おしえて桃屋さん!「ごはんですよ!」の海苔は、どうやってやわらかくしているの?〜春日部工場編〜
食べものにまつわる、こどもたちの「なぜ?」「どうして?」。おうちの方もよく聞かれるのではないでしょうか。そこで、こどもたちからのお手紙を片手に、しゃしん絵本作家のキッチンミノルさんに、実際に工場やお店の方に疑問の答えを聞いてきていただきました!写真と動画で、楽しくリポートします。社会科見学に出かけたつもりで、ぜひお子さんといっしょに楽しんでくださいね!

前回はキッチンさんになずなさん(8歳)からいただいたお手紙を桃屋さんの松阪工場に届けていただきました。青さのりをプールに泳がせて、人の手と目でていねいに選別作業されてましたね。

はい。松阪工場では「ごはんですよ!」の材料の海苔をていねいに洗浄・選別しふわふわになった青さのりが急速冷凍されるところまで見てきました。その青さのりが冷凍トラックに乗って三重県の松阪工場から埼玉県の春日部工場へ7時間かけて向かうそうなのです。

7時間も!

長旅です!!そして春日部工場ではおいしい海苔のためにどんなことが起きているのか!!

気になります!

ですよね〜。お手紙届けに行ってまいります!!

いってらっしゃ〜い〜
編集部補足)お手紙はこちら
ももやのみなさんへ
「ごはんですよ!」の、おかずは、わたしの大こうぶつです。
ごはんが出るときに、「ごはんですよ!」のおかずをかけていました。
「ごはんですよ!」は、いろんなときに、つかえて、おいしくて、とっても大好です!!
また、「ごはんですよ!」で、出る、海苔は、どうやわらかくしているのか、しりたいです。
これからも、がんばってください。おうえんしています。
なずなより
補足2)

桃屋「ごはんですよ!」
1973年に商品化されてから老若男女に愛される海苔の佃煮。
キッチンミノルが大きな道路から畑の広がる小道に入っていくと、馴染み深い「ごはんですよ!」のいい香りが漂ってくる。「ここまでくればこの香りを頼りに進んでいけばいい!」とキッチンミノルは鼻をクンクンしながらどんどん知らない道を自信たっぷりに進んでいく。すると目の前には桃のマークが描かれている工場がみえてきました。キッチンミノルはなんだか得意そうな顔をしています。
出迎えてくれたのは上野憲一工場長。桃屋ひとすじ勤続39年。

今日はよろしくお願いします!

ようこそいらっしゃいました。

今日は松阪工場につづき、なずなさんのお手紙を届けにやってきました。

ありがとうございます。うれしいです。

松阪工場では「ごはんですよ!」のとろりとした食感の決め手のひとつでもある原料の青さのりの洗浄・選別工程を見させていただきました。とてもていねいに、細く、最後の最後まで洗浄・検査をされていて驚きました。
そして、こちらにも「ごはんですよ!」のとろりとした食感やおいしさのひみつがあるそうですね。

はい。この工場では原料の青さのりを調理し、びん詰めをしています。なずなさんが書いてくれた「ごはんですよ!」の、やわらかさの秘訣は、この工場にもかくされていますので見に行ってみましょう!

楽しみです。お願いします!!

松阪工場でマイナス5度で冷凍保管していた青さのりはそのままの状態で冷凍トラックに乗せて7時間かけてここ春日部工場にやってきます。

わ〜松阪工場でみたままのきれいな色!

そうでしょう。マイナス5度という一定の温度管理をすることで春日部工場でも鮮度のいいまま届きます。

なるほど。

工場に海苔が届いたら、さっそく作業を始めていきましょう!

力仕事ですね。

そうですね。凍った海苔は重たいので、必ず二人がかりで作業しています。まずは凍った海苔と調味液を混ぜていきますよ。この機械は、混合機といいます。

混合機の中で歯ぐるまが回っていて、凍った海苔のかたまりを砕いています。

はい。かき混ぜながら調味液を入れ、海苔と調味液がちゃんと混ざるようにしています。

醤油の香りがたまらないなぁ。あっという間に混ざりますね。この調味液はなにが入っているのですか?

