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ファンからのアドバイスが「おいしい」への近道ーーつばきファクトリー・八木栞さんの「八木メシ」

きのう何作った?

PEOPLE
2023.03.15

さまざまな業界で活躍する著名人の方のおうちごはんに迫る連載「きのう何作った?」。今回のゲストはつばきファクトリー・八木栞さんです。

実はこの取材は、「出たいです!」という八木さんサイドからの逆オファーから実現しました。八木さんのブログには、具なしのインスタントラーメンから始まった自炊の成長記録が詰まっています。最初の写真はファンをざわつかせたものの、次第に「八木メシ」として応援されるようになりました。

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「八木メシ」一作目のインスタントラーメン(2021年8月27日の公式ブログより)

「決してきれいな見た目のお料理ではないのですが…」と低姿勢でのご連絡でしたが、アイスムの信念は「がんばる日も、がんばらない日も、あなたらしく。」なのです。肩肘張らず、無理をせず、日々着々と食と向き合う「八木メシ」とぴったり!ということで、インタビューさせていただくことになりました。

決して料理が得意ではない、と語る彼女が、日々ありのままの食卓を投稿し続ける理由とは?「八木メシ」の原点や信念について伺います。

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お話を伺った人:八木栞さん

2003年9月19日生まれ。愛知県出身。2021年7月、つばきファクトリーに加入。趣味はミュージカル鑑賞で、とくに劇団四季が好き。2023年2月22日には、つばきファクトリーとして10作目となるトリプルA面シングル『間違いじゃない 泣いたりしない/スキップ・スキップ・スキップ/君と僕の絆 feat.KIKI』をリリースした。

「オフィシャルブログに載せる自撮り写真がない!」から始まった料理記録

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ーー本日はよろしくお願いします!まずは「得意ではないけれど、料理が好き」と控えめに語る八木さんが、オフィシャルブログで料理を公開するようになったきっかけを教えてください。

ブログを毎日更新しているんですが、自撮りはあまりしないし苦手だし、載せる写真がなくなってしまったんです。その時に「そうだ、料理の写真をアップしよう」と思いついたのが始まりですね。

ーー自撮りの練習をするのではなくて、未経験の料理に挑んだんですね…?

そうです、そうです(笑)。

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ーー(笑)。最初に掲載した料理は、具なしのインスタントラーメンでしたね。「ちゃんと自分で作ったから、自炊だと私は思います」と添えるところに、八木さんの意志の強さを感じました。

私、今まで料理をまったくしてこなかったんです。実家で暮らしていた頃は、インスタントラーメンを作るのも親に任せっぱなしでした。本当に、インスタントラーメンが自炊の一歩だったんですよね。だからこそ「これも料理だ!」と思って載せました。

ーーその後はカット野菜を使った焼きそばや野菜炒めなど、うまく効率化したメニューが続いています。ブログを読んで驚いたんですが、八木さんはレシピを見ないでごはんを作り始めることが多いんですね。

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もやしとカット野菜を使った野菜炒め(2021年8月28日の公式ブログより)

疲れている時やお仕事終わりには、あんまり考えずにチャチャッと作れる方が助かるんです。しっかりしたレシピに頼ると必要な食材が多くなって、スーパーで色々買って帰らなくちゃいけない気がして。カット野菜があると心強いんです。

もちろん、レシピを見て作ることもあるんですよ。冷蔵庫に余った食材がある時は、「じゃがいもの消費レシピ」とかで検索します。

料理初心者だからこそ、ファンのアドバイスを積極的に取り入れる

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ーー最初に素ラーメンの写真を投稿した時は、ファンの方からもいろんな意見がありました。それが今では「八木メシ」として愛されるようになりましたね。

いろんな意見があるのは当たり前で、むしろ話題にしてもらえるのはありがたいと思っていました。つばきファクトリーでは同期が注目される場面が多くて、私は陰に隠れていたというか、「話題になりにくいのかな…」って感じることもあったんです。今では、ファンの方が「八木メシ」を楽しんでくれることがうれしくて、料理を続ける理由の一つになっていますね。

ーーファンの方からのアドバイスを自炊に反映されていることも多くて、双方向のやりとりが素敵ですね。

そうですね。「味付けは最初は薄くして、足りなかったら後から足せばいいよ」とか、おすすめレシピとか。豆腐の炒め物を作った時には、「豆腐は水切りが必要だよ」とコメントで教えていただきました。

ファンの方からのコメントには、「おいしい」への近道があるように思うんです。最近は自分の味覚を信じて料理することも増えたんですけど、私はまだまだ料理初心者。経験者とはレベルが違うからこそ、ファンの皆さんの意見をうまく取り入れていきたいな、と思います。

ーーSNSや料理本のきれいに撮られた写真を見て、憧れと現実の狭間で悩む方も多そうです。そんな中、八木さんの料理写真は、リアルが詰まっているというか、まっすぐに発信しているなと思います。継続する原動力は、どこからくるんでしょうか?

