食事の時間は「自己肯定感」を高めるチャンス!
第一回目のコラムでは「日本キッズ食育協会」チーフトレーナー/理事の爲我井あゆみさんに、そもそも「食育」ってなに?ということを教えていただきました。「これなら自分にもできるかもしれない!」と、少し前向きになれた方も多いのではないでしょうか?第二回は、もう少し踏み込んで、子どもの「自己肯定感」を高める食育や、食事の時間を楽しくするヒントについて書いていただきました。「自己肯定感」と聞くと、これまた少し、難しそう…と身構えてしまうかもしれませんが、今回もまた、ちょっとした心がけで今すぐにできることばかり。ママ・パパにも、子どもにも優しい、食育のハナシです。
食事の時間に「自己肯定感ポイント」をためていく
「自己肯定感」という言葉を最近よく耳にします。言うまでもなくこれはとても大切なもので、自己肯定感を子どものうちに高めておくことは、壁を乗り越える力につながると言われています。
この自己肯定感というのは、いわば「ポイント制」です。元々「自己肯定感ポイント」をたくさんためている人が、例えばちょっとした壁にぶつかった時も、めげずに頑張ることができるのです。
実は食事の時間というのは、子どもたちの「自己肯定感ポイント」をためるのにぴったりです。
食事には、
「お野菜食べられたね!」
「お米の粒を残さず食べてえらいね!」
「お箸持つのが上手になったね!」
「お椀に手を添えてるのが素敵だね!」
「お皿を片付けてくれて助かる、ありがとう!」
など、声がけができるタイミングがたくさんあります。この積み重ねが、「自己肯定感ポイント」をためることにつながります。
食事のマナーの身につけ方
また、こういった声がけは、子どもたちの「得意」に変身し、マナーなどが身につくきっかけにもなります。
食事のマナーは、怒って伝えるよりも、ポジティブな声がけを繰り返す方が、子どもたちは早く吸収します。
「怒られたから直す」という形では、怒られる行動をしないと見直すきっかけになりません。でもポジティブな声がけは、それに気づくことでたくさんきっかけ作りができるのです。
20人以上いるクラスでも、お喋りに夢中になっている子に声をかけるのではその子だけにしか響きませんが、一生懸命食べている子に「もぐもぐと食べて素敵だね!」と声がけをすることで、クラスみんながもぐもぐとしっかり食べ始めます。とても微笑ましい光景だなと思います。
大変なこと、頑張ったことは作った人がプレゼンしていい!
食事を作る大変さというのは、普段作っていない人や、経験していない子どもたちには、伝わりにくいものかもしれません。「せっかく作ったものを食べてくれない」というのは、よく聞くお悩みです。
レッスン中、子どもたちが「玉ねぎ切るのは目が痛いからやだ〜!」「じゃがいもの皮むき大変だからやだ〜」と、口にすることがよくあります。その時はすかさず、「そうだよね、いつも作ってくれている人は大変だよね、感謝しようね!」と伝えるようにしています。
そういったちょっとした大変さを知るだけでも、お母さんが作ってくれたものへの、感謝の気持ちは生まれます。
とはいえ、それはたった一回のレッスンで身につくわけではありません。だからこそ、日々のコミュニケーションが大切になってきます。
お母さんは、万能ではありません。「無償の愛」だけで毎日のごはんづくりができるわけではありません。そして子どもたちにとって、ごはんを作ってもらうことは、決して「当たり前」のことではないのです。
だからお母さんは、「大変だ」ということは、口にしても良いと思います。
日々の食事の中で、お母さん自身も自分の頑張ったところをプレゼンし、いっぱい感謝をしてもらってくださいね。
そして頑張って食べた時には、「たくさん食べてくれてありがとう!」と伝えてあげてください。作ったものを食べてくれることが、お母さんにとっての喜びだということを、ぜひ伝えていってくださいね。
食べ物に対して、ポジティブな言葉を使おう
もう一つ、覚えておいて欲しいポイントがあります。
お母さん自身が、作ったごはんのことを「ちょっと焦げちゃったけど食べてね」など、ちょっと謙遜したり、マイナスな言葉を口にすることがあるかと思います。でもその必要は全くありません。
そのマイナスの発言こそが、好き嫌いの原因にもなりかねないからです。
大人でも、「焦げちゃったけど…」と出されるものよりも、「いい焼き色がついているな〜おいしそう!」と言われて出されたものの方が、おいしそうに感じませんか?
ぜひ、食べ物に対してポジティブな言葉を使うよう、意識してみてくださいね!
この方法を実践すると、自然と笑顔のある食事時間にもなります。食事の時間に笑顔が増え、コミュニケーションも増えていく。そのコミュニケーションの中で「褒められる」この循環が、子どもたちの豊かな心を育む「食育」となるのです。