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はじまりの季節、春にぴったりの“開運飯”「うのはなサラダ」

ボルサリーノ関好江の笑食同源おしゃべりごはん #36

FOOD
2023.03.31

芸人ボルサリーノ関好江さんに料理を作ってもらいながら、おいしさのポイントなどを伺う本連載。今回は、春まっさかりの今の時期にぴったりな「うのはなサラダ」。読者の方からのリクエストを受けて「開運飯」をテーマに作っていただきました。「おから、好きです!」という人はもちろん、「おからを煮物でしか食べたことがない」「そもそもおからを食べたことがない」「味の想像がまったくつかない」という方にも、ぜひ試してみてほしい一品です。

うのはなサラダ


材料(作りやすい量)

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  • おから…150g
  • 乾燥ひじき…小さじ1(3gくらい)
  • にんじん…1/3本
  • 菜の花…1/3束
  • 玉ねぎ…1/4 個
  • ゆで卵…1個
  • ツナ缶…1缶
  • アンチョビ…3〜4切れ
  • オリーブオイル…大さじ1 
  • レモン汁…大さじ1 
  • 醤油…小さじ1
  • マヨネーズ…大さじ3
  • 塩こしょう…少々

作り方

1. おからをフライパンでから炒りして、あら熱をとる。ひじきを水で戻し、熱湯をかけて水けをきる。
2. 菜の花はさっと茹でて、三等分くらいに切る。にんじんは細切りにしてさっと茹でる。玉ねぎはスライスして水にさらす。
3. ボウルに1と2、ゆで卵、ツナ缶と刻んだアンチョビを加え、調味料と和える。
  • 菜の花を茹でたお鍋でにんじんも茹で、その鍋の湯をひじきにかけると効率的!(詳しくは記事本文をご参照ください。)

開運飯は、自分も含めた「誰かのためのごはん」

今回のメニューは、おからと今が旬の菜の花をはじめ、たくさんの食材をたっぷり混ぜ合わせた「うのはなサラダ」。「開運飯」をテーマに作ってもらいました。

「開運飯」とは、中国に古くから伝わる“五行説”や薬膳、日本の民間伝承などをもとに作られた、関さん独自の開運を目指したごはんのこと。メニューごとにさまざまな意味合いが込められていて、「食べると運気が上がる!」と芸人仲間からも好評です。

「開運飯と名付けてはいるけれど、基本的には、昔からずっと言われてきている、おばあちゃんの知恵のようなことを言っている感じです。『旬のものをバランスよく取りましょう』とかね。それから、私の作る開運飯のベースにあるのは『食べる人のことを考えて食事を作ること』だと思っています。

古代中国には、国や皇帝が健やかであるための食事を作る『食医』という位の方がいたそうです。そのことから薬膳の思想の基本は『その人のことを考えて食事を作ること』だと考えられます。

でもそれは、古代の中国に限った話じゃなくて、現代でごはん作りを担っている人たちも同じなんじゃないかな。家庭などでごはん作りを担っている方々はきっと、みんなが元気でいられますようにって考えながら、ごはんを作っているんだと思うんです。

たとえば体調が悪そうだからおかゆを作ろうかなとか、誕生日だから好きなものを作ろうとか。それはもちろん自分自身のためでもいい。自分も含めた『誰かのためのごはん』、それが“開運飯”なんじゃないかなと思っています。」

春のスーパーはうれしい

「今回は、春なので心機一転、なにかを始めるときに良いメニューにしようと思って、それでおからを使うことにしました。おからは『空(から)』という意味合いがあります。それゆえ寄席では客席が空になることを彷彿とさせるから、縁起が悪くて使われなかったりもするんですが、一方で『リスタート』の意味があるんですよ。加えて白はスタートの色。白い食材はものごとの始まりに食べると勢いがつくと言われているんです」と関さん。

「それから『春の皿には苦味を盛れ』と言われているので、苦味のある春野菜、菜の花も添えました。苦味は、冬の間にたまったものを排出してくれると昔から言われているんです。私、いつもそういううんちくばかり言っているから、『特攻服の背中に、刺繍でも入れるの?』って言われるんですけども(笑)。」

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一方で、「細かい説明を抜きにしても苦味がある春野菜がすごく好き!」という関さん。

「春に旬をむかえるものって特に、スーパーに並び始めると『きた〜!』ってなりますよね。春のスーパーはうれしい。旬のものは一番のラッキーフードです。」

お湯は何度も沸かさないで流用するとラク!

まずは野菜をカットするところからスタート。玉ねぎは薄くスライスして、水にさらしておきます。なお、このタイミングで乾燥ひじきも、別途水に浸しておくのがおすすめなのですが、詳細は後ほど説明します。

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新玉ねぎを使う場合は、さらさなくても大丈夫

にんじんは細切りに。皮はむいてもむかなくてもOKです。関さんはむかない派。

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鍋でお湯を沸かしたら、お塩(分量外)をひとつまみ入れ、菜の花を入れます。

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菜の花は、一番かたい茎の部分から入れていくのがポイント

茹で時間は短めでOK。火が通ったら、鍋から取り出して…

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ここからがポイント。

さっき細切りにしておいたにんじんを、菜の花を茹でたお湯にサッと投入して、少しだけ茹でます。

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そして、水に浸しておいたひじきの水けを切り、その上にジャーッとお湯を注ぎます。

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ひじきにお湯を注ぐと、戻す時間を短縮できる!