ファンの方が受け入れてくださったからこそですね。「一人暮らしを思い出しました」と親近感を抱いてくださる方や、「八木ちゃんに影響を受けて、自炊を頑張るようになりました!」と言ってくださる方もいるんです。そういう関係が料理で感じられるのは、大きな理由だと思います。

ーー八木さんは失敗作も堂々とブログに載せていますよね。なかなかできることじゃないと思うんですけど、成長が見えて感動します。

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「ごはんを忘れてしまった」という「カツ丼の上だけ」(2022年6月5日の公式ブログより)

私にとってブログはリラックスして発信できる場なんです。ブログの読者は、私のことを気にかけてくださる方ばかり。悪意を持っていないというか、「私のことを嫌いな人はいないな〜」と感じるんです。だからこそ、私も皆さんに、失敗も含めていろいろなことをそのまま見せられるんですよね。

それに、ファンの方が求める「八木メシ」は、実は成功よりも失敗なんじゃないかな?と最近は感じるので(笑)。

ーー見た目はおいしそうな料理写真にも、「あんまりおいしくなかったです」ってコメントが添えられていたのも印象的でした。

一度作ったことがあるお料理を失敗したときには、やはり慣れって怖いなって思いました。大好きな劇団四季にも「慣れだれ崩れ=去れ」という標語があるんですが、それを思い出しましたね。

スーパーは「まいばすけっと」を利用し、できるだけ節約を

ーーつばきファクトリーのメンバーとして忙しい日々を送る中で、無理なく自炊を続けるコツはありますか?

「やりたい時にやる」のがポイントかもしれません。リハーサルの時は夜遅くなることが多いから、お弁当やインスタントラーメンで済ますことも多いんですけど、お休みの日とか気分が向いたときに料理をすると楽しんでできるんです。

献立もその日に食べたいものを優先します。昨日お肉を食べたとしても、今日も食べたかったら食べちゃう(笑)。気分に合わせた食事をすることが多いですね。

ーー食費は意識していますか?

意識しています。でも、「1か月にいくら」とか予算を組んでいるわけじゃなくて、「できるだけ安く作りたい」という気持ちが、いつも頭の片隅にある感じです。

スーパーにはあまりこだわりがなくて、安く買える「まいばすけっと」を利用することが多いです。単身者向けのカット野菜が豊富で、プライベートブランドなども充実していて、お得な買い物ができるので。

ーー八木さんが冷蔵庫に常備している食材はあるんですか?

ほとんどないですね。作る時に必要なものを買う、という感じなので、冷蔵庫には調味料と牛乳が入っているくらいです。

ーー牛乳!八木メシといえば、いつも牛乳が添えられていますよね。

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玉子丼と牛乳(2021年12月12日の公式ブログより)

カルシウムが不足するとイライラするって聞いたので、いつも意識して飲んでいます。たまにファンの方から「焼きそばに牛乳を合わせるの!?」とか驚かれることもあるんですが、学校の給食って、牛乳が必ずついてるじゃないですか。だから、牛乳と食事って、自分の中では基本セットになっているんです。

先輩からプレゼントされた食器や調理器具を愛用

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ーーハロー!プロジェクトの仲間たちに手料理を振る舞う機会は多いんですか?

最近は先輩にも「八木メシを作るので、食べてほしいです」とお話しています。

ーー先輩に手料理を食べてもらうのって、緊張しませんか?

あまり深く考えず、「作ったら持っていこう!」と思っていましたね。

ーー楽屋に生チョコと長ねぎの照り焼きの差し入れをしたこともあったそうですね。

Juice=Juiceの有澤一華ちゃんから「八木メシを食べたい」と言われたことがあって、彼女から指定された生チョコと長ねぎの照り焼きを持っていったんです。

ーー独特の組み合わせで驚いたんですが、有澤さんからのリクエストだったんですね。

そうなんです。楽屋で配ったんですが、「思ったよりもすごくおいしいね」と言ってくださる方が多くて、自信につながりました。

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長ねぎの照り焼きと生チョコ(2022年1月9日のJuice=Juice有澤一華さんブログより)

