ほくほくほっこり「紅白いももち」
芸人ボルサリーノ関好江さんに料理を作ってもらいながら、おいしさのポイントなどを伺う本連載。今回は、北海道をはじめとしたいくつかの都道府県の郷土料理「いももち」をおめでたくアレンジした「紅白いももち」。アイスムのリニューアル3周年をお祝いする一品として作ってくれました。シンプルな材料で、電子レンジを使って気軽に楽しめます。
紅白いももち
材料(作りやすい量)
作り方
- 1. じゃがいもの皮をむき、適当な大きさに切って耐熱皿に並べ、小さじ2(1個につき小さじ1/分量外)の水をかけてラップをして、電子レンジ(600W)で4〜5分加熱する。
- 2. 1をつぶしてあら熱をとり、片栗粉と、牛乳か水で固さを調整してこね、二等分する。
- 3. 二等分したうちの片方に砕いた桜えびを加える。それぞれ3〜4等分して平たく丸く成形し、 桜えびの方には真ん中にチーズを入れる。
- 4. フライパンに油を熱し、3を色づくまで焼く。
- 5. たれの材料を耐熱ボウルに入れて混ぜ、ふんわりラップをして電子レンジ(600W)で30秒加熱し、一旦取り出して混ぜてから10秒×2回加熱する。
- 6. 4をお皿に盛り、プレーンの方にはたれをかけて黒ごまをふる。桜えびの方には塩をふり乾燥パセリを散らす。
いももちをおめでたい色合いにアレンジ
3月は、木々たちが芽吹き始めるとともに門出をお祝いする機会が増える時期。アイスムも「『食』を楽しみ、笑顔を届けるメディア」としてリニューアルオープンしてから2023年3月で3周年を迎えます。
そんな中、関さんに教えてもらうのは、名前からすでにおめでたさがぎゅっとつまっている「紅白いももち」。「お祝いといったら、『紅白』と『もち』だ!って思ったんです。発想が昭和かもしれない…(笑)」と関さん。
いももちとは、国内のいくつかの地域で古くから食べられている、つぶしたじゃがいもを丸めて焼く素朴な郷土料理のこと。地域ごとに作り方が少し異なるそうで、今回のレシピは、北海道で暮らす関さんの元マネージャーさんが、地元の農協の女性部会で伝授してもらった作り方が元になっています。
「元マネージャーは、今は家族と農園を営んで暮らしているんです。去年の秋に相方と一緒にいも堀りを手伝いに行ったとき、採れたてのじゃがいもでいももちを作ってもらって、それがすっごくおいしかったんですよ。」
紅色のいももちの要になるのは桜えび。まずは下準備として、ざくざくっと包丁で砕いておきます。ミルサーを持っている人は、ミルサーで粉末状にするのでもOK。
しっかり色を出すためには、比較的リーズナブルな桜えびを選ぶのがポイントなのだそう。
「試作をした時、いただきものの上等な桜えびで作ってみたら、色があんまり出なくって…(笑)。だけど100円ショップで売ってる真っ赤なやつを使ってみたら、しっかり色が出たんです。」
続いてじゃがいもの仕込み。皮をむいたら、適当なサイズに切って耐熱皿に並べ、小さじ2程度のお水をかけます。
ラップをかけたら電子レンジでチン。加熱時間の目安は600Wで4〜5分。時間はじゃがいもの様子を見ながら調整してみてください。
「最近マッシャーの便利さを実感しました」
じゃがいもがしっかり加熱できたら勢いよくつぶしていきます。つぶす際には、フォークや麺棒など、お手持ちの道具を使うのでOK。ちなみに関さんイチオシはマッシャーを使うこと。
「友達の家にあるのを使わせてもらったら、めちゃくちゃ便利だったので、最近やっと使い始めたんですけど、もっと早く手に入れておけばよかった!…って思っています。」
今日の撮影で使っているのは大きめのマッシャーですが、おすすめなのは、さらにコンパクトなタイプなのだそう。
