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スーパーは、一番身近で楽しい物産館だった!

きじまりゅうたと推しスーパーへGO! #7

LIFE STYLE
2023.09.01

きじまさんは言いました。「最近、改めてスーパーの楽しさに気付いちゃったんですよね」。誰かの「推しスーパー」に行って、一緒に買い物をしたら、もっと楽しいかも!というわけで、この企画が生まれました。スーパーを案内してもらうお礼は、買った食材で作るきじまさんの即興料理です。さあ、出かけましょう。

スーパーヤオマサ中町店へ!

今回訪ねたのは、神奈川県小田原市にある、スーパーヤオマサ中町店。大正8年に青果小売り業として創業し、今から50年ほど前からスーパーに。小田原市内を中心に11店舗を展開しています。

一緒にお買い物をする人:鈴木さん

数年前に小田原に移住。少しずつ知り合いが増えていくうちに小田原が大好きになったとか。自他ともに認める食いしん坊で、料理をするのも、飲食店で食べるのも大好き。
きじま

こんにちはー。

鈴木

こんにちはー。小田原へようこそ!

きじま

さっそくですけど、鈴木さんのお店の推しポイントはどこですか?

鈴木

まず、果物コーナーが充実しているところ。私、果物が大好きだからすごくうれしいんです。見てください。

きじま

わぁ、スイカがたくさんあるね。ぶどうの種類も多い。売り場も広々としていて、見やすいなぁ。

「地元産の食材に力を入れています」営業本部高山さんのお話

高山

数年前、店内を改装した際に、通路を広くしたんですよ。

説明してくれたのは、ヤオマサ営業本部 営業サポートマネージャーの高山正弘さん。本日はお世話になります!

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高山

お客さんの見やすさと動きやすさを優先して、通路を大きくして、棚も低くしました。

きじま

並べられる商品数が減ってしまいそうですけど…。

高山

商品数より、鮮度のいいものを回転させたほうがいいと考えているんです。鮮度第一です。

鈴木

野菜も地元産が多くてうれしいです。「私は地元生まれです!」というポップがかわいいですよね。

高山

「地元生まれ」の印がついているものは、バイヤーが産地まで行って、栽培や飼育状況などを確かめている商品で、より自信を持っておすすめできます。

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きじま

自分が食べているものの情報や生産者さんがわかるって、大事ですよね。

高山

今年は数年ぶりに、生産者さんを訪ねるツアーも企画しています。

鈴木

それは楽しみ。

きじま

じゃあ、そろそろ店内を回ってみましょうか。

高山

どうぞ、お楽しみください。

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きじま

まずは冷蔵棚を…。お、ちょっとこれおもしろい。小田原産の落花生の煮豆なんてあるんだ!

鈴木

あ、それ気になっていたんですけど、手を出せないでいたやつです。

きじま

買いましょう!

鈴木

わぁうれしい!

きじま

そういう買い物なんですよ、この企画は(笑)。

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煮豆コーナーの隣は、練り物コーナー。かまぼこ、さつま揚げ、ちくわなど種類も多いし、リーズナブルなものからちょっと高級ラインまで、充実しています。さすが、かまぼこが名物の小田原!

きじま

おいしそうなかまぼこがあるなあ。これだけ売り場があるってことは、みんなよく買うんだね。

鈴木

私もおつまみによく買います。

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きじま

加工肉、ソーセージ類も種類がすごく多いね。肉も充実してるなあ。

鈴木

ここのかたまり肉、ラインナップがいいんです。ときどき友人とバーベキューをするんですけど、そういう時にもよく買います。

きじま

なるほどー。肉売り場には担当バイヤーさんの写真がありますね。この写真大きいなあ(笑)。顔が見えると安心感につながるよね。

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肉売り場を過ぎると、大きな漬け肉コーナーがありました。

鈴木

料理が面倒になっちゃう時があって、そういう時に助かるんですよ。それに、この味噌がおいしいんです。

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高山

これは、地元の小田原こうじ屋の味噌を使った、漬け肉です。

スッと登場する高山さん。実は今回、高山さんも一緒に店内を歩いてくださり、「お店の方がずーっと買い物につきあってくれる」というパターンが生まれました。

鈴木

このこうじ屋さんの味噌、調味料コーナーにありますよ。

きじま

お、じゃあ後で調味料コーナーもパトロールしましょう。

肉売り場から漬け肉売り場を通って左方向を見ると、少し広くなって、トロ箱が並んだコーナーが目に入ってきました。

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鈴木

いよいよ、この先が、一番見てもらいたかった魚売り場ですー!

