
そうだった、スーパーの買い物はコミュニケーションだった
きじまさんは言いました。「最近、改めてスーパーの楽しさに気付いちゃったんですよね」。誰かの「推しスーパー」に行って、一緒に買い物をしたら、もっと楽しいかも!というわけで、この企画が生まれました。スーパーを案内してもらうお礼は、買った食材で作るきじまさんの即興料理です。さあ、出かけましょう。
ビッグマーケット本庄鮮魚 本庄店へ!
今回訪ねたのは、埼玉県本庄市にある、ビッグマーケット本庄鮮魚 本庄店。鮮魚店を中心に、肉や野菜も充実。埼玉県内で本庄店と鶴ヶ島店の2店舗展開しています。

こんにちはー。ここではよく買い物するんですか?

家からは少し離れているんですが、見るだけでも楽しいから、月に3〜4回来ています。

けんたさんは、スーパーの買い物が好きなんです。ふだんの料理もほとんど作ってくれています。

お、料理担当なの?

食いしん坊で料理が上手。私が仕事の帰りが遅い時は、いつも作って待っていてくれます。

僕は、在宅で仕事をする日も多いので。

料理は、好きな人、やれる人がやればいいもんね。じゃあ、ここはけんたさんの推しスーパーなんですね。どこが好きなの?

魚売り場です。魚が好きだから、見ていて楽しい。

よし、早速行きましょう
取材したのは12月中旬。正月を迎える準備が始まっていて、入り口には酢だこの樽が山積み!正月向けの商品もたくさん並んでいました。

うわぁ、年末のスーパーは盛り上がってるねー。

酢だこにも赤と白があるんですね。

そうですね。しかし、こんなにたくさん食べるのかな。

うちは年末にたくさん買って、毎日少しずつ切って食べ続けますよ。子どもも大好きで。

そうか。同じお正月でも、家によっていろいろな食べ方があるよね、そういう話はおもしろいね。
店舗に入ると、その大きさにびっくり。冷蔵陳列ケースが何列もあり、通路も広々としています。入り口付近の正月コーナーを抜けると、左手に寿司売り場がありました。

さすが「本庄鮮魚」というだけあって、寿司コーナーも充実している。ネタがでかいよ!

ここの寿司、おいしいですよ。

どんなネタが好き?

私は白身魚!平目好きですね。

僕は小肌(コハダ)とか。他のスーパーの寿司にはないようなネタがあるから、そういうものを選びます。

おいしそうだなぁ。

カゴを持ってきましょうか。

いいよいいよ、まずは下見だから(笑)。
さっそく鮮魚売り場へ移動。入り口から見て正面奥、店に入ってまず目に入る場所にあり、まさに“花形”という感じです。

ここは市場っぽくて、楽しいんです。

うんうん、テンション上がるね。

丸ごとの魚もたくさんあるし、種類が豊富だから、買わなくてものぞきたくなります。

けんたさん、魚料理も作ります?

煮たり焼いたり、作ります。かわはぎも時々買います。皮をペリッとむくのが楽しい。

いいねー。かわはぎっておいしいよね。
丸ごとの魚が、ずらりと並んでいます。
お客さんを見ていると、魚を丸ごとで買うひと、刺身や三枚におろしてもらう人などさまざま。大きく窓があいている形なので、声をかけやすいし、さばいている様子もよく見えます。

お店の方、みんなシャツにネクタイですねー。それでいて、作業は職人っぽい。きちんとしていてかっこいいから、なんだか信頼感がわきます。

魚をさばきながらなのに、お客さん対応がきちんとしてるし、説明も親切ですね。見ていて飽きないなあ。
話す3人

今日はどんな料理を作りましょうか。リクエストはありますか?

お弁当のおかずになるようなものを教えてほしいです。

おぉ、お弁当!ふだんはどんなふうに作ってるの?

メインとサブを何種類かずつ。作りおきや、冷凍しておいたおかずを使って、5日間やりくりしています。マンネリになるから、アイディアが欲しくて。

じゃあ、それも考えながら売り場を見ていきましょう。
魚の次は精肉売り場へ。

ちょっとちょっと、豚バラ軟骨が売ってるよ。しかもこんなサイズでは見たことない。

すごいですねー。

煮たらウマイと思う。でも、今日煮るには時間が足りないかな。圧力鍋はありますか?

あります。時短になるからけっこう使ってます。

じゃあコレを候補にしてもいいね。お弁当にもできるかな、ちょっと脂が多いから無理かな。

もうお弁当テーマじゃなくていいですよ(笑)。おいしそうだから。

あっちには丸鶏のコーナーがあったね。鴨もあるし、種類も多いなあ。これも年末向けなのかな?

丸鶏は、いつでもおいてありますよ。

それは楽しい。肉の部位もいろいろあるし、モツの種類も多い。砂肝は皮をむいたものがあるよ、超うれしいじゃん!