「100円ショップにある小さなサイズのものが使いやすいんですよ。あまり力を入れなくても、さくさくっとマッシュできるんです。ゆで卵をつぶす時などにもおすすめです。」
…と言いながらぐいぐいじゃがいもをマッシュしていく関さん。
「どのくらい細かくつぶすのかはお好みで!粒感を少し残しても良いと思います。」
じゃがいもをつぶし終わって、あら熱もとれたら、ほかの材料と混ぜていきます。
「北海道の農協の女性部会の方達は、分量をグラムで計るのではなく、独特な方法で計量していると聞きました。マッシュしたじゃがいもを平らにしたあと、四等分にして…」
「その一角を削って、そこに収まる量の片栗粉を入れて混ぜると、ちょうどよい固さのいももちになるんだそうです。」
「牛乳はじゃがいものコンディションを見ながら、量を調整するのがおすすめです。じゃがいもの水分量が多ければ、入れなくても大丈夫。牛乳のかわりに豆乳を入れてもOKだし、どちらもない場合には、お水でもいいんですよ。」
ごりごりに固すぎず、やわらかすぎないように、様子を見ながら入れていきます。
牛乳を混ぜ終わったら二等分して、片方には、先ほど砕いておいた桜えびをしっかり混ぜ合わせます。
…おっ!紅と白が生まれました。
それぞれ円柱のような形にして…
さくさくと刻んで…
一つ一つ、丸く成形していきます。桜えびを混ぜたほうには、ピザ用チーズを忍ばせて。
フライパンに多めに油をひいて、ほんのり色づくまでじっくり焼いていきます。
「油は揚げ焼きまではいかないくらいの量を使います。…いい香り!」
桜えびの香ばしい香りが立ち込め、紅の色がくっきりとしてきました。
「…そうだ!たれを作んなきゃ!」
たれは、砂糖、醤油、みりん、水、片栗粉を混ぜて、600Wの電子レンジで30秒加熱したあと、取り出して混ぜてから、さらに10秒加熱するのを2回繰り返して作ります。
「電子レンジが活躍するメニューなんですよ。」
みたらし団子のたれのような、とろっとした質感になったら完成!
「このたれは、いももち以外にも、お団子やお餅のたれとしても使えます。」
これぞじゃがいもの真骨頂
さて。甘い香りと香ばしい香り、二種類の香りに包まれながら、紅と白のいももちをいただきます。
食べると、「俺こそはじゃがいもだ!」といわんばかりの素朴な味わいがぶわぁっと口の中に広がりました。いもをダイレクトに食べるよりももちもちしっとりとしていて、普段よりもおめかししている感じがする。それでいながらも、いもの野生み溢れるほくほく感が思いっきり味わえる…!
桜えびが入っているほう(紅)は、顔に近づけた瞬間から磯の香りがゴリゴリ勢いよく近づいてきて、それだけでもう贅沢気分が始まる感じ。プレーンなほう(白)は、みたらしのたれのおいしさもいちおしなのだけど、なにもつけていない状態でもおいしい。塩などの調味料を入れていなくても、十分に味の深さが感じられることにびっくりしました。最小限の食材だけでこんなにも楽しめるのですね。
カリッとした表面、ほくほくっとした内側の食感を交互に感じながら、顔の筋肉が心なしかふわふわと緩んでいきます。
「じゃがいもっていろいろな食材と相性がいいので、だいたいのものは合うと思います。桜えびのかわりにベーコンを入れたり、アンチョビを入れたりしてもおいしい。たれを作るのが面倒な時はバターと醤油をかけてもおいしいです」と関さん。
ちなみに筆者は、自宅で何度か作ってみているうちに、ちょっとカリカリめに仕上げるのも好みだなぁと思いました。カリカリになるまで焼いていると、紅白を飛び越えて、茶色のいももちになっちゃうんですけども…、こんがり派の方にはおすすめしたいです。
じゃがいもという、アレンジが自在かつごく身近な食材で作るお祝いの品。新じゃがで作るのはもちろん、そうでないじゃがいもで作ってもしっかりおいしいので、身近にあるじゃがいもでぜひ気軽に作ってみてください。