れんこん団子の豆乳豚汁
芸人ボルサリーノ関好江さんに料理を作ってもらいながら、おいしさのポイントなどを伺う本連載。2021年はじめのレシピは、あたたかさが染み渡る「れんこん団子の豆乳豚汁」。無調整豆乳とみりんを加えることで、ただでさえ優しい豚汁の優しさが爆増!れんこんと片栗粉だけで作る、団子の食感の楽しさもポイントです。
材料(2〜3人分)
作り方
- 1. れんこんは1/4をみじん切り、残りはすり下ろして軽く汁気を絞り、片栗粉をまぜて団子状に形成し、お湯で茹でて、とりだしておく。
- 2. ゴボウはささがき、にんじんと大根はいちょう切り、里芋は皮をむいて食べやすく切る。
- 3. 鍋にごま油(分量外)を熱し、豚バラと2の野菜を加えて炒め、肉の色が変わったら水とだしの素を加え、野菜に火が通るまで加熱する。
- 4. 3に味噌をとき、みりんを加えて味を整え、1の団子を入れて軽く加熱する。
- 5. 最後に豆乳を入れてひと混ぜし、器に盛って小口ねぎを散らす。
「この汁に癒されるために二日酔いになりたい」
1月もあとわずか。クリスマスとお正月、1年で最もごちそうが集中する期間が過ぎ去り、繁忙期を乗り越えた胃腸たちが、優しさに包まれたがっているころかもしれません。
「きっと年末年始はみんな、たくさん飲み食いするんじゃないかなぁと思って、1月のレシピは優しいものにしたかったんです」と関さん。
その優しさの度合いたるや「この汁に癒されるために、あえて二日酔いになりたいと言っていた人もいました」というから気になって仕方ない。早速作っていきましょう。
まずはれんこんをカット。4分の1をみじん切りにして……
残りはすりおろします。
「れんこんって、すごく楽しめる野菜なんですよね。縦に切るか横に切るかで食感が変わるし、すりおろすとモチモチになるし。加工の仕方次第で食べた時の印象がぐっと変わるんです。」
今回のメニューでは、シャキシャキとモチモチ、2つの食感が同時に楽しめます。
れんこん団子に祈りをこめて
ところで。ひとくちに「料理が好き」といっても、料理の工程の全てが好きだという人はそう多くないのでは……と思うのです。好きな作業もあれば苦手な作業もあって、その配分は人それぞれに違うはず。
関さんに聞いてみたところ「すりおろす作業は好きじゃない」との返答が。
「家に人を集めておろし鍋をやるとしたら、誰かが来るのを待って、最初に来た人に大根を渡して『おろしといてー!』ってお願いしちゃいます(笑)。」
すりおろし作業が終わったら、みじん切りのれんこんと片栗粉を加え、れんこん団子を作っていきます。「団子を作るのは好きです」と関さん。
水分をぎゅっとしぼりながら、里芋くらいの大きさに丸めます。丸めながら、ちょっと崩れそうかな?頼りないかな?と感じたら、片栗粉を少し足してみてください。
丸め終えたら下茹でをします。沸騰したお湯の中にれんこん団子を入れ……
「バラバラになりませんように……がんばれ〜〜」
れんこん団子にエールをおくりはじめた関さん。
1分くらい茹でたらお湯から出し、
出番がくるまでしばし置いておきます。
里芋以外の野菜は皮をむかなくてOK
続いては野菜をカット。里芋以外は、皮をむかずにそのまま使っちゃってOKです。里芋も、あらかじめ皮むきされたものが売っているので、活用すれば、皮むき工程をゼロにすることも可能。今回はそれを使います。
「ゴボウは皮がおいしいんですよ!」と関さん。
おいしいだけじゃなく、皮をむく工程を省くと、調理がぐっと気楽になります。
「ゴボウをささがきにする際は、十字に切れ目を入れておくと作りやすいです。」
豚バラ肉は一口大の大きさに切り……
ごま油で炒めます。
お肉に火が通ったところで野菜を足し、しんなりするまで炒め、お水とだしの素を投入。
野菜がやわらかくなったらお味噌を溶き、みりん、れんこん団子を投入し、しばし温めます。
「今日はこうじ味噌を使っていますが、お好きなお味噌を使ってOKです。ただ、赤味噌だと色がちょっとこわい感じになっちゃうので、違うお味噌のほうがいいかも。」
最後、豆乳を回し入れたら……
完成!
豆乳は加熱しすぎると分離してしまうので、入れたらすぐ火を止めるのがポイントです。
あったかい汁はうれしい
……というわけでこちらです。具がこんもりどっさり。
小口ねぎを散らすと彩りも一気に鮮やかに。なかなか貫禄のある見た目で、これがメインディッシュってことでいいのではと思えるほどです。
飲んでみると……
優しい。とにかく優しい。優しさに包まれるってきっとこういう感じだ……!
とはいえ優しいだけでもなく、豚バラ肉からほのかに感じるごま油の風味は食欲をそそるし、なにしろれんこん団子の食感がおもしろい。
モチモチを楽しんでいると、時折やってくるシャキシャキ感。れんこんの表情を一度にいくつも見せられている……!れんこんの新しい一面をみたような気持ちです。
ところで関さんはどんなときにこの汁を作るんでしょう。
「女芸人仲間たちと、家で飲んだときに締めで作ったりしてましたね。みんな、あったかい汁がすごい好きで、あったかい汁出すと喜ぶから。ふふふふふ。」
……締め!それはうれしいタイミング。
飲んだあとのあったかい汁、びっくりするくらい染みますよね。居酒屋で帰り際に出されるお味噌汁やあったかいお茶しかり。いや、お酒の席でなくとも、食事の締めで飲むあったかい汁の浸透率はすさまじい。
ふかふかっと沸き立つ湯気。温度を伺いながら、恐る恐るゆっくり口にする一口目。温かさが胃にじんわり染み込んでいくのを楽しみながら、さらに口にすすめる二口目以降。
さっきちょっと飲みすぎちゃったなぁとか、食べすぎちゃったなぁと思っていたとしても、すべてが許され、ほぐされていくような気がしてしまうあの感じ。
「あったかい汁はうれしいですよね。料理屋さんとかでつきだしでスープ出てくるのも、とってもうれしいですし」と関さん。
優しさに包まれたいすべての人へ。朝でも、昼でも、夜でも、二日酔いのあとでも。思い思いのタイミングでぜひ、豆乳豚汁の優しさに包まれまくってください!