台湾焼きそば名古屋⾵

ボルサリーノ関好江の笑食同源おしゃべりごはん #16

FOOD
2021.07.30

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芸人ボルサリーノ関好江さんに料理を作ってもらいながら、おいしさのポイントなどを伺う本連載。今回のレシピは、名前に二つも地名が入っている「台湾焼きそば名古屋風」。名古屋の食文化を、関さん流にアレンジした、夏のエネルギーチャージにぴったりの一皿です。


材料(2人分)

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  • 焼きそば麺…2袋 

  • 豚ひき⾁…150g
  • ニラ…3本
  • 長ねぎ…1/2本
  • にんにく…1⽚
  • しょうが…1⽚
  • 卵…2個
  • 調味料
  • 酒…⼤さじ1
  • オイスターソース…⼤さじ1
  • しょうゆ…⼤さじ1
  • みりん… ⼤さじ1
  • 砂糖…⼤さじ1/2
  • 鶏ガラスープの素…⼩さじ1

  • 鷹の⽖…1/2〜1本
  • 豆板醤 …⼩さじ1

  • 塩、こしょう…少々
  • ごま油…適量 
  • ⽷唐⾟⼦…お好みで

作り方

1. 焼きそば麺を電子レンジで1分ほど加熱する。調味料は合わせておく。
2. フライパンにごま油をひき、刻んだにんにく、しょうが、ねぎを炒め、⾹りがたったら豆板醤を加えて炒める。
3. 豚ひき⾁を加え、⽕が通ったら⼀旦取り出す。
4. 同じフライパンに少しごま油を加え、1の麺を加えて加熱し、ほぐしたら3と3cm程度
に切ったニラを加えて混ぜ、調味料を加えて炒め、塩こしょうで味を整える。
5. 4を真ん中にまとめ(⼜は1⼈分ずつスキレットなどに取り分け)、周りに溶き卵を流し入れて半熟になったら、⽷唐⾟⼦をのせて完成。

名古屋生まれの「台湾」を関さん流にアレンジ

どうやって生まれたの?と問いかけたくなるような、摩訶不思議なメニューが数多く存在する名古屋めし。そのひとつに数えられるのが、名古屋生まれだけれども「台湾」の名を冠した「台湾ラーメン」です。

「台湾にはないらしいからね」とにっこり関さん。

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「名古屋の『味仙(みせん)』という台湾料理店の店主が、台湾の台仔(たんつー)麺を激辛にアレンジした麺料理を『台湾ラーメン』と名付けて出したことがきっかけで、そこから広がったと言われています。」

いろいろなお店で台湾ラーメンが食べられるようになった今でも、味仙の台湾ラーメンはやっぱり格別で、名古屋に帰省した際などに立ち寄るという関さん。

「味仙の台湾ラーメンは、ただ辛いだけじゃなくて、しっかり旨味も感じられるんです。」

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たっぷりの唐辛子やにんにくで炒めた豚ひき肉、ニラなどをのせるが特徴

最近では、ラーメンだけでなく、カレーやもつ鍋など、さまざまなアレンジメニューも登場しているといいます。

「最初は台湾ラーメンだけだったんですが、『台湾まぜそば』が誕生したことで、『ラーメン以外もアリなんだ!』という流れが生まれたみたいです。ピリ辛の肉そぼろをのせたら、台湾〇〇と呼んでいいだろう……っていう感じで、今いろいろあるの。」

今回紹介するのは、そんな独自文化をアレンジした「台湾焼きそば名古屋風」。

「ピリ辛肉そぼろが何にでもよく合うので、焼きそばに合わせたらいいんじゃないかと思ったんです。それで勝手に作ってみたんですけど、この前テレビで、本場名古屋にも、台湾焼きそばを出しているお店があると知りまして。えっ!あるの!?って思いました(笑)。昔はなかったんです。」

とはいえ、作り方はそれぞれに異なる台湾焼きそば。関さん流・台湾焼きそばの特徴は、焼きそばをぐるりと囲う溶き卵。

「名古屋の『鉄板イタリアン』の雰囲気を取り入れてみました。」

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名古屋生まれのものを組み合わせた生粋の名古屋風ごはん、早速作っていきましょう。