きじま

おぉ楽しみだ。

「どうぞどうぞ」と、高山さんも足早になって先導してくれました。

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きじま

ちょっとした市場感がある。広々として見やすいですねー。カサゴやエイもあるよ。

高山

いつもではないんですが、サメやメカジキが一尾で並ぶこともあります。

きじま

売れるんですか!?

高山

はい、けっこう人気があります。サメは、骨格標本にしたいというお客さまがいらっしゃいました。

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鈴木

アブラボウズ(おしつけ)が山盛りだぁ!

きじま

深海魚だよね。こんな風に売っているところなんて、見たことない。

鈴木

この魚売り場は眺めるだけでも楽しくて、いつもぐるぐる2回は巡っているんです。でも、自分ではなかなか調理できなくて。今回、きじまさんに魚料理を教えてもらえたらって思っていたんです。

きじま

いいですよ、魚料理をやりましょう!まずは、どんな魚があるか見てみようか。

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きじま

わかし(ぶりの幼魚)が出てるなあ。

鈴木

舌平目もある。おいしそうですね。

カメラマン

シッタカ(バテイラ/巻き貝)がありますよ、シッタカ!いいなぁ。

我々スタッフも、トロ箱の周りをぐるぐる巡っていましたが、いつの間にか、カメラマンがカメラを抱えたまま最前列で覗き込んでいました。

鈴木

あのぅ、いつもこんなに自由なんですか?

スタッフ

そうです。いつもこんな感じです(キッパリ)。

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きじま

おもしろい売り場ですね〜。

高山

この店の鮮魚担当バイヤーは、競りの権利も持っているので、自分で競り落としたものを仕入れることもあります。

きじま

卸売さんを通すだけじゃなく、直接仕入れられるんですね。だから品揃えがユニークなのか。

高山

港に上がったいろいろな小魚をまとめて買ってきて、パックにしたりもします。

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きじま

これですね!いろいろ入っていて1パック150円。この小さいのはブリみたいな顔してる。ブリの子どもかな。楽しいなあ。

スタッフ

きじまさんなら、このパックはどう料理しますか?

きじま

それぞれさばいて食べるかも。それか、内臓だけとって、まとめて塩焼きか煮魚にしてもいいなぁ。

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少し歩くと、お弁当や惣菜コーナー。寿司コーナーの売り場が広く、充実しています。

きじま

地魚入りの寿司セットがあるじゃないの。

スタッフ一同

おいしそー!

きじま

今日はもうコレを買って食べればいいんじゃないの?作らなくてもさ(笑)。

どの棚を見ても、地元推し!

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鈴木

そうだ、お酒コーナーもおすすめなんです。日本酒のラインナップがいいんです。

きじま

鈴木さん、お酒飲むの好きでしょう。

鈴木

はい、大好きです。

きじま

店舗の広さに対して、酒売り場が広いぞ。棚がいくつもある。

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鈴木

神奈川県の酒造会社のお酒が揃ってるんです。瀬戸酒造さんのお酒もあるのがうれしくて。

高山

この酒造会社さん、なかなか他ではおろしていないんです。うちのバイヤーが通って、お願いして、入れていただけるようになりました。

鈴木

おいしいですよね〜。

きじま

地元のお酒は制覇したの?

鈴木

まだまだ、これからです(笑)。友達が来るときは、必ず地元のお酒を買って飲むことにしています。

さあ、買い物しましょう

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きじま

さてさて、っと(スタッフのほうに顔をむける)。

スタッフ

ほぼ1時間経過です。

きじま

よし、買い物するか!

