「ポジティブ変換」と「やらない勇気」で、料理のめんどくさいをチャンスに変える!
「ごはんつくるの、めんどくさい…」。日々の中で、どうしても感じてしまうこの気持ち。ごはんの時間は体調や忙しさに関係なく毎日訪れるものだからこそ、時にそう感じてしまうのはあたりまえのことです。そんな「めんどくさい」気持ちと、どうやってうまく付き合っていけばいいのでしょうか?
アイスムで「コウケンテツの『つくってみよう!休日かぞくごはん』」を連載中で、YouTubeでは誰でも気軽につくれるごはんのレシピを発信されている料理研究家のコウケンテツさんに、「めんどくさい」をチャンスに変えるためのヒントを伺いました。
このインタビューは「アイスム×TOKOSIE」特別冊子に掲載した内容と同じです。冊子発行を記念してコウケンテツさんのトークショー開催が決定!記事の最後にお知らせがあります。
毎日の料理を「めんどくさい」と思うのは、あたりまえの感情
ーーコウさんも、料理を「めんどくさい」と思うことはあるのでしょうか?
もちろんありますよ。毎日と言っても過言ではないくらいです(笑)。
ーー毎日!意外です…!
僕は、料理を3つに分類しています。お仕事としての料理と、趣味としての料理、そして毎日つくらなきゃいけない家族のための料理。趣味としての料理はたのしいんです。自分の好きなお酒に合わせて自分のためにおつまみを作ったりなんかすると、それはもうたのしい。
問題は、「つくらなきゃいけない」日々の料理です。やらないといけないと思った途端にたのしさがなくなって、めんどくさくなったりしんどくなったりしますよね。子どものお弁当づくりも、我が家ではパートナーとローテーションしているのですが、それはもうめんどくさいですよ。「あ〜、明日おれの担当か〜」って(笑)。
ーーなんだか安心しました(笑)。
日本人のごはんづくりを取り巻く環境って、そもそも「めんどくさい」「しんどい」と思わざるを得ないものばかりだと思うんです。ワンオペレーションで家事をしなければいけない場面は多いし、「手料理こそが愛情」「品数はできるだけ多く」といった「こうあるべき」論もまだまだたくさんある。家族にごはんづくりの大変さをわかってもらえずに、つくるのが当たり前と思われてしまうのもつらいですよね。
だから、まずは「めんどくさいと思うのは当たり前で、それは環境のせいであり、みなさん自身が悪いんじゃない」ということを伝えたいです。
めんどくさいから生まれた「のっけ弁」シリーズ
ーーごはんづくりに対して「めんどくさい」「しんどい」といった気持ちは誰にでもあるからこそ、そういった気持ちをむしろチャンスにしていきたいとアイスムは考えているんです。
すごく素敵ですね。「めんどくさい」がチャンスになった例でいうと、ぼくのYouTubeで連載している『10分弁当シリーズ』の「のっけ弁」なんかはそうです。我が家の弁当は、ぼくがつくるときは絶対に「のっけ弁」にするんですよ。めんどくさいから「白ごはんにおかずをのっけるだけでいいや」と思ってはじめたことなんですが、これがとてもいい。見栄えもするし、保温ができるお弁当箱を使うことで中身を冷まさなくてもいいんです。
ーー冷まさなくていいだけで、本当に楽になりますね…(しみじみ)。
さらに、「のっけ弁」というジャンルをつくってしまうことによって、手抜きではないんだと自分自身に言い聞かせています。YouTubeで企画として公言することで、免罪符を得るっていう(笑)。
そんなふうに、楽をしているのだけれど、なんとなく「それっぽく見える」ための引き出しをたくさん持っておくといいですよね。「あの人のYouTubeに載ってるお弁当をつくってみた」と言った途端、自分の中でもちゃんとできている感じになるじゃないですか?
「ものは言いよう」でポジティブ変換!
