寒い冬だからこそ楽しめる、あったか冬キャンプごはん
空前のキャンプブーム。「人が少ない空間で、思いっきり楽しみたい!」と、冬でもキャンプに挑戦したいと考える方も多いのでは?そこで、キャンプ料理レシピサイト「ソトレシピ」の代表として様々な活動をされているアウトドアプロデューサーの千秋広太郎さんに、焚き火のコツと、寒い冬でも体が温まるブイヤベースの作り方を教えていただきました。
一緒にキャンプを盛り上げてくれたのは、ミクスチャーロックバンド・FLOWのギタリストTAKEさん。昨年の夏、所属事務所が富士山麓に本社を移したこともあって、キャンプ熱が高まっているのだそう。そして、北海道を拠点にYouTubeやInstagramで様々なキャンプ動画を公開しているRISAさんにも、おすすめのキャンプグッズや冬キャンプの醍醐味をお伺いしました。
お話を伺ったみなさん
ブイヤベースと〆のペスカトーレ
材料(4人分)
作り方
- 1. セロリ、玉ねぎ、にんじんを一口大に切る。サフランは水400ccに浸しておく。
- 2. オリーブオイルをひき、にんにくを香りがたつまで軽く炒めたら、セロリ、玉ねぎ、にんじんを入れてしんなりとするまで炒める。
- 3. シーフードミックス、有頭えび、魚の切り身を鍋に入れて軽く炒め、サフランを浸しておいた水ごと加える。
- 4. トマト缶(ダイスカット)とブイヨンを加え、香りづけにタイムとローズマリーを入れたら、ふたをして20分ほど中火で煮る。
- 5. 最後に塩こしょうを入れて味を整える。
- 6. 〆のペスカトーレは、残ったブイヤベースのスープに水400ccを加え、沸騰したらパスタを加えて煮込む。
冬キャンプといえば焚き火! まずは火おこしチャレンジ
冬キャンプの醍醐味は焚き火。暖をとるだけでなく、調理の熱源としても使えます。TAKEさんRISAさんも、焚き火の火を眺めながら飲むお酒が大好きなのだとか。
着火剤やバーナーを使って簡単に火をつけることもできますが、今回は火おこしからチャレンジしてみることに。コツは、どこにあるのでしょうか。
焚き火を上手に楽しむには、「針葉樹」と「広葉樹」を使い分けるのがコツ。まずは火がつきやすい細い薪から。そして、火が長持ちしやすい薪へと順番に着火していきます。
針葉樹とは、松などの葉っぱが細い木を指します。比較的柔らかくて着火しやすく、その代わり火が長持ちしない特徴があります。広葉樹は真逆で、葉っぱが大きく、着火しづらいのですが、一度火がつくと長持ち。この2種類の薪を使い分けることで、効率的に火をおこすことが出来るのだそう。
ところで皆さん「フェザースティック」って知っていますか?針葉樹の薪の先を削って羽根を作ることで、着火しやすくする方法です。TAKEさんはやったことがあるんですよね?
はい。今日もやる気で、マイナイフ持参しました!
私もいつもチャレンジはするんですけど、なかなか上手く出来なくて……今日は千秋先生に教えてもらって、フェザースティックをマスターしたいです!
千秋さんとTAKEさんが愛用しているのは、「モーラナイフ」。切れ味が鋭く、使い勝手が良いそうです。
実際にナイフで薪を削ってみるTAKEさんとRISAさん。なかなかコツが要るようで、苦戦しています。
ここで「ナイフをギコギコ動かしすぎないように、刃をすいーっと滑らせるイメージで!」と千秋さんからのアドバイスが。力み過ぎず、軽い力で刃を滑らせるのがコツのようです。
先生どうですか?アドバイスどおりにやったらさっきより上手く出来ました!
