっくり火を通して、と…。まだ焼いてる途中だけど、先に乾杯しようか。


乾杯!

じゃあ、トマトチーズソースをかけますか。これ、見た目がカレーみたいだな。うまそう。

見た目が洋風になって華やかですよね。

「めんつゆレモン」のほうは、めんつゆをまんべんなくかけて、そこにレモンをたっぷりしぼってください。

すごい、こんな食べ方があるんだ!

上にレモンの薄切りを飾ったら完成です!

さすがモテ料理研究家、お好み焼きと思えないほど見た目が映えるな~!
育てるために、あえて突き放したことも

今日は二日酔いだから、さっぱりしてそうな「めんつゆレモン」から食べようかな。これ、香りがめちゃくちゃいいね。いただきます。

(不安そうに)…どうですか?

…めちゃくちゃうまい!いや、これはちょっとビックリしたわ。想像を超えてきた。二日酔いのコンディションでも何枚でもいける。お好み焼きにレモンって合うんだね。これ、つまみになるわ。

よかったぁ。

こんにゃくも最初はあまり存在を感じなかったけど、食べてるといい仕事してるのがわかるわ。食べごたえあるけどさっぱりしてるし、小麦粉も少ないし、もはやダイエット食じゃない?

リュウジさんに褒められるとすごく嬉しい!

じゃあ、トマトチーズソースのほうも食べてみよう。いただきます。…こっちもめっちゃうまいわ。マヨじゃなくて大丈夫かなと思ったけど、チーズがマヨネーズの役割を果たしてるね。やっぱり桃子って料理うまいんだな。

はい(笑)。

弟子だから褒めてるわけじゃないよ。僕はダメだったらダメってはっきり言うからね。でも、このお好み焼きはどっちも超うまい。ホームパーティーとかでやったら絶対ウケる。

モテ料理ですから(笑)。

たしかに、これはモテ料理と言っても過言じゃない。もう大丈夫だわ、桃子は。料理研究家として一人立ちできる。僕が保証する。

双松さんはどういう経緯でリュウジさんに弟子入りしたんですか?

もともと芸能活動をしていたんですけど、昔から料理が好きだったので、料理を仕事にしたいなと思って…。料理研究家という職業があることを知って、SNSからリュウジさんにDMを送りました。

DMを見たとき、最初はいたずらかなにかだと思ったの(笑)。だけど文章がすごく真剣で、「無償でもいいからアシスタントさせてください」って書いてあって…。無償はよくないから、「ちゃんとお金払って雇うのでアシスタントとして来てください」って返信しました。

それで、撮影のお手伝いをさせてもらったのが最初です。

その撮影を終えて、「なんで料理研究家になりたいの?」って聞いたら、「女優がダメだったから料理研究家に…」みたいなこと言うのよ。それはさすがに信念がなさすぎでしょ。だから「そういうことじゃなくて、レシピを誰に届けたいの?」っていう話をして。正直、最初は薄っぺらい奴だと思った。だけど熱意はあったから、それからもアシスタントとして仕事してもらうようになったんです。

料理研究家の現場を知って、自分の甘さに気づきました。

それから、桃子には僕のすべてのレシピ本のアシスタントをやってもらってます。だから、桃子は僕の料理を一通り作れる。500レシピは作ってるかな。

たくさん勉強させてもらいました。

途中で「料理研究家はそんなに甘くないよ」というのを教えるフェーズに入って、あえて突き放したこともありましたね。できるだけ手を貸さずに、「SNSで自分の力だけで発信してごらん」って。

突き放されたときは辛かったですね。一人でやってたら正解がわからなくて不安だし…。だけど愛ゆえの試練なのはわかってたから、一人でも発信を続けました。

そう、僕が突き放しても桃子はめげなかったんですよ。コンセプトがブレたりはしたけど、レシピを発信しつづけたんです。むしろ更新頻度はどんどん上がった。僕はそれをずっと見ていたから、「これだけの根性があれば大丈夫だ」と思いました。

がんばって続けてよかった~!

そういう経緯があって、ようやく最近「桃子を本格的にプッシュしよう」と思うようになりました。でも、僕がどんなにプッシュしても、桃子の実力がともなっていなければ評価されないじゃないですか。その点、今の桃子なら絶対に世間から評価されるはず。

そう言ってもらえるまでに3年かかりました(笑)。

弟子を育てるって簡単なことじゃない。僕が桃子に仕事を取ってきてあげることもできたけど、それじゃあ桃子が成長できない。桃子が一人立ちできるタイミングを見計らってたんだよ。万が一、僕が不祥事で消えたりしても、桃子はこの業界で生き残れるように。

消えないでください(笑)。でも、リュウジさんと出会って人生が変わりました。今、仕事が本当に楽しいです!
「宗像祭2023」で双松桃子さんとお好み焼きを作ろう!
福岡県宗像市で開催される「宗像祭2023」のアイスム食体験ワークショップにて、双松桃子さんにお好み焼き作りを教わるワークショップを実施します!
日時:2023年11月5日(日)14:00〜
場所:宗像ユリックス サーキットトレーニングコース
詳細は「宗像祭2023」WEBサイトをご覧ください。