
ひと工夫するだけで料理がもっと楽しくなる「カレー風味のポテトパイ」ーー崎山つばささんのおうちごはん
ドラマや舞台で俳優として活躍する、崎山つばささん。カレー好きを公言していて、オリジナルのレトルトカレーを販売したり、カレー味のアレンジレシピを紹介したりしています。今回は、カレーにハマったきっかけや料理をするときの思考について伺いました。
ケララカレーを作ったことでスパイスにこだわるように
ーー崎山さんは、カレー味のアレンジレシピに挑戦する連載を持つほどのカレー好きだそうですね。
そうなんです。でも、当初はカレーアレンジをテーマにした連載の予定ではなかったんですよ。初回でタコライスにカレー粉を使ったのがきっかけで、「カレーアレンジの連載にしたらおもしろいかも」と思ったんです。
ーー連載開始前からアレンジレシピはよく考えていたんですか?
味変として料理にカレー粉を付け足すことはありましたね。タコライスもそのうちの一つです。自宅でタコライスを作っているときに思いつきでカレー粉を入れてみたら、すごくおいしくて。連載が始まってからは、さらにカレー粉アレンジが加速するようになりました(笑)。
ーーお気に入りのカレー粉は?
よく使うのは「インデラカレー」ですね。あとは西荻窪にある「エヌ・ハーベスト」というお店のオリジナルカレースパイスもおいしかったです。世界を旅した人が営んでいるお店なので、カレー粉以外のスパイスや紅茶なども揃ってるんですよ。
ーー崎山さんがカレー粉にこだわるようになったのは何がきっかけだったんでしょう?
スーパーに売っていたケララカレーのキットを買ったのがきっかけですね。すりおろしたりんごなどを入れるので、一般的なカレーのルーで作るよりも手間がかかるんです。けど、それが意外とおもしろくて。それからカレー粉やスパイスにこだわるようになりました。今はキッチンのラックにスパイスがびっしり並んでます。
ーーイチオシのカレーアレンジメニューは何ですか?
今日ご紹介する、カレーポテトパイですね(記事の最後にレシピ掲載)。餃子の皮もポテトサラダも余りがちなので、カレー粉を入れて包んだらいいんじゃないかっていう(笑)。
ーー今までにない組み合わせでおいしそうです。連載ではプリンやパウンドケーキといったスイーツにもカレー粉を使用していますが、甘いもののカレーアレンジはどこから着想を得たんですか?
「いろんなバリエーションのカレーアレンジ料理が作りたいな」と考えていたときに、スイーツを作ったことがないことに気づいて。実験的にやってみようと思って、僕から「これ作りたいです」と提案させてもらいました。
いざ作ってみたら、すごくおいしくて。プリンだったら、甘さがしっかりとありつつもカレーの風味をちゃんと感じられるんですよ。
料理をすることがリフレッシュに
ーー崎山さんの自炊の頻度と冷蔵庫のスタメン食材を教えてください。
基本的に自炊は毎日していて、稽古場にもお弁当を持っていきます。冷蔵庫に常にストックしているのは、ヨーグルトなどの発酵食品。体を作るときは、鶏胸肉やブロッコリーをよく食べています。
ーーいつも献立はどのように考えているんですか?
スーパーに行ってから決めてますね。棚に並ぶ食材や隣の人のカゴを見て「あ、おでんいいな」とか(笑)。
何も思いつかないときは、タコライスやガパオライスを作ることが多いです。最近はマイブームの韓国料理もよく作りますね。なので、街中で見たものや香りを感じたものから献立を考えたり、自分なりの定番料理をローテーションしたりしています。
ーー崎山さんの推しスーパーはありますか?
肉のハナマサですね。きゅうりが5本で100円、キャベツがひと玉100円で買えるくらい安いんですよ。大容量で買えるので、コスパの良さにときめきますね(笑)。何を作るか決まっていなくても一旦買い溜めして、後からメニューを考えることもあります。
ーーお仕事や稽古が忙しいときなど、「料理がしんどいな」と思うときはないですか?
本当に大変なときは外食にすることもありますが、基本的には料理がリフレッシュの時間になっているんですよね。料理中は仕事を忘れて調理工程だけを考えていられるので、ストレス発散になります。音楽は流さずに、鍋のグツグツしている音を聞くのが好きです。
ーー料理と仕事の思考がリンクする部分はありますか?
工程を考えすぎたり、計画的にやりすぎたりすることですね。舞台の台本は入念に読み込んで物語の背景を書き出しますし、料理中は常に次にやるべきことを考えてます。考えすぎる一方で、アレンジを取り入れる大胆さもあるかもしれません。
真似できない母親のカレーの味
ーー料理は昔から好きだったんですか?
子どもの頃は、たまに母の料理のお手伝いをしていましたね。あと、母のレシピを書いた料理ノートをよく見ていた覚えがあります。
ーー実家の味といえば何を思い浮かべますか?
コロッケとカレーです。お店で食べるコロッケも良いですが、やっぱり母のコロッケが一番おいしいんですよね。実家に帰って母にコロッケをリクエストするたびに、「面倒くさい」って言われるんですけど、結局作ってくれます(笑)。
カレーは、母と同じルーや食材を使ってもなぜか同じ味にならないんですよね。隠し味を聞いても「たまにコーヒーを入れるくらいで何も使ってない」と言っていて。教えてくれない何かがあるんじゃないかと思ってます。
ーー崎山さんの料理にアレンジを加える思考は、お母さま譲りかもしれないですね。
そうですね。カレー粉以外には、ナンプラーをよくプラスします。ちょっとくせがあっておいしくなるので、ひと工夫したいときには使います。
ーー本格的に料理をするようになったきっかけは何だったのでしょう?
最初は一人暮らしを始めたときに、生きていくための手段として料理を始めたんです。はじめは食べたいものをただ作っていただけでしたが、慣れてきてからは「冷蔵庫にあるものでパパッとごはんが作れること」を目標にしていました。その後経験を積むにつれて、料理が好きになって、どんどん追求するようになったんです。
でも毎回凝った料理を作ってるわけではなくて。ごはんに焼いたお肉をのせたようないわゆる男飯も作りますよ(笑)。
失敗を恐れずに料理に挑戦してほしい
ーー今後料理で挑戦したいことはありますか?
キッチンカーでカレー料理を振る舞いたいです。デザートメニューにカレープリンを出すのもいいかも。ケータリングもやってみたいですが、20〜30人分みたいな大量調理になると大変なのかな…。
ーーリアルに考えてくださって、普段から料理をしていることが伝わってきました。これから料理を始めたい方にアドバイスはありますか?
料理をするきっかけは何でもいいと思いますが、「自分が何を食べたいか」「自分の体を作るにはどの食材が良いか」などを知ると、より食事作りが楽しくなると思います。
自分が味見して「おいしい」と思えば成功なので、調味料も目分量で良いと思うんですよね。たとえ「ちょっとしょっぱいな」と思っても、お水を足してすぐに調整できます。なので、失敗を恐れずに前向きに挑戦してほしいなと思います。
ーーこのたび崎山さんのレシピ連載が書籍化します。最後に、レシピ本『つばさ食堂』を通じてファンの方に届けたいメッセージをお願いします。
献立に悩んだときに、『つばさ食堂』のレシピが一品でも食卓に並んでくれたらいいなと思います。簡単に作れるレシピばかりなので、ふだん料理をされない方も、これをきっかけに挑戦してくれたら嬉しいです。僕ができたので、きっとみなさんも作れます!
餃子の皮で包むだけ!カレーポテトパイ
崎山つばさ料理本『つばさ食堂』より(東京ニュース通信社刊/撮影=booro)
材料(10個分)
作り方

