やさしさと気遣いにあふれる共同生活。ガンバレルーヤのおうちごはん

きのう何作った?

PEOPLE
2022.12.07

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ガンバレルーヤのまひるさんとよしこさんは、お笑いコンビとして活動しながら、なんと10年間ずっと二人でルームシェアをしています。仕事もプライベートも一緒ですが、大きなケンカをすることはなく、円満に過ごしているそうです。普段の食卓と、仲良しの秘訣について聞きました。

お話を伺った人:ガンバレルーヤ(よしこ・まひる)

1993年生まれで鳥取県出身のまひるさんと、1990年生まれで愛知県出身のよしこさんによるお笑いコンビ。日本テレビ『世界の果てまでイッテQ』や読売テレビ『秘密のケンミンショー』など、さまざまなバラエティ番組に出演している。

「小麦粉から10品」よしこ流・下積み時代の節約ごはん」

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ーーコンビとしてお仕事をされているし、ルームシェアもされていて、四六時中一緒ですよね。例えば、冷蔵庫のなわばり争いみたいなものはないんですか?

よしこ:まったくないですね。

まひる:考えたこともなかったです。

よしこ:お財布が一緒なんです。お互いに月5万円ずつぐらいを二人の財布に入れて、そこから食費や生活費を出しているので、「これは私の食べ物!」みたいなことがないんです。

ーー買ってきたアイスに名前を書く…そんなシステムもないんですか?

二人:ないですね。

まひる:二人のお金から、本当に好きなものとか自分が食べたいものとかを買ったりしています。

よしこ:そうです。自由です。

ーー自由だからこそ、ケンカすることもないんですかね。

よしこ:例えば、食材を買いにいく時に、私はイチジクが大好きなので、イチジクを買うんです。でもイチジクって、一箱600円ぐらいするじゃないですか。

ーー確かに結構なお値段です。

よしこ:でも旬のフルーツは楽しみたいタイプなので、二箱、三箱買ったりします。まーちゃん(※まひるさんのこと)はイチジクを食べないんですけど、私は高いものを買ったりする…。でもまーちゃんは全然気にしない。

まひる:そうですね。

ーーお互いの経済感覚が似ているんですかね。お仕事が軌道に乗る前、今よりも食費を切り詰めなくてはいけなかった時期はどうしていたんでしょうか?

まひる:結構よっちゃん(※よしこさんのこと)がアイディア飯を作ってくれました。例えば、小麦粉から10品ぐらい…。

ーーえ、小麦粉から10品も?

よしこ:小麦粉を水で練って、唐揚げ粉で揚げる「小麦粉の唐揚げ」とか…。

ーー「小麦粉の唐揚げ」!

よしこ:唐揚げ粉を入れると、なんかちょっと肉っぽくなるんですよね。

ーー大豆ミート的な感じでしょうか?

よしこ:そうです。そうです。

まひる:格好よく言ったら、そうですね。

ーーすごい。他にはどんな小麦粉レシピを?

よしこ:あとは小麦粉を水で練って焼いて、一品。小麦粉を水で練って中華スープに入れて、一品。味噌汁に入れて、一品。あと、お塩を溶かしたお水を煮立たせて、すいとんみたいな感じで…スープのベースを変えれば、三品ぐらいできますね。

ーー餃子の皮のモチモチの部分を食べている感じですかね?

二人:そうですね。

まひる:格好よく言ったら。

よしこ:格好よくもないけど、そうです。

家事分担はバランスよく。おうちごはんで体調管理も。

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ーー家事分担で困ったことはありませんか?

まひる:私は掃除を担当しています。よっちゃんはササササッと動くタイプで、一気に片付けたい人なんです。けど、私は一つのことをやろうとしたら、細かいところが気になりすぎて…。

よしこ:そう、すごく細かいんですよ。例えば、家具の隙間にほこりがあったら、ティッシュでサッと一拭きで済むじゃないですか。でもまーちゃんはずっとそこを掃除する。そういう意味では合わないかもしれないです(笑)。

でも本当に家事は半分半分で、お互いの得意・不得意で分担しているんです。だから私が料理している間に、まーちゃんが部屋を掃除したり洗濯をしてくれたりするし、食べた後の洗い物をしてくれたりする。

それに私が「おいしい?」と聞いちゃうんです。料理を作ってもらっている方からしたら、毎回聞かれたら、プレッシャーじゃないですか。でもまーちゃんはやさしいから、何でも「おいしい」と言ってくれるんですよ。それも嬉しいです。

ーー仕事もプライベートも一緒となると、食卓はどんな雰囲気なんですか?仕事の反省会みたいになりませんか?

