樋口直哉さんに教わる、最高においしい新じゃがの食べ方
「旬の野菜を最高においしく食べるには?」というテーマを、料理研究家の樋口直哉さんに考えてもらうシリーズ、第2回目です。日頃、何気なく使っている食材を最高においしく食べるための調理ポイントや、扱い方のコツをじっくりと教わりましょう。それでは樋口さん、お願いします!
今回の食材:新じゃが
みずみずしい新じゃがはこの時期の楽しみ。皮が薄いので、そのまま使える手軽さも魅力です。そして新じゃがのおいしさは皮にあり!皮から感じられる土の香りと、ホクホクした食感を同時に楽しめるのがいいんです。
おすすめの料理は煮つけ。今回は牛肉と煮つけて、牛のうま味を新じゃがにからめ、最高においしくいただきましょう。旨味やコクのあるものと合わせることで、より新じゃが自体の味わいを感じることができます。
ちなみに新じゃがが出回る時期は年に2回あり、現在から6月ぐらいまでは九州産のものが、秋口には北海道産のものが出回ります。
買うとき&保存のポイント
選ぶときは、芽が出ておらず、持ったときに重量感があるものを選びましょう。また新じゃがは乾燥に弱いので、新聞紙などに包んでから保存用袋に入れ、野菜室に入れてください。室温でOKと思われがちですが、それはもっと気温が低かった昔の話。現代は野菜室に入れておく方がより良く保存できます。
下ごしらえのポイント
新じゃがは使う前に軽く洗います。小粒のものなら数個まとめて、お互いをこすり合わせるようにして洗い、大きいものなら手で軽くこするか、スポンジの硬い方で洗いましょう。このとき、皮が所々むけますが、気にしなくて大丈夫です。
ちなみに下ごしらえではないですが、牛肉は霜降り肉(脂身の多いもの)がこの料理には向いています。牛肉は加熱すると縮んで食感が悪くなりがちですが、脂身が多いと柔らかさを保つことができ、コクも加えてくれます。
さあ、それでは実際に作っていきましょう。
新じゃがと牛肉の煮つけ
材料(2人分)
作り方
- 1. 新じゃがを一口大(3cm大程度)に切りそろえます。
樋口さんポイント
- 2. 鍋にサラダ油を入れて、牛肉を入れて中火にかけます。ここで醤油と砂糖をまず半量ずつ入れて、牛肉を軽く炒めます。
- これは肉に下味をつけるという意味と、砂糖と醤油と牛肉を炒めつつ軽いコゲを作ることで、料理全体の風味を作り出すという、両方の意味があります。
- 3. 新じゃがを加えます。水を少しずつ入れて、鍋肌にできたコゲの部分を溶かすように全体を混ぜあわせていきましょう。
- 4. 水を全部入れたら、新じゃがを下に敷き、牛肉を上にのせてください。残りの醤油と砂糖を加えて、落としぶたをして中火でフツフツと煮ます。
樋口さんポイント
鍋に対して新じゃがを敷きつめたとき、「1レイヤー(1段)」になるのが理想です。すき間ができたり、新じゃが同士が重なりあったりしてないことで、おいしく仕上がります。
- 脂の少ない牛肉(特に輸入肉)の場合は、この時点で取り出しておいて、煮上がってから戻すと、肉の柔らかさを保つことができます。
- 5. 7分ほど経ったら、一度竹串で新じゃがを刺して、様子を見てください。じゃがいもによって煮上がりの時間が前後します。スッと入れば、もうOK。硬ければ、さらに煮ましょう。長くてもトータル12分ほどで煮上がります。
樋口さんポイント
煮ている間に水分が足りなくなったら、その都度水少々を足してください。
今回は新じゃがの味を引き立てるため、薄めの分量にしています。味見をして物足りなければ、醤油小さじ1程度を加えて再度軽く煮てください。
盛り付けて完成です!
旬野菜の味わい方・新じゃがのポイントまとめ
煮つけは、味を染み込ませるのではなく、食材の表面にからめる料理法です。みずみずしい新じゃがのホクホクした食感と、皮にからんだ牛肉のうま味を一緒に味わうのが、僕の思う新じゃがの最高においしい食べ方。ごはんのおかずにも、おつまみにもいいですよ。
樋口さんおすすめ調理道具
落としぶた
煮汁を煮詰めていくときに便利なのが、落としぶた。アルミホイルやクッキングペーパーで代用してもいいのですが、僕はいちいちそれらで作るのが面倒なので、木製のものを使っています。シリコン製のものもおすすめ。食材がつぶれてしまうこともあるので、あまり重くないのがいいですね。
樋口さん、今回もありがとうございました。次回は夏野菜を使ったレシピを教えていただく予定です。さて、樋口さんはどの野菜を選ぶのでしょうか?お楽しみに。