樋口直哉さんに教わる、最高においしいわかめの食べ方
料理研究家の樋口直哉さんに教わる、「いつもの食材を最高においしく食べる」企画も第6回目です。今回のテーマは、わかめ。味噌汁か酢の物ぐらいにしか使っていない…という人も多いのでは。樋口さん流の使い方をぜひ参考にしてください。
今回の食材:わかめ
わかめを含め、海藻を料理するのは大好きなんです。というのも日常的な使われ方は限定されやすいので、自分なりに工夫して新たなレシピ開拓の余地が豊富にあるから。海藻は全般的に細胞の層が薄く、加熱しすぎると食感が悪くなりがち。今回は「わかめのしゃぶしゃぶ」にしました。旬のきゅうりを使った緑酢だれでいただきましょう。
わかめに関するポイント
一般的なわかめは「塩蔵」タイプと「乾燥」タイプがあり、塩蔵のものは水で戻すと約3倍になり、乾燥わかめは約10倍になります。この違いはしっかり覚えておきましょう。それぞれおすすめの食べ方は違います。今回のしゃぶしゃぶは塩蔵タイプを使用。
乾燥わかめはそのまま味噌汁に入れるのもいいですが、小さく砕いて、ごはんを蒸らすときに混ぜてわかめごはんにするのがおすすめです。
さあ、それでは作っていきましょう。
わかめのしゃぶしゃぶ 緑酢だれ
材料(2人分)
作り方
- 1. わかめの塩気を落とすため、ボウルに水(分量外)を入れてわかめを洗う。水を替えて2~3度くり返す。
- 2. 軽く水切りしたわかめをまな板の上で広げ、太い茎の部分を切り取る。柔らかい葉の部分は5~6㎝長さに切り、茎の部分は食べやすい大きさに切る。
- 3. 玉ねぎは皮をむき、輪切りにする。サーモンは7~8㎜幅に切る。
樋口さんポイント
海藻類には総じてグリーン系の香りがあります。サーモンも同様の香り成分を持つため、その相性の良さから組み合わせました。玉ねぎはシャキッとした食感がわかめといいコントラストになります。玉ねぎはなるたけ薄切り、わかめと薄さを合わせるとよりおいしい。スライサーがあると便利です!
- 4. 鍋に水、酒、塩を入れて沸かしておく。
樋口さんポイント
- 5. 緑酢だれを作る。レンジ可の容器にみりんを入れて、500Wで20秒加熱してアルコールを飛ばしたら、薄口醤油と米酢に合わせ、すりおろしたきゅうりとわさびを加えて全体をよく混ぜる。
樋口さんポイント
わかめとサーモンに共通する青い香りは、きゅうりにも豊富です。だからこのしゃぶしゃぶと緑酢だれの相性は最高。しかし酢を入れることで、きゅうりの緑色は時間が経つにつれ変色するので、作り置きには向きません。食べる直前に作り、その都度使い切ってください。
食べ方
沸いた湯にわかめを2~3回しゃぶしゃぶさせて、たれにつけていただきます。玉ねぎやサーモンも同様に。わかめとサーモン、わかめと玉ねぎを一緒に食べるのもおすすめ。もちろん、すべて一緒にでも!
「野菜はレタスやにんじんの千切りを加えてもおいしいですよ。サラダにする野菜だったらなんでもしゃぶしゃぶにできます。」(樋口さん)
樋口さんおすすめ調理道具
おろしがね
いろいろなおろしがねがありますが、ある程度の大きさがないと使いにくい。最低でも10㎝×10㎝ぐらいはあったほうがいいですね。
僕は大矢製作所のものを愛用しており、サイズ「4番」を使っています(22.5㎝×13.0cm)。職人さんがひと目ずつ手で刃を起こしていて、刃の向きが不均一になっている。だから一方向におろしていても水が出にくく、ふわっとおいしい仕上がりになります。きゅうりでも大根おろしでも、これでおろすと味が全然違いますよ。
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わかめのしゃぶしゃぶは以前に食べたことがありましたけれど、おろしたきゅうりのたれで、サーモンや玉ねぎと一緒に食べるおいしさは初体験。味と香りの相乗効果に驚きました…!夏のごちそう鍋として、また食欲がないときの一品としてもぴったりの味わい。みなさん、ぜひお試しください。