家では、ミキティの号令のもとチームプレイ――品川庄司・庄司智春さんのおうちごはん
お笑いコンビ「品川庄司」のツッコミで、鍛えた筋肉でも知られる庄司智春さん。妻のミキティこと藤本美貴さんのYouTubeチャンネル「ハロー!ミキティ」には、二人で会話しながら食事をする様子もアップされています。今回は、自分で作るという「筋肉ごはん」や、家族での食事の楽しみ方などについて伺いました。
育てる過程から体験すると、子どもが食に前のめりになる
ーー今日はよろしくお願いいたします。藤本さんがバラエティで「玉ねぎ買い出し事件」の話をされていた時から、庄司さん・藤本さん夫妻のおうちごはんについて伺ってみたかったんです。
あぁ、玉ねぎ(笑)。スーパーに行った時に「あれ、玉ねぎもなかったかな?」とふと思って。買うかどうか、ミキティに確認の連絡をした時の話ですね。
ミキティから全然返事がなくて、帰宅してから「なんでLINE返さないんだよ〜」と言ったら、「玉ねぎは何個あったって使うんだし、こっちはこっちで家のことでバタバタしてるんだから、玉ねぎぐらい自分の判断で買ってこいよ!」と言われて…(笑)。
ーーすごく印象的なエピソードでした(笑)。料理関連の家事は、どんなふうに担当を分けているんですか?
ミキティがリードしてくれています。ミキティが仕事の時は、近くに住む義理のお母さんが来て手伝ってくれることも多く、助かっていますね。それが難しい時に、僕が料理を作ることもあります。
ーーお子さん向けの料理は、どんなものを作るんでしょう。
作るのは、朝・昼のごはんです。でも、簡単なものですよ。チャーハンとかオムライスとか、リクエストを聞いて、子どもが好きそうなものをそれなりに作る。
ーーリクエストに対応できるのはすごいと思います…!小さいうちは、日によって「これは乗り気じゃないんだな」って食材があったりしますよね。
そうですね。配慮はするようにしています。でも、「これはちゃんと栄養があるんだよ」「成長する時には栄養が必要なんだよ」と、小さな頃からしっかりと伝えていますね。子どもと僕らのルールで、「ごはんを食べない人はお菓子禁止」にもなっています。
ーー他にも何か、食育を意識してされていることはありますか?
一緒にスーパーに買い出しに行ったり、ミキティの発案でレンタルした畑で野菜を育てたりしています。最近はナスを収穫して「大きくなりすぎちゃったのは、あんまりおいしくないねえ」とか話しながらいただきました(笑)。今はいちごも育ててます。
やっぱり、自分たちで種から育てて料理した野菜は、「僕が育てたんだ」「私が洗って、包丁でお手伝いしたんだ」と、子どもが食に前のめりになるきっかけになっていますね。
ーー楽しい食育ですね。先ほどのお菓子禁止ルール以外にも、庄司・藤本家のおうちごはんのルールはあるんでしょうか?
「食事中はテレビを見ない」、あとは「いいお肉は、大事に食べる」(笑)。がっつかずに、瞳を閉じて味わって、自分に浸透させるようにして食べよう、と。そんなふうに遊ぶ要素を取り入れながら食事をしています。家族でごはんを食べるのは、一番の幸せですね。
筋肉のためのごはんは、自分で作る
ーー5人分のごはんを考えて作り続けるのは、大変なことかと思います。庄司・藤本家の定番メニューはありますか?
ミキティはレパートリーが豊富なんですよね。鶏の骨つき肉は、子どもたちが好きなので結構出ますかね。僕がよく作ってもらうのは、お塩とオリーブオイルをかけたシンプルなサラダに、ベーコンをのせて、パルメザンチーズをかけたもの。これは「お父さんのサラダ」として、頻繁に作ってもらっています。
ーー庄司さんの場合、筋肉の維持にも気をつかいますよね。筋肉のためのおうちごはんとしては、どんなものを?
