ねぎのおいしさに開眼する「博多万能ねぎのきつね串」
芸人ボルサリーノ関好江さんに料理を作ってもらいながら、おいしさのポイントなどを伺う本連載。今回紹介するのは、万能ねぎを脇役としてじゃなく、主役として楽しめる「博多万能ねぎのきつね串」。少ない材料でサッと作れるので、ちょっと小腹が減ったときの軽食や、秋の夜長のおつまみにもぴったり!万能ねぎとカリカリに焼いたお揚げの相性の良さをぜひ体感してください。
博多万能ねぎのきつね串
材料(2人前)
作り方
- 1. 油揚げは三辺を切ってひらく。
- 2. 味噌だれの材料をすべて混ぜる。梅おかかは、梅をつぶして醤油、みりん、かつお節と混ぜる。
- 3. 1の半面にたれを塗る。味噌だれの方には半分にしたスライスチーズ、梅おかかの方には大葉をのせる。油揚げのサイズにあわせてカットした万能ねぎ、先ほど切り落とした油揚げをのせて巻き、三等分にして串にさす。つまようじに二つずつさしてもOK。
- 4. フライパンに並べ、弱火でじっくり焼く。お好みで七味唐辛子をかける。
福岡といえば「万能ねぎ」
今回のお題は「福岡由来のごはん」。「福岡には、おいしいものがいっぱいありすぎるから、すごく悩みました!」と関さん。
「とんこつラーメンや明太子のイメージが強いけど、それ以外にもたっくさんおいしいものがありますよね。ねぎなどの野菜を豚バラ肉で巻いた『野菜巻き串』とかもすごくおいしいし、おいしい焼き鳥のお店もいっぱいあるし…。」
福岡の食べ物があまりにおいしいゆえ(?)の思い出もあるのだそう。
「以前福岡の焼き鳥屋で、森三中の黒沢さんがそのお店のタン焼きをすごく気に入って。おかわりしすぎて、お店のタンを食べ尽くしちゃったことがありました。しかも、そのあと入ったおでん屋さんでも、もち巾着をおかわりしまくって、全部食べ尽くしていて…。黒沢さんのハマり方はものすごかったです(笑)。」
そんな中、関さんがセレクトしたのは「万能ねぎ」をたっぷり使ったレシピ。
「福岡の友達にとっては、ねぎといったら、青い部分が大部分を占める万能ねぎなんだそうです。ねぎって、地域によって好みや食べ方が違っていておもしろいですよね。」
カリッとしている油揚げは最高!
万能ねぎに合わせる食材には「油揚げ」をチョイスしました。
「豚バラ肉のかわりに、油揚げでねぎを巻いてみようかなと思いまして。パリッと焼いた油揚げが、めちゃくちゃ好きなんです。味噌汁とかに入ってる、くたくたに煮たやつも好きだけど、カリッとしているやつがたまらなくて。
今回のテーマは福岡だけど、仙台にある『定義とうふ店』の「三角定義あぶらあげ」もおいしくって大好きです!この三角あげは、既にいろんな人たちから絶賛されている人気商品なんですけど、そういう前情報でハードルが上がった状態で食べても、ちゃんとおいしいと思います。」
油揚げへの愛を語りつつ、まずは油揚げの上に箸をコロコロ転がしていきます。
「こうすると、油揚げがはがれやすくなるんです。やるかやらないかで、全然違う!ちょっとサボるとすぐバリバリって破れちゃう(笑)。」
コロコロを終えたら、油揚げの四辺のうち三辺をカット。切った部分はあとで使うので、まとめて取っておきます。
味噌も梅干しも種類はお好みで
続いてはたれ作り。二種類作ります。
味噌だれは、味噌、みりん、ごま油、砂糖、白ごまを混ぜれば完成。
「使うお味噌はお好みで!ごま油を入れると、香ばしい香りがして、混ざりやすくもなるんです。砂糖の量は、お味噌の味によって調整してみてください。」