1. じゃがいも(2個)は皮をむき、一口大に切って、あく抜きのために水にさらす。よく水を切った後、耐熱ボウルに入れ、ラップをふんわりかけて500Wのレンジで6~8分程度加熱する。

2. じゃがいもは、加熱途中で一度レンジから出し、全体をかき混ぜると満遍なく火が通る。その後、温かいうちにフォークでつぶす。ハム(2枚)は1cm角に切る。

3. 切ったハムをじゃがいものボウルに移し、調味料の牛乳、カレー粉、乾燥バジル、塩、コショウを加えて混ぜ合わせる。使ったのは「マスコット」のカレーパウダー。

4. 餃子の皮に、3で混ぜた具とピザ用チーズ(ひとつまみ)を乗せ、皮の縁に水を付けて閉じる。具が出てこないように、閉じた部分はフォークでしっかり押さえていく。

5. 鍋にカレーポテトパイがしっかり浸かる高さまでサラダ油を入れて、熱する。菜箸を入れた時に、少し大きめの泡が上がってきたらパイを入れ、中火できつね色になるまで揚げる。

6. トマトケチャップ、マヨネーズ、マスタードを混ぜてディップソースを作る。お好みで付け合わせのスティックセニョールを焼いて、カレーポテトパイを盛り付けたら完成。
崎山つばさ料理本『つばさ食堂』

発売日:2023年12月22日(金)
定価:2,830円(税込)
発行:東京ニュース通信社
「TVガイドStage Stars 」の大好評連載がついに一冊に!連載で紹介した15品に新作5品を加え、和食、洋食、デザートまで、カレー好きである崎山つばさの個性が発揮された、とっておきのカレー味に出会える計20 品のレシピを掲載。未公開カット&特別インタビューも収録。