醤油と砂糖。かつおとほたてのうまみが入っています。

ほたてのうまみも!!

そうです。かつおとほたてのうまみこそが「ごはんですよ!」の味のひみつなんです。

「ひみつ」、好きな言葉です。

あはは。実は調味液の配合は工場でもほんのひとにぎりの人しか知らないんですよ。

ええー!ますますドキドキしてくる。

混ぜ合わせた海苔はパイプを通して釜に送り、炊いていきます。今、ちょうど炊いているようですよ。

真剣ですね。

そうですね。じつは「ごはんですよ!」のやわらかさは、この煮込む時間にひみつがあるんです。

ここにもひみつが!煮込む時間が……

はい。短いんです。
佃煮は普通、一時間以上炊くものなんですが、うちでは青さのりの食感を失わないように、浅炊き、つまり煮込む時間を短くすることにこだわって煮込んでいます。
細かな時間は気温や湿度によって、また日によって違うので断言できないのですが、それがなずなさんが疑問に思ってくれた、やわらかさのひみつのひとつになっています。

そのひみつが今この釜の中で現在進行中なんですね。
なるほど。この真剣な眼差しは「ごはんですよ!」の食感を見極めている目なんですね。

そうです。

なんだか慌ただしくなってきました。

そろそろ炊き上がりみたいですよ。
(緊張感が漂う現場……)

おおおお〜!できたての「ごはんですよ!」うまそう……

キッチンさん!まだまだ集中してよく見ていてください。

棒を使ってかき回しています!海苔をなにか道具の上にのせたぁ〜!!

いい仕上がりみたいですね。最初に棒をかき回していたのは、手に伝わる感触やとろみを確認しているんです。

最後ふしぎな道具に「ごはんですよ!」をのせて、のぞいていましたが、なにを……?

あれは「示度計」といって、どれくらいまで煮詰まっているのかを目で確認するものです。
ある程度、濃度や材料と調味液の分量、煮込む時間を数字で管理していますが、最後の最後は、私たちの経験で判断をしています。
日々変わりなくいつ食べても同じものが出来上がるのが大切であり、そしてそれがとても難しいのです。

やっぱり最後は人の目なのですね。

そうですね。なずなさんのように、日々のごはんのお供に「ごはんですよ!」を食べてくださっているみなさんが、食べる時々によって「味が違う?」と感じられるようではいけませんからね。

季節や天気が日々変わる中、それを続けていくのはとても大変そうですね。

大変ですが、みなさんをがっかりさせてはいけないという思いで取り組んでいます。
「ごはんですよ!」は1973年の発売当初から味を変えずに作り続けているんです。

50年近くも変わらず!すごい!!まいりました!!!
ところでよく見ると「ごはんですよ!」を炊いた釜、とても大きいですね。この釜ひとつでどれくらいの量の「ごはんですよ!」を作ることができるのですか?

この大きな釜ひとつでだいたい6000本の「ごはんですよ!」(1本あたり145g)が作れます。

すごいなぁ。

なんといっても、全国で売られている「ごはんですよ!」はすべてこの春日部工場で作っているんですから。

すべて!

さぁさぁ、次はびん詰め作業を見に行ってみましょう!
ここがびんを保管する倉庫です。入ってみましょう!

わーすごいびんの山。

ここからはびん詰め作業の工程を見ていきましょう。

びんが一気に吸い上げられて、ベルトコンベアーで流れていきます。満員電車を眺めている気分になりますね。

あはは。

一度でどれくらいの数を持ち上げているのですか?

400本です。

うひゃ〜〜〜!!!

ここからびんの旅が始まりますよ。大量に流れてきたびんを一列に整列させて、「ごはんですよ!」を入れる機械へ送ります。

ものすごい速さで、どうなっているのかわかりません。

1分間に約400本、びんに「ごはんですよ!」を詰めることができます。
左から空のびんが流れてきて一周する間に、先ほど炊き上げた「ごはんですよ!」を詰め終わります。
裏を見てみましょう。

はい。

炊き上げた「ごはんですよ!」が商品に変わっていく瞬間ですね。

それではこちらにどうぞ。
ここでは、ひとつひとつにばらつきがないかどうか、商品を取り出して検査しています。

たくさん流れてくる中から、いくつか選んで検査ですか?