梅おかかで使う梅干しの味もお好みで。はちみつ梅を使うとまろやかに、しょっぱい梅を使うとガツンとパンチの効いた味わいになります。
醤油の量は、梅干しの味に合わせて微調整するのがおすすめ。
ねぎは、巻きたいだけ巻く
たれが出来上がったら、さっそく油揚げの片面に塗り…
味噌だれの上にはスライスチーズをのせます。
「あっ。ちょっとチーズが多すぎたかな。いや、でもたっぷりいっちゃいましょう!もし多すぎると感じる場合には、お好みで調整してください。
チーズの種類は、焼いている途中で漏れ出さないように、とろけないタイプがおすすめです。でも、外に漏れ出たチーズが餃子の羽のようにカリカリに仕上がったら、それはそれでおいしいかもしれないな(笑)。」
さて、ここで今日のメイン食材、万能ねぎが登場。油揚げのサイズに長さを合わせながらカットします。
「ねぎは、好きなだけ巻いちゃってください!私も本当は、欲望にまかせてもっと巻きたいくらい(笑)。入れすぎて破裂しちゃったりしないように控えめにしてるけど(笑)。」
さらに油揚げの端っこものせて、一緒に巻いていきます。
くるっと巻いた油揚げは、三等分にして串刺しにするとちょうどいい塩梅に。
まずは端っこに串をさしてカットしたあと、串をさしてカットする…を二回繰り返すと、効率的に串ざしにできます。
「巻く時は、巻き寿司のようにぎゅっと力を込めなくても、スッと軽い力で大丈夫。串がなければ爪楊枝にさすのでOKです。(手元を見つめながら)…うーんこれはなかなか、ねぎが飛び出ているな(笑)。」
だけどそんなねぎの姿もまた、このレシピの愛嬌といえる部分。ねぎは油揚げの端からぴょんとはみ出ていても大丈夫、問題ありません。
梅おかかのたれの上には、大葉をのせて。油揚げの端っこものせたら、先ほどと同様にくるんと巻いていきます。
フライパンに油はひかなくてOK。弱火でじっくり、ゆっくりと火を通していきます。
「じっくり焼くことで、ねぎがまんべんなく蒸されて、いい感じに火が通るんです。魚焼きグリルやオーブントースターで焼いても大丈夫ですよ。」
こんがり色づいたら完成!
ねぎをより一層おいしく楽しめるきつね串
お好みで七味唐辛子を添えて、いざ実食です。ところで酒飲みの筆者には食べる前からすでに大きな確信がありました。このきつね串たちは、絶対ビールとの相性がいい!
食べてみて、その思いが確信に変わるとともに、衝撃を受けたのが、じっくり蒸されたねぎたちの奏でる、ほどよく刺激的でやさしい味わい。
生だったころのみずみずしさを残したまま、火が通ったことで辛さが刺々しくなくなり、甘さを感じられるようになったねぎたちが、香り豊かでたまらない。
万能ねぎってこんなにジューシーなんだ!
ねぎがおいしいということを、知っていたつもりでまだ全然わかってなかった。私はまだまだ浅瀬にいたんだなぁと思い知らされました。
そして、そんなねぎを包み込む、油揚げのカリカリ食感と香ばしい香り。ああ、カリカリ油揚げよ、なんでこんなにねぎとの相性が抜群なんだ。いつまででも食べ続けられそうでこわい。
味噌だれはコクのある味わい、梅おかかはさっぱりとした味わいで、交互に食べるとますます食べ続けられそうな予感がする…。
ねぎをいっぱい食べるために、そうめんを食べることがあるくらい、無類のねぎ好きな関さんも、今日の仕上がりに満足の様子。
この日を境に、筆者の心にも「福岡は万能ねぎの街である」ことが刻み込まれました。
一層ねぎのことが愛おしくなるこのきつね串、まだまだ終わらない食欲の秋のお供に、ぜひ添えてみてほしいです。