一回お湯を沸かしただけで、菜の花、にんじん、ひじきの3品の下ごしらえが一気に進められるという時短テクニック。

「何度もお湯を沸かしたくないから、ついいろんなものに流用してしまうんです(笑)。」

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お湯を注いだあとは、にんじんもひじきも、余熱であたためる程度でOK

関さんとおからとの出合いはレース鳩の漫画

野菜の準備が終わったら、少し置いておいて、その間におからをフライパンで炒っていきます。

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油はひかなくてOK!

「おからといえば、この前ラジオ番組に呼んでいただいたときに、『今年のラッキーフードはおからです!』って言ったら、『おから…?』って若いパーソナリティの方を困惑させてしまいました(笑)」と関さん。

関さんがおからにはじめて出合ったのは、小学生のときだったそう。

「当時、少年チャンピオンで連載されていた漫画『レース鳩0777』で、元気がない鳩に主人公がおからを食べさせる一幕があって、そこではじめておからを認識しました。

で、そのあとたまたまスーパーでおからの入ったお惣菜を見かけて、『鳩が食べてたやつだ!』ってなって、祖母にねだって買ってもらいました(笑)。でも、お惣菜だったから、漫画から想像していたのとは違う味がして。以来大人になるまでは、おからの記憶は自分の中から消えていました(笑)。」

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一時はおからから遠ざかっていたものの、大人になってからはコンスタントにおからと接しているとのこと。

「おからは煮物以外にもいろいろ使えるんですよ。お酢を混ぜて酢飯っぽくして、ごはんの替わりにおいなりさんに詰めてもおいしいです。口の水分はすごく持ってかれちゃうんですけどね(笑)。」

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数分炒ると、おからの水分は徐々になくなっていき、ぱらぱらっとした質感に。そうなったら火を止めて、あら熱が取れるまで冷ましておきます。

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冷ましている間に、さっきお湯をかけたにんじんとひじきの水けをぎゅっと絞ります。

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そのほかの食材も水けを切って、菜の花は三等分くらいにカットして、アンチョビも小さく刻み、一つのボウルの中にどさっと投入していきます。ツナ缶は油を適度に切ってから。ゆで卵は切らなくても、そのまま入れて、木べらなどで思いっきりつぶせば大丈夫。

つるんとした卵に、力いっぱいぐーっと木べらを差し込む様子は、なんだかスカッとしそう!気持ちがよさそうです。

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「大きめのボウルを用意するのがおすすめです!今私が使っているボウルはぎりぎりのところでがんばっているけど(笑)。」

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オリーブオイル、レモン汁、醤油、マヨネーズ、塩こしょうも加えて、まんべんなく混ざったら完成!

「オリーブオイルを入れると、おからのパサリとした感じが和らぐんです。」

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おからとアンチョビは合う!

まっさらな白をベースに、緑、オレンジ、黒、黄色などが散りばめられたサラダは、春の風景をぎゅっと閉じ込めたような色合い!さっそくいただきましょう。

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まずは関さんから。

「普段はきゅうりを入れて作ることが多いんですが、菜の花、合いますね!ちなみに夏の時期だったら、ゴーヤなどを入れてもおいしいんですよ。」

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『春の皿には苦味を盛れ』自分で盛った春の皿の苦味に大満足の関さん

続いて筆者も食べてみたところ、ほんとうだ!菜の花の風味がキリッと効いていて、しっかり苦い!だけどその苦味には優しさがあって、心身までじーんと癒されていくような感じがします。

そして卵やツナが食材の仲を取り持つように、いろんなところにちょっとずつ紛れていて、おいしさを底上げしてくれている!世の中には、一品の食材で成立する料理がたくさんある一方で、いろいろな食材が集合したからこそだせる味もあって、このサラダは間違いなく後者の味。レモンの酸味や、アンチョビのがつんとした旨み。みんながいたからこそこの味になるんだなぁと感じます。

アンチョビをどう使おうか悩んで、使い切るのに四苦八苦していたのだけど、こうやって使えばいいのか…おからとアンチョビって合う!というのも新発見でした。リスタートの意味を持つおからに、気持ちを新たにさせてもらっちゃいました。

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「…今こうしてレシピを紹介していますけど、まさか自分が“開運飯”や料理のことで、仕事をすることになるとは思ってもいなかったんです。最初は本当にただ個人的な興味でやっていたことだったから。うちでごはんを食べた子たちが、元気になって帰っていくのを見て『なんでかな?』っていろいろ調べているうちに自然と詳しくなっていった感じだったんですよ。」

ぽかぽか陽気の一方で、めまぐるしく状況が変わり、足場が揺らぐような気持ちになることも多い春。そんなとき、誰かのため(自分含む)に「うのはなサラダ」を作って、食卓に添えてみてはいかがでしょう。つくりおきにもおすすめです!

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取材・文:ネッシーあやこ
撮影:美坂広宣(SHAKTI)
フードスタイリング:松井あゆこ(Smile meal)