鶏むね肉がスライスされたものまでありますよ!

ハツもスライスしてあります!
興奮して乗り出すスタッフ、掘り出しものを見つけようとカメラを片手に動き回るカメラマンに、ゲストのお二人はやや翻弄されています。

すぐに調理しやすい形にしてあるって、ありそうでなかなかないよ。アイディアだね。
最後は野菜売り場。店の入り口付近にまず野菜、というお店が多いですが、ここのお店では魚、肉、野菜という流れでした。

売り場はコンパクトだけど、品揃えがおもしろい。青いバナナとか、生のココナッツとか果物もいろいろだ。パクチーもたっぷりあるし、エスニック系に使える野菜も多いですね。

このアボカド大きい!

こんなサイズがあるんだね。

アボカドの食べ方を知りたいです。いつも、切って刺身にするか、トマトと合わせるだけになっちゃうから。

よし、アボカドは買いましょう。

もう1時間経とうとしています。そろそろ買い物をしましょう。
ようやくカゴを持って、鮮魚売り場から再びスタート。

牡蠣がおいしそうだよ。甘辛く煮たらお弁当にいけるんじゃない?

いいですね。

貝類も充実してる!マテ貝なんてあるし。

やりいかがおいしそうだから買いましょう。丸ごとトマトソースに入れて煮るとおいしいよ。

丸ごと煮るんですか?

わあ、なんだかおいしそうです。

せっかくだから何か魚もさばいてもらいましょう。スーパーでそういうのを利用しない手はないよね。かわはぎ好きなら、かわはぎにしましょうか。

はい!
鮮魚売り場の店員さんに声をかけて、かわはぎの刺身を頼みました。

肝も取っておいてください。
店員さん
肝じょうゆにされるんですね、わかりました。

頭も欲しいので入れてください。
目の前で手際よくさばいてくれるので、ついつい眺めてしまいます。

頭はどうするんですか?

煮るとおいしいの。かわはぎは顔が大きいから、捨てるのはもったいないよ。もらって帰れば煮つけが作れるから。
なるほど、こういうオーダーの仕方を覚えておくといいですね。
刺身のできあがり。アラもきれいにパック詰めしてくれました。

魚はこれでいいね。さっき見つけたハツのスライスを塩炒めにして、アボカドを合わせるっていうのはどうかな。

あ、それはおいしそう。
さぁ、そろそろお会計です。
「海なし県においしい魚を」店長 櫻井さんのお話
買い物も終了したので、店長さんにお話を伺うことにしました。

さっき、お刺身を作ってくれたのは店長さんだったんですね!ありがとうございました。

こちらこそ、ご利用ありがとうございます。

楽しく買いものをしました。こちらの寿司ネタ、大きいですねー。

ネタが大きいことは、お客さまに支持されていますから。

やはり人気ポイントなんですね。魚も種類が豊富ですね。

海なし県でもおいしいお魚を、というのがうちのコンセプトです。毎日、東京の豊洲市場に通っていますし、千葉や神奈川からも入れています。インターが近くて物流にはいい場所なんです。

僕もそうですけど、みんな車で来ますから。

埼玉だけでなく、近県からも車で来てくださるお客さまが多いです。

あと気になったのが、売り場のポップや値札についている一言。いろんなバリエーションがあって、つい見ちゃう。

おもしろかったですね〜。冷凍ポテトのコピーとか。
肉売り場の片隅にあった、冷凍ポテトのコピー。

商品名より大きいコピーもあって、見て見て、って感じですよね。手書きのものもたくさんあって楽しかった。

あれは、売り場担当者が考えてつけています。本庄鮮魚がメインですけど、肉や野菜はそれぞれテナントの店舗が入っていて、それぞれ工夫しています。

だから、にぎやかで楽しい感じになるんですね。おもしろかったです。

ありがとうございました。
さあ、家で料理をしましょう!
本日買って来た食材。どんな料理ができるでしょうか。

まずは、時間のかかる豚バラ軟骨からやっつけよう。

圧力鍋を出しますね。

よかったら、一緒に料理しない?
けんたさんも一緒にキッチンに立つことになりました。
圧力鍋に、豚バラ軟骨と水、ねぎの青い部分と玉ねぎの皮を投入。

玉ねぎの皮も入れるんですか。

こういう野菜のはしっこを入れると、香りがよくなりますよ。とりあえず、8分くらい圧力かけましょう。

次はトマトソース煮。玉ねぎとにんにくのスライスを炒めて、トマトの水煮を加えて煮ましょう。少し煮詰めてからやりいかを入れます。

やりいかの軟骨だけ取ったら、あとは丸ごとトマトの鍋に。

本当に丸ごと入れるんだ。

火が通ったら、鍋の中ではさみで食べやすく切ればいいから。いかのワタも一緒に煮るから、それで味が深くなります。
まいたけは、しっかり炒めて水分を飛ばし、塩こしょうをふりました。

