子どもと一緒に作れちゃう!揚げないヘルシーな「とりマヨ」
元TBSアナウンサーで、現在は広島在住のフリーアナウンサー枡田絵理奈さんによる「聴くコラム」。毎回「食」や「暮らし」にまつわる様々なお話をしながら、枡田さんおすすめの「おうちごはん」を一品紹介してもらいます。
第34回のテーマは「料理の好きなところ、苦手なところ」について。料理をしていて楽しいと思う瞬間や苦手だなと思うところ、苦手を乗り越えるための工夫などをお話しています。またコラムの最後では、おうちで簡単に作ることができる「とりマヨ」の作り方も。簡単でおいしい!レシピとともに、コラムをお楽しみください。
入園前に苦手な食べ物を少しずつ克服
冬を越して、春野菜のおいしい季節になってきましたね。みなさんいかがお過ごしですか?
わが家はもうすぐ一番下の娘が幼稚園に入って、給食が始まります。娘は好き嫌いは多くない方ですけども、まだ食べられないものもあるので、給食が負担にならないかなと少し心配しています。今は入園に向けて「娘の好き嫌いをなくそう計画」を実行中です。
どういうやり方がいいかな?と考えたのですが、やっぱりお手伝いをすることで、その食材に愛着が持てておいしいってなればいいなと思い、まずは娘があまり好きじゃないきゅうりを自分で切ってもらいました。そうしたら興味を持ち始めてくれて。
そこで娘の名前をいれたレシピを作ってみたんです。きゅうりに甘口の醤油とゴマと鰹節を和えるだけのものですけど、それを自分で作って、得意料理だ!ってドヤ顔をして食べてくれるようになりました(笑)。
ただ、そんな妹の姿を見て、お兄ちゃんがうらやましくなっちゃったみたいで、「僕もきゅうりが食べたい」と言ったのですが、その時きゅうりを切らしていたので、代わりにズッキーニをあげたんですね。そうしたら「これじゃない」ってめずらしく泣いちゃって…夕方6時ぐらいかな、きゅうり一本を買いに、息子とスーパーに行きました。
そうやって面倒なこともあったりはしますけども、入園に向けて少しずつ、いろんな食材に愛着を持ってもらえたらいいなと思っています。
今でこそ好きな料理。結婚前は苦手でした
料理って楽しい時もあれば、大変だなと思う時もありますよね。みなさんは、料理は好きですか?
私は大好きです。キッチンに立っている時が本当に至福の時なんですよね。家事をしていると、汚れたものを元に戻すとか、散らかったところを片付けるとか、マイナスを0にリセットする作業が多い気がするのですが、その点料理はゼロをプラスにできますよね。
この何かが仕上がっていくワクワク感が好きだなあと思います。
ただ、料理好きになったのは、実はここ数年なんです。聴くコラムの初回でもお話しましたが、社会人になるまでは本当に料理ができなかったんですよね。料理に苦手意識も持っていました。
でも、仕事で『チューボーですよ!』という番組を担当することになって、初めて料理としっかり向き合うことになりました。
それまで、料理に関しての知識がまったくなかったので、レシピ通りにしか作ることができなくて。例えば、「今日はあれを作ろう」と決めたら、何が必要かを書き出して、スーパーに行ってその通りの食材を買う。分量も工程も全部レシピ通りにしないと作れないし、間違えた時のリカバリー方法もわからない。
ほかにも、火が通ってるかどうかも自分の感覚ではわからなくて、中火で何分とかを忠実に守らないと作れないんですよね。だから一つの料理を作るのに、ものすごく時間がかかっていたし、作業量も多くなってしまってて、料理をすることをすごく負担に感じていました。
そんな中で主人に出会って、誰かに自分の料理をおいしいって喜んでもらえたり、アスリート向けの料理を作って食べてもらうことで体作りに貢献できたり、パフォーマンスが良くなっていくのを目の当たりにして、初めて料理にやりがいを感じるようになりました。
その時点でも料理をすることは、正直まだそこまで楽しくはなかったんですけど、うれしくはあるなあと、料理を前向きにとらえられるようになっていきました。
料理好きのきっかけをくれた友人との出会い
私が料理を好きになるきっかけをくれた友人がいます。ちいちゃんという、広島で出会った人です。
