ゲームが好きな子どもは川に連れて行く
やはり自然の中で遊ぶのは最高である。そんな体験をした。
奈良県の吉野に息子たちを連れて遊びに行ったのは数日前のことだ。東京から車で8時間の距離なのでなかなか遠かったが、半日掛けても行く価値が十分過ぎるほどあった。最近はすっかり遠出もしていなかったので、出発前はひさしぶりの旅行に息子たちと胸を踊らせていた。
この景色を見て欲しい。今すぐ川に飛び込みたくなる景色だ。吉野は日本遺産にも指定されている場所なのだが、自然豊かで美しい緑が広がっている。
今回はライターのヨッピーさんに誘っていただき、吉野までやってきた。
ヨッピーさんのおばあちゃんちが吉野にあり、小さい頃からこの川で遊んでいたそうだ。
まさにリアル「ぼくのなつやすみ」。
こんな場所に自分の田舎があるって最高だ。
僕には田舎のおばあちゃんはいなかったのだが、高校の頃に山形の全寮制の学校(めっちゃ田舎)に通っていたので、学校の近くの川で泳いだり、イワナを獲ったりして遊んでいた。僕にとって山形は第二のふるさとなのだが、息子たちにも大人になって思い出せる田舎を作ってあげたいと思っていた。吉野に来てみて「これ!これを求めていました!」という気持ちになった。
川で遊ぶ次男の表情が活き活きとしている。まさに水を得た魚である。普段から泳ぐのが好きなので、プールにはよく連れて行くのだけどテンションの上がり方が全然違う。
プールだと「うっひょー!!!!」くらいだけど、
川だと「うっひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおー!!!!」っていうくらいの違いがある。もう雄叫びレベルのはしゃぎぶりである。
息子たちのQOL向上のために川の近くに引越したほうが良いのかなと、一瞬考えてしまうほど楽しそうに遊んでいる。やはり自然には人間の生命力を引き出す力があるんだと息子たちの様子を見て確信した。特に今年の夏は部屋の中で過ごすことが多かったので、どうしてもゲーム&YouTube漬けになっていたのだが、吉野川で水鉄砲を片手にブチ上がっている息子は完全にフォートナイトのことを忘れていた。全国の子どものゲーム中毒で頭を悩ませている親御さんには川遊びをおすすめしたい。
大人たちも子どもに負けずにはしゃいでいた。
大人になっていろんな遊びをしてきたけど、自然の中で遊ぶのはなんでこんなにおもしろいのだろうか。緩やかな川を浮き袋でプカプカと流されたり、岩の上から飛び込んでみたり、平べったい石を探して水切りをしたり、大人たちも子どもみたいに遊んでいた。
金も名誉もいらない、僕はただこのままずっと川で遊んでいたい。マジで引越そうかな、川の近くに。
今回泊まったのは、廃校になった小学校。
「学校に泊まる」「校庭でBBQ」「流れる川で泳げる」
楽しい三拍子が揃い踏みである。こんなんいくらあっても困らない、お楽しみ要素の詰め放題パックである。僕も子ども時代に戻って同じことがしたいくらいだ。無論息子たちは「もちろん夜は肝試しやるよね!?」とはしゃぎまくっていた。
「野外で食べる料理は総じて美味いが、特に夏のBBQは野外飯のキングオブキングスだ。
『火で肉を焼く』という行為はやはり原始的で、現代人が忘れかけている人間が本来持つ『野生』を取り戻そうとする儀式なんじゃないかと考えている。だから我々にとってBBQは自然へ帰ろうとする根源的な原点回帰なのだ」
…こう息子たちに話したのだがあまり伝わらなかった。
僕は子供の時に焚き火が大好きだった。そして息子たちもよく焚き火をやりたがる。息子たちは『焚き火』に対する人間の欲求について、まだ考えたことはないと思うが、人間は火を見ると心が落ち着くのだ。火は獣から自分を守るものであり、暖を取るものでもあり、そしてごはんを作るためのエネルギーでもある。人はそのことを時々思い出し、そして確認したくなるのだ。
僕がまだ小さかった頃、父はよくキャンプに連れていってくれた。山にいってテントをみんなで協力して張って、川遊びをして夜はやっぱりBBQをした。
川遊びをしている時にふと足をみたらヒルがくっついていて、スタンド・バイ・ミーの少年たちのように悲鳴をあげたこととか、夜にBBQをしていたら大雨が降ってきて水浸しになったこととか、そんなことをよく覚えている。
そんな僕も今では二人の息子を育てている。どんな子育てをしたらいいのか色々考えたりするのだが、やはり自分が子どもの頃に一番楽しかったことを息子たちにやってあげるのが一番なのかなと思う。時々は自然に立ち返り、野生を取り戻す。たくましく生きて欲しいと父親として思う。
来年の夏もまた吉野に行きたい。息子たちを連れて。