おお~。無骨で良い感じ(笑)。大体4~5本作ればOKです!これを使って着火してみましょう。
着火はTAKEさんが担当することに。
麻紐をほぐした火口(ほくち)、おがくず、小さい小枝、松ぼっくりなどを焚き火台に置きます。そして今回はバーナーや普通のマッチではなく……この「メタルマッチ」を使って着火してみようと思います。
メタルマッチとは、金属製の棒状のマッチのこと。これをナイフに打ちつけたときに出る火花を利用して着火する方法です。TAKEさん持参のナイフにメタルマッチを打ちつけること数回。とうとう火花から着火しました。
着火したら、先程の針葉樹の出番です!フェザースティックの部分を火の上に置きましょう。燃え広がってきたら、最後に広葉樹を置いて完成です。これで焚き火をゆっくり楽しむことが出来ますよ。
アウトドアには、天候のハプニングが付きもの。強風が心配な人はバーナーや着火剤も持っていくといいようです。
いざ、ブイヤベースづくり開始
焚き火は用意できたし、お腹はぺこぺこ……ということで、3人はブイヤベースづくりに取り掛かることに。
こちらは「トライポッド」というギア(道具)。三脚にチェーンがついた形状で、ここに鍋やケトルなどを吊るせるようになっています。チェーンが焚き火の真上にくるように設置します。
まずはダッチオーブンにオリーブオイルとスライスしたにんにくを入れ、トライポッドに吊るします。じっくり熱して香りを出していきましょう。
ダッチオーブンとは、厚みのある鉄製の鍋のこと。焚き火の上での調理はもちろん、ふたの上に炭火を置いて調理することも出来ます。全体が金属で出来ているので、焚き火でじっくりコトコト煮込むのにはぴったりなギアです。
にんにくのいい香りが漂ってきたら、次は野菜を入れましょう。今回入れるのは、乱切りしたにんじん、くし切りにした玉ねぎ、薄切りにしたセロリ。これをしんなりするまで炒めていきます。
ここでRISAさんから、「(焚き火は)ずっと強火ですが、大丈夫なんですか?」と質問が。
火が強いな、と感じたらトライポッドのチェーンを短くして火と鍋の距離を調整してみてください。ただ、キャンプでは気温や風などの影響を受けやすく、強火だと思っていても、実はあまり鍋に火があたっていないということもありますので、状況に合わせて調整することをおすすめします。今日は風が強くて炎が揺らいでいるので、このままやってみましょう。
ちょっとくらい焦げても大丈夫。『キャンプでは細かいことは気にせず、楽しんで作ることを第一に!』が僕のモットーです。
焚き火の上で料理をしていると炭も入ったりしちゃいますけど、外で食べるとそれすらおいしく感じちゃいますよね。
野菜がしんなりしてきたら、海鮮の出番。有頭えびとシーフードミックスを入れて炒めます。シーフードミックスにもえびは入っていますが、有頭えびは是非追加で入れてほしいですね。殻や頭の味噌から出汁が出て、おいしさが格段にアップしますよ!
有頭えびが手に入らない場合は、もちろん無しでもOK。じゅうぶんおいしく作れます。
今回はタラも入れます。スーパーで買った切り身をそのままイン!煮込んでいくうちに身がほぐれるので、小さく切ったりする必要はありません。キャンプなのでいちいち包丁を洗うのも手間ですしね。
そして、サフラン水を入れます。
サフラン水とは、「サフラン」というハーブを水に浸けて色や香りを移したもの。ブイヤベースを作り始める前に浸しておくとスムーズです。水が黄金色に変わるまで浸しておきましょう。
続いてトマトのホール缶とブイヨンを入れます。
画力(えぢから)強いな~!
もうおいしそう……。
完成に近づいてきて、思わずテンションがあがる一同。ここで強風が吹きつけますが、TAKEさんが盾になって火を風から守ってくれました。キャンプに必要なのは、チームワーク!
最後にハーブを入れて香りづけします。ローリエやタイムなど、お好みで。ローズマリーは魚介との相性がいいのでおすすめですよ。蓋をして、20分ぐらい煮込んだら完成です。
ブイヤベース完成!待ちに待った実食タイム
焚き火にあたりながらおしゃべりすること約20分。そろそろ鍋の様子を見てみようかということに。
うわー、おいしそう!良いにおい……。
思わず食欲をそそられる3人。魚介やハーブの良い香りが漂っています。
即座に撮影大会が始まります。写真を撮らずにはいられないビジュアルですね。野菜と海鮮たっぷりのブイヤベース、とってもおいしそうです。
野菜が魚介の旨味を吸って、ハーブの香りも移って……すっごく複雑な味!おいしい。
おいしい~!海鮮をたくさん入れているから出汁がしっかり出てますね。北海道から来た甲斐がありました!あったまります……。
あまりのおいしさに口数が減ってくる3人。温かいブイヤベースが、冷えた体に沁みるようです。
これだけでもおいしいけど、スープを残しておいて、〆にパスタで二度楽しむのが僕のおすすめです!お水を足して、沸騰したらパスタを入れて少し煮込むと、ペスカトーレになるんです。
こちらがペスカトーレ。腹ぺこさんも大満足の〆パスタです。
最初に会ったときよりもますます打ち解けた3人。同じ焚き火を囲んで温かいごはんを食べているうちに、心の距離も縮まったのかもしれません。
後編記事では、3人に冬キャンプの醍醐味や楽しみ方をたっぷり語っていただきます。