広島には友達が誰もいない中で引っ越しをしてきたんですけど、あまりにも寂しくて、犬を飼い始めたんですね。で、その犬のトリミングのためにふらっと入ったお店の人がちいちゃんでした。
20歳ぐらい年上の方なんですけど、「広島には友達もいないし、広島のことが全然わからないから、いろいろ教えてもらえたらうれしい」ってお願いをしたら、すごく気のいい方で「じゃあ車に乗って」って。いろんなスーパーに連れて行ってくれて、広島の有名な食材を教えてくれたり、レストランに連れて行ってくれました。
「これは広島のソウルフードじゃけん、食べんちゃい」とかっていろいろ教えてくれて、だんだん仲良くなっていったんですね。そのうちに、今度は主人の遠征中やキャンプ中にワンオペ育児で大変だっていう話をしたら、わが家に来てくれて。
「絵理奈ちゃん座ってていいから、私がごはん作るよ。冷蔵庫開けるね」って、うちの冷蔵庫をパッと開けて、チャチャッと作ってくれたんです。レシピも見ないで、分量もはからないで作ってくれたんですけど、それが全部、本当においしくて。
後日、「あの時のごはん、すごくおいしかったから作り方教えて!」と言ったら、「ん?その時の気分で作っているからわからんよ」という感じで(笑)。だから私は、ちいちゃんに弟子入りをしようと思ったんですね。
それからちいちゃんは、もう何度も、私が大変な時に家に来てくれて。お酒が大好きな人なので、自分で6本缶ビールを持ってきて冷蔵庫に入れて、ビールを開けては隣で思いつくままに料理をしてくれるんです。
私はそれを横で見ながら、「これとこれを混ぜたらこういう味になるんだ」とか「そんなに難しく考えなくても、揚げた後に何かをかけたらいいんだ」とかを学んで。何よりも、ちいちゃんがお酒を飲みながら、楽しみながら作っていくその姿を見て、料理ってすごく自由で楽しいものなんだなと感じることができるようになりました。
料理って、後からいくらでもリカバリーができるし、正解の味は一つじゃない。塩味で作るつもりだったけど、失敗したから、もうカレー味にしちゃえばいいとか、ソースでごまかしちゃばいいとか、完璧主義じゃなくなったんです。
そうしたら料理をする時間も短くなって、苦手意識もなくなって楽しくなりました。今では頭の中で想像をした料理を作ってみるとか、レストランで食べたものを実験のように再現してみるとかも楽しめるようになりました。
料理に慣れていないと、「おいしいものを作らなきゃ」とか「失敗したくない」とか思うかもしれないんですけど、肩の力を抜いてみると、後からどうにでもできるなって思えるし、料理ってすごく自由で楽しいものなんだなって私は実感したので、ぜひそれぐらい気楽に楽しんでいただけたらと思っています。
苦手な食材もチャレンジングに楽しんで
子どもたちや主人に、ちょっとだけ勝負を挑むようなつもりで料理を作る時があります。子どもたちの苦手な食材や、あまり食べたことがない食材がある時に、「今日はどうやって食べさせようかな?これは勝負だ!」というような気持ちで、料理を作るんですね。
そうやって作った料理が、家族においしいって言われるとすごくうれしいです。あと主人から「これ今度後輩来た時に出してあげて」っていう言葉を言われる時もあるんですが、これが特にうれしくって。
主人の中でも自慢ができる手料理だと思ってくれているのかなと感じるので、この言葉が出た時は小さくガッツポーズをして、携帯のメモに”褒められた料理リスト”って感じで書いておきます(笑)。
最近子どもたちは、おいしいって言われると私が喜ぶのをわかってきて、ものすごく険しい顔して一口食べてから、「ゴチになります」ぐらいのタメを作って、んーって眉間にシワを寄せて、まずそうな顔をした後に、「最高においしい!」とコメントをくれたりします(笑)。
私も「イエーイ!」ってガッツポーズしたりしながら、今はすごく料理を楽しめているなと思っています。
食事というのは、一日に三回で365日あるので、作る側にとっても、食べる側にとっても、回数がすごく多いですよね。なので、その一回一回が楽しかったり、おいしかったり、幸せだったりすると、それだけで一日の中で三回もいいことがあることになるので、食事にまつわることは、笑顔でできるといいな、と思っています。