ーーたしかに…!「ものは言いよう」なんですね。
そうそう!料理は本当に「ものは言いよう」の部分がたくさんあるんです。たとえばレストランだって、豚を焼いただけのものに「◎◎ポークの◎◎グリル、醤油仕立て」みたいに言っているでしょ?(笑)ぼくもいつも醤油をびゃーってかけて焼いただけのものを、家族に「醤油仕立てだよ」って言って出してます。
ーーシンプルなものを、言い方でおしゃれに見せちゃうというのはおもしろいです。
ズボラとか手抜きって言っちゃうとなんだか罪悪感を覚えちゃうけれど、そうじゃなくて、もっといいように言ってもいいんじゃないかな。大切なのは「ポジティブ変換」だと思います。
「めんどくさい」をチャンスに変えるのは、もしかしたらコピーライティングスキルとかプレゼン能力とか、そういったポジティブ変換術なのかもしれないですね。いいなあこれ、YouTubeで企画にしようかな(笑)。
ーーたのしみです(笑)。
めんどくささを手放すために、今こそ「やらない勇気」を。
あと思うのは、日本人は「やらなきゃいけない」と思ってやりすぎてしまう部分があるから、めんどくさいと思ったときに「やらない勇気」を持つことも必要なんだと思います。
ーーやらない勇気…!
ぼくも、家でついついやりすぎちゃうんです。なんでも自分でしたくなっちゃう。でも、パートナーに「子どもはもう自分でできることがたくさんあるから、もっと任せた方がいいんじゃない」」と言われたことがあって、最近はお皿洗いやテーブルのセッティングを子どもに任せているんですよ。そうすると、ぼくが想像する以上にちゃんとやってくれる。
たまには激しいスルーパスを出さなきゃいけないんだと思います。無理かな?って思うくらいのパスを出さなきゃ、家族というチームは成長していかない。やっぱり家事には協力体制が必要だなと思います。
ーーたしかに、めんどくささを手放すことも大切ですね。
先日知り合った編集者さんが、「子どもの頃、お母さんにもっと頼ってほしかった」と言っていたんですよ。このように、実は頼ってほしいと思っている家族もいると思う。もし料理をしない家族がいたら、料理をしてもらうのは難しくてもテーブルセッティングだけでもいいからお願いしてみたり、土曜日だけは料理を各自でつくる日にしてみたり…。もちろん、外食や出前に頼る日もあっていいと思います。
ちゃんとやる日、やらない日、何かに頼る日、家族に振る日。料理を家族のプロジェクトとして捉えて、「誰か一人がやらなくても家庭は回る」ようになれば理想ですね。
「ポジティブ変換」で楽することをたのしんで、さらには「やらない勇気」を持ってみる。「めんどくさい」を取り巻く環境が少しでも変わっていくといいなと思います。
コウケンテツさんトークショー開催決定!
アイスム読者のための特別企画として、コウケンテツさんのトークショーを開催いたします。テーマは「料理を楽しむためのポジティブ変換」。
お子さま連れOK!アイスムで連載している「コウケンテツの『作ってみよう!休日かぞくごはん』」に掲載しているレシピを元にした特別なランチワンプレートつき。
日時:5月20日(土)11:00〜13:00
場所:東京都千代田区大手町(詳しくは参加者の方にお知らせします)
出演者:コウケンテツさん、枡田絵理奈さん(進行役)
募集人数:20名程度(1人あたり4名まで申し込み可・お子さま可)
参加費:1人2,000円(税込)※食事付き/お子さま無料
※トークショーの様子はアイスムのYouTubeチャンネルにて生配信いたします。
お申し込み方法(5月17日〆切)
1. アイスムのLINEアカウントを友だち登録してください。
2. トーク画面から「トークショー参加希望」とメッセージを送ってください。
3. 返信メッセージにしたがって、応募フォームより必要事項をご記入の上、お申し込みください。
4. 当選結果は、5月18日までに当選者の方にのみLINEにてご連絡いたします。