「自分の筋肉ごはんは自分で作る」という暗黙の了解があって、家族用とは別に、自分で用意しています。
朝ごはんには、必ず玄米と納豆。鶏胸肉を食べる時は、ふかふかにしたほうがおいしいので自分で低温調理しています。筋肉ごはんにはミキティはノータッチで、「勝手にやってください」「おいしそうだったら、私もちょっといただくね」というスタンスです。
ーーストイックに筋肉を育てる食事とご家族で楽しむ食事とのバランスは、どうやってとっているんでしょうか。
夕食をみんなで囲む時は、炭水化物以外は、家族と同じ料理をできるだけ食べるようにしています。子どもたちに「しっかり食べなさい」って言うわりに、自分は節制してちょこちょこっと食べているんだと、あんまり説得力がないんで。その分、朝食や昼食で調節しています。
ーー家族との時間も大切にするための努力ですね…!庄司さんの「推しスーパー」ってありますか?
ミキティも推しているオオゼキです。魚がおいしくて。家族が刺身が好きなんですけど、「これ、明らかにおいしいな!」と思うのは、やっぱりオオゼキで買ってきたものです。
ーーいつも家にあるスタメン食材は、玉ねぎ以外にもあるんでしょうか。
(笑)。納豆ですね。納豆はミキティも一緒に食べますし、子どもも大好き。冷蔵庫には常に10個以上入っていて、納豆ゾーンができています。
ーー5人家族の食材って、なかなかの量になりそうです。食材管理はどうされていますか?
冷蔵庫は大きいものを使ってるんですが、それとは別にガレージに冷凍庫を置いています。僕はさつまいもを焼いたりふかしたりしておやつがわりに食べるので、それを切ってラップに包んだものも、そこで保存していますね。
家族に好評なのは、うなぎとごぼうの「ぼくめし」
ーー2022年7月には、藤本さんとの結婚13周年を迎えた庄司さん。長期間一緒に過ごす中で、食卓に変遷はありましたか?
基本的にミキティが作ってくれているのは変わらないんですが、僕もレパートリーが増えましたかね。全然料理をしなかったところから、幸いにも番組で「居酒屋のメニューを全品覚える」といった企画をやらせてもらったのをきっかけに、包丁を握るようになりました。仕事で覚えたものを家でミキティに食べてもらい、おいしかったら食卓に出すというルーティンはできてきました。
ーーYouTubeではエッグベネディクトを藤本さんにふるまっていましたよね。
レシピ検索したり、YouTubeを参考にしたりして作りました。番組で教えてもらったものだと、うなぎとごぼうの混ぜごはん「ぼくめし」は、家族からの評判がよくてたまに作っています。蕎麦打ちも仕事で習ったので、家で打つこともありますね。
あとは、ミキティにティラミスを作ってあげたり、体の維持のために作ったオートミールクッキーを子どもたちにもあげて感想を聞いたり…。子どもたちも、一緒に料理をするのが好きだったりするんですよね。
ーー子どもと一緒に作る時って、つい「自分でやったほうが早い!」と思っちゃうこと、ありませんか?
子どもができることは限られてますし、大変ですよね。うちは3人いるので、2歳の子とは「わあ、すごいね!」「やった!」と声をかけながら一緒にやる。小学1年生の子は、様子を見ながらちょっと包丁を使うものを手伝ってもらう。小学6年生の子は、最近「ベーコンエッグ作るね」って朝食の準備を手伝ってくれるぐらいになりました。
外出を控えていた時期には、Instagramで見たレシピを参考に、子どもたちと一緒に小麦粉をはかって、簡単な低糖質のシフォンケーキを作ったりもしましたね。
ーー初めて作るものでも、目に入ったレシピを使ってチャレンジしているんですね。
そうですね。僕は簡単なものしか作らないから、子どもも一緒に作れるんです。幼稚園や小学校で、ものの重さやはかり方を習うじゃないですか。それって、やってみないとなかなか覚えないので。作りながらそういうことも覚えてもらえたらな、とは思っています。
YouTubeでの姿は、ほぼ日常そのまま
ーー藤本さんとのお話も、もう少し聞かせてください。二人の思い出の料理はありますか?