鈴木

私も自分の家用のものも買いたいから、カゴ持ってきますー。

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きじま

まずは野菜売り場からおさらい。地元産コーナーにあった、立派なオクラを買いたいと思ってたんだ。

鈴木

曲がっているきゅうりもある!これに味噌をつけて食べるの好きなんです。

きじま

いいですねー。こういう小さいきゅうりを見ると買わずにいられないね。ちょっと干して、漬物にするのもおいしいんですよ。

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きじま

お、米売り場にも「地元産」マーク。小袋もあって、お試しにちょうどいいね。

鈴木

小袋は、キャンプやバーベキューの時にも便利ですよ。

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きじま

練り物コーナーも何か買おう。「しんじょう」は焼くか揚げるかすればいいんだよね。

鈴木

いいですね。おつまみによさそー。

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きじま

今日は地元産リスペクトってことで。味噌と漬け肉も買いましょう。

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鈴木

私、この小さいサイズの味噌を、遊びにきた友人のお土産にしています。パッケージもしゃれていていいんです。

スタッフ

友人に味噌のお土産を用意するなんて、素敵ですね。

鈴木

食べてもらいたくて。

きじま

鈴木さん、小田原愛が強いねー!

鈴木

はい、大好きです。みんな移住してくればいいのにー(笑)。

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きじま

そして、本日のメインは魚だね。何がいいかな〜。

店内は通路が広くて気持ちがいい。魚コーナーはまるで市場のようになっていて、ぐるぐる眺めるだけでも楽しいというのがよくわかります。

きじま

見るからにおいしそうだし、いろいろな料理に使えるから、あじにしましょう。あじをさばいてみるのは、どうですか。

鈴木

はい、やってみます!

お店に頼めば、魚はさばいたり、刺身にしたりもしてくれますが、今回は、丸ごとの魚を買うことにしました。

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鈴木

アブラボウズも食べてみたいです。

きじま

料理したことないんだよね。深海魚はかなり脂があるんでしょう?食べすぎ注意かな。

お店の方に質問をして、調理のコツを教えてもらいます。

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担当さん

脂を落とす調理がおすすめですね。塩焼きにしたり、煮るのもいいですよ。

きじま

なるほど、やっぱり塩焼きがよさそうですね。そうしよう。

鈴木

生しらすもおいしいんですよ。

きじま

すぐ食べられていいね、買いましょう。

カメラマン

あのぅ、シッタカは…?

きじま

わかったよ、買うよ(笑)。甘く煮るとうまいと思う。

買い物終了!料理をつくりましょう

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買い物終了!さあ、今日は何品できるでしょう。

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買ってきた食材その1。
今日は食べてみたい魚を中心に、あじ、生しらす、アブラボウズ、シッタカを買いました。話題になった豚の味噌漬け肉も。

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買ってきた食材その2。
野菜と、練り物売り場から「しんじょう」。小田原産の落花生の甘煮。地元の赤みそと日本酒。

きじま

オクラからやろうかな。塩をまぶしてもんで、表面の産毛をとってからゆでまーす。

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鈴木

わあ、うちの台所にきじまさんが!料理を教えてもらえるのが楽しみです。

きじま

しんじょうはグリルでこんがり焼きました。これを食べやすく切る。

鈴木

ぷくっとふくらんで、いい香り。おいしそう。

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きじま

オクラは斜め薄切りにして、鈴木さんの家にあった梅酢であえよう。これに、焼いたしんじょうも入れます。

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オクラと焼きしんじょうの梅酢あえ

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ゆでて薄切りにしたオクラ、焼いたしんじょうに、みょうがの薄切りも加えて、梅酢であえます。

きじま

アブラボウズはグリルで焼こう。脂が落ちて、いい感じになると思う。

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アブラボウズの塩焼き

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切り身を食べやすく切り、両面に塩をふって魚焼きグリルで焼きました。

「これ、わさびをつけて食べてもおいしそうだね。」

カメラマン

きじまさん、シッタカもお願いします!

きじま

そうだったそうだった!甘く煮ましょう。千葉の海の家で、おばあちゃんが作ってくれた感じに作るね。

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シッタカの甘醤油煮

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シッタカは殻をよく洗って鍋に入れ、水、砂糖、醤油を加えて煮ます。

「貝だけで十分味が出るから、だしは必要ないし、酒も入れなくていいと思う。冷蔵庫で冷やしてから食べるのもうまいのよ〜。」

きじま

さあ、あじをさばきましょう。一度やってみますね。

鈴木

よろしくお願いします!

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ここからは、きじまさんの即席魚レッスンが始まりました。血が出ないように頭と内臓を取って、三枚おろしに。そして皮をむくところまでやりました。

※詳しくは、別ページの「きじまさんの魚レッスン」

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きじま

はい、これで三枚おろしのできあがり。あじを上の身と下の身、真ん中の骨の部分の三枚に切り分けます。よし、やってみよう!

