成長をかみしめつつ食べる
ぼくが働いていたアニメ会社では、みんな業務中によくお菓子を食べていました。
上司曰く「真剣に考えながら絵を描くと、マラソンしているときと同じくらいカロリーを使うんだ!」とのこと。「そんな馬鹿な」と思ってはいましたが、実際社員に太った人はほとんどおらず、机の上には決まって山積みのお菓子が置いてありました。
そんな自分もいつの間にか、コンビニで新商品のお菓子を片っ端から購入し、机の上に積み上げて思う存分食べる…なんていう生活を送るようになっていました。
でも現在のぼくはあの頃とは真逆で、なかなかお菓子を食べることができません。我が家のドン、長男くんによって厳しい管理下に置かれているからです。
ポテトチップスの開封音が聞こえようものなら隣の部屋から飛んできて「食べちゃダメ!」「全部ぼくのもの!」と怒る始末。そして自分が食べる様子をにやにやしながら見せつけてくるのです。
いつの日か隣に並んで「このお菓子おいしいね~」と共有したいものですが、イヤイヤ期に入ったばかりなのでまだずっと先になることでしょう…。
長男くんの前で食べることが難しいのは、完全に理解しています。理解したうえで、それでもお菓子が食べたい!!!!そう思って、最近は様々な手を使い、お菓子をこっそり楽しんでいます。
その一「忍法 どんぶり隠し」
比較的近くに長男くんがいて、こちらの様子をうかがっているときに使う方法です。
高めの机にどんぶりを置いて好きなお菓子を入れ、外からは何が入っているかわからないようにします。たまにこちらを凝視していることがあり、うっかり口に運んでいるところを見られてしまうこともあるので気を付けないといけません。また、香りの強い食べ物も気づかれてしまうため、一口サイズで香りのあまりしない、チョコレートなどが向いています。
最近のお気に入りは、セブンイレブンのココナッツにチョコレートが絡めてあるお菓子。一粒はとても小さいのに、口に入れるとココナッツの香りがめいっぱい広がるので少量で満足できます。
その二「忍法 苦い苦い責め」
初見のお菓子などに使うことが多い方法。堂々と食べ物を見せつつ「これはにがいにがいなんだよ〜」と言って食べます。
ただ、長男くんが幼い頃は八割方成功していたのですが、最近では「そのお菓子、見たことあるぞ!苦くないぞ!よこせ!」となり、失敗の確率の方が高くなりつつあります。
昔は初めて見るお菓子にはまったく興味がなかったのに、最近はどんどん新しいものにもチャレンジする姿勢を見せてくれるようになりました。すごくうれしい反面…ちょっぴり困ります(笑)。
その三「忍法 ごはん作ってます」
今のところ、一番成功率が高い方法です。
台所の奥の方にお菓子を用意しておき、野菜を切りながらもぐもぐ。肉を炒めながらもぐもぐ。
調理中は常にいろんなにおいがするため、お菓子の香りもまぎれるのがうれしいところ。
だいたい何を食べてもOKなので、大きめのものを食べるときなどにも使います。気を付ける点は、手元ばかりに集中していると長男くんが背後に立っているときに気が付けないことと、急に呼ばれたときに口の中にお菓子が入っているとばれることです。
最近は、カルディの「ポロショコラ」に大ハマり。めちゃくちゃ濃厚なガトーショコラで、温かいミルクや紅茶と一緒にちびちび食べています。寒い冬は温めてもよし、暑い夏は冷やしてもよし。チョコレート好きにはたまりません。
その一〜その三を振り返ってみても改めて、堂々とおやつを食べられる時がない!でも、そんなふうに食べるお菓子って、ものすごく楽しいんですよね。
一人で集中しながら味に浸るのもよいけれど、これはこれですごく良い。こんなことまでできるようになったんだ…と、長男くんの成長をかみしめながら、日々取った取られたの攻防戦を繰り広げています。
さぁ、今日は隠れながら何を食べようかな。