最近は先輩方から、ランチョンマットや食器などのプレゼントをいただく機会も増えました。八木メシを応援してくださる気持ちが、とってもありがたいです。

ーープレゼントされた食器はブログに登場するので、ファンの方も楽しみですよね。

プレゼントをいただくととてもうれしいので、すぐ使いたくなるんです。過去にいただいた食器も交互に使うようにして、どれも大切にしています。

ーー調理器具では、つばきファクトリー・リーダーの山岸理子さんからもらったというミッフィー鍋を愛用されていますね。

そうですね。使いやすいサイズで、煮物や揚げ物などたいていのことはできます。ただ、煮物は思ったよりも時間がかかったので、1回しかできていないんですけど(笑)。

洗い物が増えるのが面倒なので取り皿は使わず、ミッフィー鍋から直接食べることが多いです。

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塩ラーメンとトマト缶、チーズを使った「トマトラーメン」。この日のドリンクは牛乳ではなく野菜ジュースだそう。(2021年10月22日の公式ブログより)

「まずは何でも挑戦してみよう」が信条

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ーー2021年のクリスマスには、「明日、八木メシアップします!」と宣言するようになりました。それまでは恐る恐るアップしていたようですが、意識が変わった瞬間ですね。

ファンの皆さんが受け入れてくださっているのが伝わってきて、「私のお料理、見てください!」という自信につながったんだと思います。

ーー最近はオムライスやハンバーグが登場することもあって、ひと手間加える余裕が出てきたのでしょうか?

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「お店みたい」とファンから好評だったハンバーグ(2021年11月10日の公式ブログより)

実感はないのですが、上京して1年半くらい経って、ようやく料理に慣れてきたのかもしれません。この間は、オムライスのオムレツ部分にチーズを入れてみたんですよ。チーズがすごく伸びて、おいしかったです。

ーー八木さんは、作り置きもするんですか?

作り置きは、いつまで日持ちするのかが気になってなかなか挑戦できないんですよね。冷凍も同じで、どの食材は冷凍がOKかとか、未知なところがいっぱいあって。これからかなって思っています。

ーーホームパーティーなどを開催することは?

いやいや!向いてないと思います(笑)。私は色どりを重視するのではなく、おいしくてお腹が満たされる方向性を大切にしているので。

私はまだ冷凍食品とかお総菜から一歩踏み出してがんばっているところなので、映える料理は未知の領域ですね。

ーーお話を伺っていると、ご自身のレベルに合わせた挑戦を一つずつしているんだな、と感じます。

そうですね。「とにかく挑戦してみよう」という気持ちは常にあるかもしれません。私が一人っ子だからか、両親はいろいろな経験をさせてくれましたし、通っていた学校も挑戦することを良しとする気風がありましたから。

失敗はもちろんしたくないけど、失敗があるからこそ成功につながる。そう考えているけれど、やっぱり成功するとうれしいからモチベーションも上がるんです。経験一つ一つをブログで発信するとうれしい気持ちが広がって、料理をするのが楽しくなったな、と思います。

「食べることは、いいことだ」を伝えていきたい

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ーー今後、八木メシを通して挑戦したいことはありますか?

自炊をがんばっている人に寄り添う料理を発信したいです。私にとっては品数を作るのって大変で、一品を作るのが精一杯。自分なりにがんばったのが一品として現れるんです。なので、これからも品数を増やすよりは、どちらかというとお腹が満たされて、自分のペースで作れる簡単な料理を続けたいなと考えています。

ーー八木さんがつばきファクトリーに加入して、1年半が経ちました。料理と同じで、立ち向かえましたか?

もともと自分に自信があるタイプじゃなかったので、同期や先輩に追いつこうと努力しました。周りは歌もダンスも上手。それに何より、ヘアメイクの違いが気になりましたね。だからまずは先輩方に見劣りしないように、どうにかあか抜けようとがんばりました。歌もダンスも、自分から積極的にレッスンに通うようにしています。

ーー2023年春には、つばきファクトリーの先輩・浅倉樹々さんが卒業されます。八木さんも将来、先輩になると思いますが、後輩にはどんなアドバイスをしますか。

まずは「たくさん食べようね」と伝えますね。個人的には、食べようと思うこと自体がいいことだと思っているんです。冷凍食品でも、お総菜でも、外食するのでも十分。

生活だけでもいっぱいいっぱいになる中で、食事のことを考えて、自分と向き合うだけでもすごいことです。さらに料理をするなんて、えらすぎる!って思います。食べないと力がでないから、まずは食べる大切さを伝えたいですね。

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取材・編集:小沢あや(ピース株式会社)
構成:結井ゆき江
撮影:小原聡太