ブロッコリーの塩炒め/ブロッコリーとしらすのパスタ/スティックブロッコリーの肉巻き
旬の食材を使った「五感をひらくレシピ」を、自炊料理家の山口祐加さんに教えてもらいます。第九回のテーマは、「ブロッコリー」。ブロッコリーといえば「茹でる」のが定番ですが、山口さんおすすめの調理法は「焼く」だそう!ブロッコリーの新しい魅力を知るレシピ三種、ぜひ試してみてください!
料理初心者に限らず、野菜を使いきれないという相談をよく受ける。冷蔵庫でシワシワになってしまった根菜、うなだれた葉物、カサカサの生姜……。こうなる前に上手に使い切るには、(もちろんそもそも買い過ぎないというのは前提だが、)「その野菜のいろんな調理法を知っておく」と良い。
「使いきれない」という話を詳しく聞いてみると、白菜は鍋やスープ、トマトはサラダ、小松菜は煮物など、定番のものしか作っていない印象がある。でも白菜はまるごと焼いたりサラダにしたり、トマトは炒め物にしたり味噌汁に入れたり、小松菜はサラダに、など、試したことがないだけでおいしく食べられる方法が実はたくさんある。いつもとちょっと違うことをする元気とおおらかさがあれば、いつだって野菜の新しい顔に出会える。
これから旬に入っていくブロッコリーも「茹でてマヨネーズ」が大定番の食べ方だけれど、「焼きブロッコリー」のおいしさがもっと知られてもいいなと常々思っている。
野菜を茹でるという調理法は、案外むずかしい。どれくらいのお湯の量で茹でるのか、塩は入れるのか入れないのか、何秒、何分茹でるのか、湯上げしたら水で冷ますのかそのままか。ざっと書いただけでも判断しなければならないことが多い。
私でも料理しながら「茹でるのってむずかしい…」と思うことは多い(だからこそ、おもしろいということでもあるのだが)。
その点「焼く」という調理法の場合、油をひいて、食べられる硬さになるまで焼けば良い。注意するのは火加減くらいだ。
簡単な上に、ちょっと焦げたところのおいしさまでおまけでついてくる。
今回は「焼きブロッコリー」の魅力をお届けする3つのレシピをご紹介したい。
ブロッコリーは花蕾(からい)というつぼみが集合したところを食べる野菜。
選ぶときは、花蕾が固く締まっていて、緑色が濃いものを選ぶのが良い。左側はスティックセニョールと呼ばれる、のっぽなスティックブロッコリー。茎のコリコリ感が好きな人は、見つけたらぜひ買ってみてほしい。
ブロッコリーを切るとき、花蕾のところがポロポロと崩れてしまって、まな板の上に蕾がたくさん散らばった経験はないだろうか?
ブロッコリーを気持ちよく切るには、ちょっとコツがいる。
まず太い茎のところを切る。次に、小さな森を解体していくイメージで、根元のところを切る。これだけだと一口サイズには大きすぎるので、また茎のギリギリのところまで包丁を入れて、手で裂く。そうすると花蕾が崩れずきれいに切れる。
全て切ったら、全量火を入れてしまうのがおすすめ。塩だけのシンプルな味付けにしておけば、スープの具やサラダのトッピングとして使える。
ブロッコリーの塩炒め
カットしたブロッコリーを全てフライパンに入れ、ニンニクチューブ1cm、水大さじ1、油大さじ2を入れる。蓋をして中火で6分焼きながら、2分おきに混ぜ合わせる。
途中で蓋を開けながら、ちりちりと焼けていくブロッコリーの音に耳をすませる。触りすぎないことで、きれいに焼き目がつく。焼くだけだから、難しいことを考えず、作業に集中できて気持ちいい。
6分ほど経てば火は通っているので、あとはお好みの具合で仕上げる。柔らかくしたい場合、ちょっと水を足して蒸し焼きのようにする。最後に塩ひとつまみをふって完成だ。
これ以上ないほどシンプルな料理。
穂先のほわほわした食感と、コリっと音がする茎の食感。茹でるよりも味が濃く感じられて、やっぱり私はこの味が好きだなと再確認した。
ブロッコリーとしらすのパスタ
ブロッコリーの塩炒めを活用した、「ぐずぐずソース」を作ってみたい。南イタリア・プーリア地方でよく食べられているパスタで、原型をとどめないほど、ブロッコリーをぐずぐずにつぶすのが特徴。
まず焼きブロッコリーを柔らかくするために、レンジで2分加熱する。その後、フライパンに水50ml、ブロッコリーを入れて5〜6分弱火で炒め、木ベラなどでブロッコリーをつぶしていく。
木ベラから伝わってくるコリコリとした触感をつぶす作業が遊びのようで楽しい。半分ほどつぶしてもいいし、全てつぶしてしまっても良い。この辺りはお好みで。
そこへしらすを入れてパスタソースの完成。
別の鍋に1Lの湯を沸かし、小さじ2の塩を加え、パスタ100gを袋の表示通りに茹でる。フライパンのソースの中に茹で上がったパスタ、茹で汁大さじ2を入れ、全体を混ぜて味を見る。
細かくつぶされている分、見た目以上にブロッコリーの力強い香りが口いっぱいに広がる。
しらすの穏やかな旨味とも相性抜群。しらすをベーコン類に変えても良いし、クリームソースにしてもいい。
いつものブロッコリーと違う食べ方を試してみたい人に、ぜひ作ってみてほしい。
スティックブロッコリーの肉巻き
長い野菜をみると、ついつい肉巻きにしたくなる。やる前はちょっとめんどうな気もするけれど、黙々と作業に没頭すると頭がすっきりする。
スティックブロッコリーは茎の長さが魅力なので、肉巻きにぴったりだ。
塩胡椒した豚バラに小麦粉をパラパラとふりかけ、スティックブロッコリー1本に対して1枚ほど豚バラを巻きつけていく。
フライパンに敷き詰め、油はひかずに弱火で8分ほどゆっくりと焼く。2分おきにひっくり返しながら様子を見て、最後に強めの中火にしてお好みの具合で焼き目をつける。
お好みで最後に塩を振るか、醤油で仕上げてもおいしい。
カリカリの豚バラと焦げたブロッコリーの穂先、歯ごたえがよく次々に頬張ってしまう。そしてビールがぐいぐい進む。
作る前にイメージしていた通りの仕上がりで、うまく「着地」できるとやっぱり嬉しいなと思った。
おまけ:ブロッコリーの芯のザーサイ風
ブロッコリーの芯を捨てていたあなた!芯を使うためにブロッコリーを買ってきてしまうほどおいしい簡単レシピがあるので、今日からはどうか捨てないでほしい。
ブロッコリーは厚めに皮を剥き、薄切りにする。水100mL、醤油大さじ2、ごま油小さじ1のタレに浸けておくだけ。
タレが染み込んだ生の芯はパリパリとしていて、まるでザーサイのよう。つまみ食いのつもりが、全部食べてしまう人が続出、チャーハンの付け合わせにもぴったりの一皿だ。
焼きブロッコリーの魅力はまだまだ引き出せる。これから旬を迎えて、立派なブロッコリーが出回る時期。旬になると値段も下がるので、焼きブロッコリーをたっぷりと味わってほしい。
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— アイスム編集部 (@ism_desk) November 30, 2020
旬の食材を使った「五感をひらくレシピ」を、自炊料理家の山口祐加さん @yucca88 に教えてもらう連載。
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