はい。それによっていつも変わらない「ごはんですよ!」ができあがるのです。

変わらない品質を保つって本当に大変ですね〜

そうですね。
次はキャップをする工程をみていきましょう!
上からキャップが流れてきて、それをびんの上にのせていきます。

一番最初にキャップを開ける時に、「ポン」と音がするんですよね。新しいびんを開ける時に、この音が鳴るとうれしいです。なんなら毎回鳴ってほしいくらいです!

あれはびんが開いていないですよという証拠なので、最初の一回目だけ鳴らないといけないんです。

そ、そうですよね。

キャップを締めながら、中の空気を抜いていきます。そのため、初めてキャップを開けるときに、びんの中に空気が入って音がするんです。

空気が入っていないと、なにがいいのですか?

空気が入らないことでつくりたての新鮮な状態を保つことができるんです。

なるほど、そこにもおいしさの秘訣が隠されているんですね!

はい。このあとはキャップに透明なキャップシールをかけ、ラベルを貼れば完成です。

おおー

でもここで気を抜いてはいけません!

おっと!?

最後はまた人の目によって、ひとつひとつ問題がないか確認しています。

たくさんの工程を経てやっと商品として工場を旅立ち、全国のスーパーなどのお店に並び、僕たちの食卓にのぼるのですね。ふ〜長い旅路でした。

はい。「ごはんですよ!」を食べる時はぜひ思い出していただけたらうれしいです。

ありがとうございました!
コラム 熟練さんにごあいさつ
調理グループ 第一調理課
太田哲男さん
海苔を調理して、びん詰めの機械へ送るまでを担当しています。
調味液のブレンドは私が朝、調合しています。
調合した調味液のサンプルを工程管理課に送り、検査して合格すると、私のところに電話がかかってきます。不合格になることはまずありませんが、朝が一番緊張しますね。
松阪工場ともよく電話します。原材料になる青さのりについての情報共有をし合うことで、松阪工場から最高の状態で海苔が届きます。とても感謝しています。
びん詰めの製造ラインは止めることができないので、お昼は調理グループ内で早番と遅番に分かれて取るようにしています。
やっぱり「ごはんですよ!」をおいしいねって言われるときはうれしいですね。
「ごはんですよ!」は白いごはんにのせて食べるのが大好きです。鍋や味噌ラーメンに「生七味(正式名:さあさあ生七味とうがらし 山椒はピリリ結構なお味)」や、「きざみしょうが」を入れるのもいいですねぇ。そうそう、角切り海苔をペペロンチーノにのせるのも絶品ですよ!!
最後に工場長さんから、お返事のお手紙をいただきました。
いつも『ごはんですよ』を食べてくれてありがとうございます。
「ごはんですよ」の工場は埼玉県の春日部市にあります。
春日部市は『クレヨンしんちゃん』がうまれたまちでゆうめいです。
いつもこの季節はちかくの小学校からたくさんの子どもたちが工場見学にきます。
でも、いまはコロナのせいでまったくこなくてさびしいです。
はやくコロナがなくなって そとであそべるようになると いいですね。
そうなったら なずなちゃんも ももやの工場へあそびにきてください。
これからもおいしいものをたくさんつくります。
なずなちゃんもたくさんたべてくれたらうれしいです。
元気にあそんで、勉強して、ともだちをたくさんつくってたのしんでくださいね。
ももや かすかべこうじょう
うえのけんいち
※おじさんはねこがだいすきです。
「届け!お手紙!キッチンミノルのおうちで社会科見学」では、子どもたちからのお手紙を募集しています!
キッチンミノルさんに行ってもらいたい、食を扱うお店や工場に、お手紙を書いてみませんか?
知りたいこと、前から不思議に思っていたこと、聞いてみたいこと…。どんなことでも大丈夫です!
応募は、アイスム公式LINEよりご連絡をお願いいたします。
LINEトーク画面より「おうちで社会科見学」と送信の上、お子様のお名前(ニックネームなどでも可)と年齢をお送りください。