塩でもソースでもない焼きそば

まずは、しょうが、にんにく、ねぎをみじん切りにするところからスタート。ねぎは、青い部分も白い部分もざくざく切り刻んでいきます。

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このタイミングでニラも3cm幅に刻んじゃいましょう。

さらに、焼きそばも電子レンジで1分ほどあたためておき、調味料もあらかじめ混ぜ合わせておくと、調理がスムーズです。

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酒、オイスターソース、みりん、しょうゆ、砂糖、鶏ガラスープの素……

「塩焼きそばとソース焼きそばの間にあるような味を作ろうと思ったんです」と関さん。その言葉のとおり、どちらにも似ていて、でもどちらとも違う味を楽しめるのが、この料理の大きなポイントです。

炒め始めたら、あっという間に出来上がる

さらには、素早く出来上がるのもこのメニューの大きなポイント。先にしておいた下準備のおかげで、フライパンを火にかけ始めたあとは、かなりスピーディーに料理が出来上がっていきます。

まずは肉そぼろ作りから。ねぎ、にんにく、しょうがを炒め合わせて……

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香りがたちこめてきたら、刻んだ鷹の爪と豆板醤を投入。

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「炒めることで辛味が増して香りも出るので、このタイミングで入れています」と関さん。

「逆に辛味を抑えたい場合は、先に調味料に混ぜておくといいかもしれません。辛いのが苦手な方やお子さんが食べる場合は、入れなくても大丈夫です。」

豚ひき肉も加え、さらに炒め合わせます。

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あっというまに仕上がっていく肉そぼろから、炒めた香味野菜ならではの刺激的な香りが立ち込めてきて、この時点でとってもおいしそう。

火が通ったら、一旦フライパンから取り出しておき……

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今度は、そのまま同じフライパンを使って、麺を炒めていきます。ごま油をひいたら、電子レンジで温めておいた焼きそばをドン!

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肉そぼろをのせ……

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ニラと先ほど混ぜておいた調味料を投入。勢いよく混ぜ合わせていきます。

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混ぜ終えたら、真ん中に寄せ、周りに溶き卵を流し入れ……

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できました!

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撮影では、スキレットに1人前分を盛り付けています。こうすると、レストランや居酒屋のような仕上がりになるので、ほんのり外食気分も味わえるかも……!

名古屋でありアジアでもある

さて実食。食欲が減退しがちな暑い時期でも、もりもり食べたくなってしまうじゃないか!と言わんばかりの力強い香りに、思わずにこにこしてしまいます。

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「かなり辛味が効いているかもしれません。さっき、口元に持っていったあたりでふわあって辛い香りがしました」と関さん。

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筆者(辛党)も食べてみたところ……カレーも麻婆豆腐も何もかも辛口を選びがちな辛党にとっては、もっと辛くても対応可能な程よい辛さ。ただ辛いだけじゃなく、各所から集まってきた旨味たちと相まって、味に奥行きを作り出しているのが心地よいです。

なんせ肉そぼろがいい。とってもいい。そりゃあ名古屋の方たち、何にでもかけたくなるよなぁと唸るしかない。

「このピリ辛肉そぼろ、これさえあれば、なんでもできる!という感じがあるんですよね。ごはんにのっけても、パンに挟んでもおいしいですし、担々麺にしても、チャーハンに混ぜてもおいしいです。」

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汎用性、ものすごく高い!作り置きにも向いていそうです。

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それにしても。うまいと辛いが交互に押し寄せるなか、アジアのビールと合わせたいなぁという思いも押し寄せてきてしまいました。ちょっと薄めのスカッとしたビール。

台湾にはないメニューだと聞いていても、台湾に行きたくなってきてしまう。それだけじゃなく、タイにも、バリにも、中国にも行きたくなってきてしまいました………ってそれ、単に旅行に行きたいだけなのだろうか。いや、それだけじゃないはず。思い出のなかのアジア旅行の延長線上にこの焼きそばの味があるような気がしたのです。

家でごはんを食べながら、異国に思いを馳せられるのって、いい。

少しでも、ここじゃないどこかの空気を感じたいと思った時にはぜひ、トライしてみてほしい料理です。もちろん、シンプルにただ食べたいという時にも!

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取材・文・イラスト:ネッシーあやこ
撮影:美坂広宣(SHAKTI)
フードスタイリング:松井あゆこ(Smile meal)