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鈴木

まずは、肛門からお腹を切って…。

きじま

がんばってー。

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鈴木

頭を切り落して、内臓も取れましたー。

きじま

よしよし!

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きじま

次は三枚おろしだね。ここに包丁を当てるといいよ。

鈴木

ふむふむ。

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鈴木

できたー!でも、骨にいっぱい身が残ってて、もったいないー(涙)。食いしん坊なので、可食部をできるだけ生かしたいんです。

きじま

刺身用のあじだから、スプーンで身をこそげ落とせば食べられるよ。今日はなめろうにするから、こそげ取った身もちゃんと使えます。

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きじま

皮をはいで、細かく刻んだら味噌を混ぜます。今日買ってきた赤みそを使いましょう。

鈴木

薬味の野菜は何を入れるんですか?

きじま

ピーマンとみょうがです。

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鈴木

あ、さっきみじん切りにしていたピーマンは、なめろうのためだったんだ!ピーマンを入れるなんて、新鮮。

きじま

合うと思うんだよね。

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きじま

味噌をなじませたところに、野菜を入れて、さらにたたく!これでできあがり。

鈴木

わーい、おいしそう。お酒がすすみますね。

あじのなめろう

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細かく刻んだあじの刺身に、味噌、細かく刻んだピーマン、みょうがを混ぜて包丁でたたき、しっかりなじんだらでき上がり。

「ねぎを混ぜてもいいし、しょうがを入れてもおいしいよね。香味野菜はお好みでどうぞ。」

生しらす塩オイル

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生しらすは、オリーブオイルと塩少々でサッとあえて。レモンや赤唐辛子、フライドオニオンを添えて、好みのものをかけたり混ぜたりするスタイルに。

「生しらすって、時間がたつと苦みが出てくるから、水揚げした地元ですぐに食べられるというのが理想的だよね。うらやましいなぁ。」

六品できました!いただきまーす

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魚づくしで、五品完成です。買ってきた「落花生煮豆」も一緒に並べました。

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きじま

じゃあ、日本酒で乾杯!

鈴木

いただきます。

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鈴木

アブラボウズ、おいしいですね!この層になっているような身と身の間に入っている脂がすごい!

スタッフ

さすが。観察が細かい!

きじま

シッタカもおいしいね。クルッと取り出すところもたまらない。

鈴木

煮汁もとってもおいしいです。うまみがしっかりしているんですねー。

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鈴木

実は、ここ1か月くらいなんとなく元気が出なくて、料理をやる気もおきなかったんです。でも、買い物をしたら元気になってきて。

きじま

わかる、そういうことありますよね。でも、買い物したり、みんなとしゃべったりするうちに元気になる。

鈴木

魚料理にも挑戦できて、とても楽しかったです!小田原に来てもらって、地元のものを食べてもらえたのもうれしかった。

きじま

よっ、小田原親善大使!僕も、神奈川県や小田原のものがいろいろ見られて、食べられて、おもしろかったですよ。

実は、スーパーは地元食材の宝庫なのです。一見地味でも、食べてみたらおいしかった、というものが必ずあります。いわば、地元の物産館。お店も、リピートされているものは棚に置いてくれる。ポップを活用して、地元産のもの、今が旬のものをちゃんと教えてくれる。買う人とお店の双方向のコミュニケーションで、スーパーはより楽しいものになっていくのですね。

我々は、観光もしていないのに、なんだか小田原が好きになってしまいました。スーパーで買い物をして、料理を作っただけなのに。土地を知るきっかけは、こんなところにもあったとは。人とのつながりが、土地との縁にもなるのです。

推しスーパーを案内してくれる方募集!

きじまさんと一緒にいつものスーパーでお買い物しませんか?

「きじまさんにぜひ紹介したいスーパーがある!」「あのスーパーで買った食材で、きじまさんに料理してもらいたい!」「大好きな近所のスーパー、でもいつも同じものばかり買ってしまう…きじまさんなら何を買うだろう?」などなど、きじまさんと一緒にスーパーへ行ってお買い物をしてくださる方を募集します!

こちらのフォームから応募理由の欄に紹介したいスーパーの店名をご記入の上、お送りください。

みなさんの「推しスーパー」、お待ちしています!

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取材・文:岡村理恵
撮影:鈴木泰介
取材協力:ヤオマサ 中町店