初めてミキティが料理を作ってくれたのがカレーとサラダだったんですが、その時のサラダですかね。ドレッシングがめちゃめちゃ…まずかったんですよ(笑)。でも、ここではっきりと言わなければ、この味が好きだと思われるだろうな…と。思い切って「これちょっとまずくない?」と言いました。そうしたら、ミキティも「なんだ、これまずいね!」「量、間違えちゃったね!」と言ってくれて。
今はどのごはんもおいしいから、逆にあのサラダが印象に残っているし、愛おしいです。また食べたいぐらい。いまだに夫婦でも、このサラダの話はしますね。
ーー何かを作ってもらった時に、どこまでコメントするかって難しいですよね。そこできちんと話すことを選んだのがすごいです。
いやいや、彼女の性格上、僕がそういうことを言っても「はあ?」「作ってもらえるだけありがたく思えよ!」って返してくれる安心感は大きいです(笑)。そして「ほんとだね、ちょっと味薄いかもしれないね」とも言って歩み寄ってくれる。ミニコントのようなお決まりのやりとりを挟みながら、お互い楽しんでいます。
でも、ミキティはYouTubeで、視聴者さんからの質問に「旦那は褒めて伸ばす」とも話していて。やけに褒められるのは、そういう裏技で育てられていたんだなあと気づかされました(笑)。
ーーお互いの性格を理解していて、信頼関係があるからこそ、1歩踏み込んだコミュニケーションもできるんですかね。藤本さんのYouTubeにアップされている、藤本さんの20周年ライブ終了後のお二人での打ち上げの様子(※)を見て、今もお二人での時間をしっかりとっていらっしゃるのかなと思いました。
「しっかり」かはわかりませんが、子どもが寝てそれぞれのやることも終わった後は、いつもリビングで二人、今日あったことなどを何かしらしゃべっています。一緒に海外ドラマを観たりもしますし、意識しているわけではないけど共通の話題は多いですね。
実はミキティのYouTubeに僕が出るのも、ミキティに「もっと二人の時間を増やしたい」と言われたからなんです。日常ほぼそのままだから、ちょっと恥ずかしいんですけど…自分たちで発信するコンテンツなので、心地よくやれています。
子どもたちも夫婦だけの変なノリに混ざってくることもあれば、「またやってますねえ」と呆れていることもあります(笑)。
家事を「見て見ぬふり」は絶対しない
ーー家事を担当しているのは藤本さんとのことですが、主担当ではないからこそ庄司さんが意識していることってありますか?
家事をはっきり分担しているわけではない代わりに、「見て見ぬふりはしない」と決めてます。例えば、ミキティが子どもを寝かしつけながら寝ちゃった時、洗い物がどっさり残っているのに気づいたら、すぐ自分が洗う。
目撃したのにスルーするのって、よくないじゃないですか。あいさつされてるのに無視するのと一緒。「どっちかがやることになるな」と思った時点で、自分がやればいいので。
ーー家事の見て見ぬふりをしない、素敵な心がけです。
「こうしたほうがいいかなあ」と思ったら、自分がやるのがルールです。
ーー家事育児との距離って、世代によって生まれる差もありますよね。ちょうど、庄司さんくらいの世代では、価値観が変わってきている印象です。
たしかに。僕も母親が100%料理をしていて、父親は偉そうに座って待っている姿を見て育ったんですが(笑)、自分はそうはなりたくない。うちにも男の子がいるので「僕がキッチンに入る姿や洗い物をする姿を見て育ったら、大人になった時に率先してやったり、パートナーをカバーしたりすることができるかなあ」とは意識しています。
とはいえ、自分もたまに父のようになってしまう時もあって。そういう時は家族みんなに指摘されます。反面教師ですね(笑)。
ーーお子さんたちにとっても、「家事はみんなでするもの」という認識なんですね。
だから子どもたちも、「はい、ごはん食べるよ」と言うとパーッと食事の準備に動いて、食器を用意したりしてくれます。ミキティをリーダーに、指示を受けながらみんなで動けば、幸せなごはんの時間が早く来る。だからみんなでやろうね、「何かすることはありませんか?」って聞いていこうぜ、と話してます。
ーー藤本さんが家事のリーダーなんですね。
本当、いろいろとありがたいですね。「おいしい」とか「ありがとう」は、頻繁に言っています。シャワーを浴びる時も「当たり前のように洗濯済みのきれいなパンツがしまってあるって、すごくありがたいなあ」と思うから伝えますし。そういうスイッチが入ったら、食事中に番組でするような食レポをして、お互いのテンションを上げていくこともあります。
家事に気づいたらそのままにしないのと一緒で、自分の気持ちも無視しないように、「あぁ、ありがたいな」と思ったらちゃんと言うようにしていますね。
ーーありがとうございます。最後に、庄司さんにとって、仕事と料理やおうちごはんの共通項はありますか?
準備が大切なことと、チームプレイなところは似ている気がします。漫才では品川、家ではミキティの号令のもとに、どれだけみんなの笑顔をつくるかというところは同じですね。