日々の料理も、好きなことはもっと楽しく、苦手なことはちょっと工夫しながら、無理をせずに肩の力を抜いて、少しでも楽しめたらいいですよね。みなさんの料理の好きなところ、苦手なところもぜひ教えてくださいね。
マヨネーズでささみもしっとり。超簡単レシピ「とりマヨ」
聴くコラムで毎回ご紹介している、わが家のおうちごはん。今回ご紹介するのは「とりマヨ」です。
みなさん、冷凍食品の「鶏マヨ!」は知っていますか?鶏肉の間にマヨネーズのソースが挟まっていて揚げてあるものなんですが、このチキンカツに甘辛のたれが絡んでいるんです。私はそれが昔から大好きで、自分のお弁当にもよく入れてもらっていました。最近久しぶりにスーパーで見かけて、買ってみたらやっぱりおいしかったんですよね。それで、この味を作りたいと思って開発してみました。
最初は、チキンとチキンの間にマヨネーズを入れて揚げたんですけど、マヨネーズが溶けちゃうんですね。でも冷凍食品の方は、ちゃんとマヨネーズが残ってるんです。これを再現するのは難しいかも…と思いつつ、いろいろ試行錯誤をして、気づけばまったく別の料理ができてしまいました(笑)。だいぶ簡単になったとりマヨのレシピをご紹介します。
材料
作り方
- 1. ささみは筋を取り、観音開きにし、塩こしょうをふる。
- 2. 1にマヨネーズをぬる(ぬりたくる)。
- 3. 2にパン粉をまぶす。
- 4. 3をアルミホイルにのせて、トースターでマックスの強さで10分くらい焼く。
- 5. トースターで焼いている間にたれをつくる。小鍋にすき焼きのたれとごま油を同量、はちみつをその1/3くらい、ごまを適量入れて、ひと煮立ちさせる。
- 6. ささみが焼き上がったら、5のたれをまんべんなくかけて、完成!
このレシピは油で揚げていなくて、ささみを使っているのでヘルシーですし、たれを作る時に小鍋を使うだけなので、子どももお手伝いしやすくておすすめです。家族に「最高においしい!」をもらったレシピなので、きっとお子さんから大人まで楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
ささみは加熱するとパサつくんですけど、マヨネーズを塗っている効果もあって、すごくしっとりと仕上がります。ぜひ、みなさんも作ってみてくださいね。
さいごに
枡田絵理奈の聴くコラム、今回は「料理の好きなところ、苦手なところ」についてお話ししました。今回は編集部の方から質問をいただいています。
新生活の始まりとともに料理を始めるという方もいると思いますが、初心者が挑戦するのに少ない道具や食材で作れるおすすめのレシピがあれば教えてください。また、枡田さんは初めての料理、何を作りましたか?
まず初めての料理なんですが、一人暮らしをして、私が初めて自分のために作った料理は、「塩麹をつけたチキンのソテーとバルサミコソース、そして塩麹トマトのブルスケッタ」でございます。
初めての料理にしては、はりきりましたよね。なんで、あんなの作ったんだろう…大変でした(笑)。
初めて作る料理として私がおすすめなのはやっぱり「お鍋」です。
一人用のお鍋の素って、今いろいろありますよね。カプセル状のものとかキューブ状の溶かすタイプのものとか。そういったものをいくつか買っておくと、すごく便利です。スーパーで成形された鶏のつみれを見つけた時に、買って冷凍庫に保存しておくんですね。あとは白菜とかねぎとかも常備しておきます。
私は塩だれが好きなんですけど、小鍋にその塩だれと、冷凍しておいたつみれ、白菜、ねぎ、その時にある野菜やしめじなんかを入れて作っています。そこにうどんやごはんを入れたりすることもありますし、普通にお鍋として食べて、ごはんのおかずにすることもあります。
お鍋って、体を温めてくれますし、一皿でいろんな食材を食べることができるので、まずはそこから始めてみるのがいいんじゃないかなと思います。カタカナの料理のものは、慣れてからにしましょう(笑)。
感想やリクエストは、こちらからお送りいただけます。感想をいただけると私もとても励みになりますし、リクエストや質問にもなるべくお応えしたいと思いますので、ぜひ気軽に送ってみてくださいね。Voicyのコメント欄でもOKです。お待ちしています!
それではまた次回お会いしましょう、枡田絵理奈でした!