これはトマト煮込みの鍋に入れます。うまみが強くなるよー。

ほらほら、トマト煮込みができてきた。

なんだか黒くなっちゃった。

いかすみの色だから、大丈夫。ここに、炒めたまいたけも入れます。

これにまいたけを入れるのか。
やりいかのトマト煮
オリーブオイルで炒めた玉ねぎ、にんにくをトマトの水煮でソースにして、やりいかと炒めたまいたけを煮るだけ。「味つけは塩だけだけど、トマトやいかのうまみがしっかりしているから濃厚な味ですよ。」


これは牡蠣の甘辛味。牡蠣は長く煮ると身が縮んでかたくなるから、いったん取り出すの。煮汁にとろみがついて泡立つくらいになったら、牡蠣を戻し入れます。
牡蠣の甘辛煮
牡蠣はサッと洗ってせん切りのしょうが、砂糖、醤油、酒で2〜3分煮て、いったん取り出します。とろりとするまで煮詰めた煮汁に牡蠣を戻し入れて、少し煮からめればでき上がり。「牡蠣はぷりぷり!濃い煮汁がからめば、おいしくなりますから。」


次は、かわはぎの煮つけ!その名の通り、皮をぺりっとはいで、ねぎと一緒に醤油味で煮るだけです。
かわはぎとねぎの煮つけ
斜め切りにしたねぎをフライパンに入れ、砂糖、醤油、酒で煮ます。「魚はすぐに火が通りますよ。少ない煮汁でも、ときどき煮汁を上からもかければおいしく煮えます。」


さぁ、ハツを炒めますよ。油を熱して、ハツをある程度炒めてからにんにくを入れます。最初からにんにくを炒めると焦げちゃうからね。
ハツとアボカドのガーリック塩炒め
ハツとにんにくを炒めたら、塩をふって醤油を少々。ハツと同じくらいの大きさに切ったアボカドを加えて炒め合わせればできあがり。「醤油を入れると味がしまります。小口切りの小ねぎをたっぷりのせて。」

圧力をかけた豚バラ軟骨はこんな感じに。

やわらかくなったかな?少し煮詰めてから、脂と汁を少し取り出しましょう。
豚バラ軟骨の煮込み
圧力鍋でやわらかくゆでた後、少し脂と汁を取り除いて、砂糖、醤油を加えて煮ればできあがり。小ねぎをのせて、煮汁をかけて。


今日の料理は、砂糖、醤油、酒、それと塩だけ。特別な調味料は使わなくても、素材が違うと味わいはまったく違います。そこが料理のおもしろいところです。

いいにおい〜。楽しみです。
かわはぎの刺身
かわはぎの刺身を冷蔵庫から出して盛りつけ。かわはぎの肝は、醤油を混ぜて肝じょうゆにし、すだちも添えて、つけながら食べます。

6品完成!いただきまーす
1時間20分ほどで、6品ができました。テーブルに並べて、試食タイムです。

お疲れさまでしたー。

やりいかのトマト煮、おいしいです。あんな色になってどうなのかなぁと思ったけど、とってもおいしい!

ね、ウマイでしょ(笑)。パンやパスタと合わせてもいいと思います。

アボカドを炒めるって、おいしいですね。

ハツの食感とも合うよね。これは、あの大きなアボカドに出会わなかったら、考えなかった組み合わせだなぁ。

かわはぎの煮つけ最高!目のまわりとか、骨のまわりもほじって食べてね、そこがおいしいから。

豚バラ軟骨、おいしい。

ね。でも、大きい部分は少しかたかったかな。あまり時間をかけられなかったから。

もう少し圧力をかければやわらかくなりそう。後でやってみます。

今日の買い物はどうでしたか?

おもしろかったです。ふだんは、あんなに時間をかけて買い物することがないから。

でしょ!(笑)。今日のお店は、品揃えがユニークでしたね。種類や産地、値段など、選択肢が多いと選べるし、豊かな買い物ができるよね。

スーパーの楽しさがよく分かりました。キャッチコピーのおもしろさは自分では気づけなかったし、魚売り場でのやりとりも楽しかった。みんなで買い物したからですね。
あらためて、スーパーに行くとコミュニケーションが生まれることを思い出しました。一緒に買い物をする人との会話はもちろんですが、商品の並べ方、ポスターやポップなどはお店からのメッセージ。それを見て、おいしそうと思ったり、楽しく感じたりすることで、お店とも対話をしているのです。おすすめを聞いたり、魚をさばいてもらえるのもお店ならではですね。
今回訪ねた「本庄鮮魚」さんは、年末商戦真っ只中でとても忙しいはずなのに、「お客さまが推薦してくださったのなら」と、取材を快諾してくださいました。私たちがお店の人の対応に気持ちが動かされることがあるように、お店の方にとっても、お客さんの顔が見えるのはうれしいことなのだと感じました。
推しスーパーを案内してくれる方募集!
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