よしこ:確かに、めちゃくちゃすべった収録のあとは、もう食べる気力もないというか、すごく質素な食卓になります。でも、休みの日の前日は、つまみを食べながら、お酒を飲んだりもしますね。

ーーなるほど。スケジュールをお互い把握しているから、献立が立てやすいんですね。

よしこ:そうですね。スーパーに行くと、その日食べる献立の食材だけを買うんですよ。買い置きはしないんです。

まとめ買いできたらいいんですけど、ロケが多いし、食材を余らせてももったいないので、その時に食べたいものを買う感じなんですよね。

ーーロケが多く、栄養が偏りがちな分、おうちごはんで整えることはしていますか?

まひる:ありますね。どうしても栄養が偏っちゃうので、体がよっちゃんの料理を求めちゃう。やさしい料理から、胃にパンチを直接ぶち込むような料理まで、本当に幅広くいろんな料理が作れるんです。

その時の体調と相談して「今日は野菜が足りてないから、野菜多めのメニューにしたよ」とか「最近肌が荒れてるから、ビタミンいっぱい摂ろうね」とか考えてくれる。

よしこ:1か月ぐらい、毎日、生のサーモンを食べていた時期があったんです。そうしたら、肌質が本当に変わるんですよ。びっくりするぐらい。食事って、すげえ〜と思いました。

ーーお仕事も一緒だから、食事で体調管理をされているんですね。

よしこ:そんな大したことはしていないですよ。私もめっちゃくちゃ料理が好きなわけではなくて、生きるために作っている感覚なんですよね。だから仕事で疲れている時に、やさしいごはんを食べたくなって、心を癒すつもりで、豚汁とおにぎりを作ったりするぐらいです。

ーーちなみにガンバレルーヤ家に常備されている食材はどんなものがありますか?

よしこ:酒のつまみに、燻製チーズはありますね。あとはごはんのお供が多いです。地方に行った時に買ったり、いただいたりした瓶づめが冷蔵庫の上段を占めています。

それからヨーグルト。まーちゃんがよく食べたいと言ってくれるのが「ヨーグルトきなこはちみつ」。プレーンヨーグルトにはちみつときな粉を入れただけのものなんですけど、いつもリクエストしてくれるから、それは常備しています。

ーー入れて混ぜるだけでも、よしこさんが用意するんですね(笑)。

よしこ:そうですよね。いや、自分でもちょっとやりすぎなんだろうと思うんです。この間もまーちゃんが「お腹すいた」と言っていたので、「バナナ食べたら?」と言ったんです。そうしたら「バナナは要らないんだよな。柿が食べたいな。よっちゃん、お願いできる?」って(笑)。

「自分で食べるなら自分でむけよ!」と思いますけど、まーちゃんは先端恐怖症で包丁が怖いんですよ。だから「柿をむいて」ということだと思うんですけど。

ーー逆にまひるさんがよしこさんに料理をふるまうことは?

よしこ:小松菜チャーハンをたまに作ってくれるんですよね。それはめちゃくちゃおいしいです。

ーーよしこさんと出会う前は、一人暮らしをされていたわけですよね?自炊もされていた?

まひる:そうですね。母に教えてもらったレシピのメモがあって、全部で10品ぐらいなんですけど、それをローテーションしながら作っていました。私は1回にいっぱい作って、小分けにして、冷凍して、食べる時に解凍して食べていました。毎日自炊するというよりは1週間に2回ぐらい料理してましたね。

ーーしっかりされているのに、すっかりよしこさん頼りになられたのはなぜでしょう?

よしこ:単純に包丁が怖いんだと思います。

まひる:そうですね。包丁は使わないルールで料理をしてきました。

きんぴらごぼうが出会いのきっかけ

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ーーよしこさんの料理で一番思い出深いメニューは何ですか?

まひる:思い出のメニューですか。それこそ初めての出会いの時ですかね。

私が便秘でお腹が痛くて、マンションのエレベーターでうずくまっていたら、見ず知らずのよっちゃんが「大丈夫ですか」と声をかけてくれて。「実はちょっと便秘で…」と言ったら、部屋番号を聞かれて、30分後ぐらいに私の部屋に「これ便秘に効くので、よかったら食べてください」ときんぴらごぼうをわざわざ作って持ってきてくれたんです。

ーーNSC(吉本興業の養成所)ではなく、マンションのエレベーターで!

まひる:NSCで知り合う前に、たまたまマンションが一緒で、そこで出会ったんです。

よしこ:ごぼうって本当に腸内環境を整えてくれる、すごい食材なんですよ。便秘にもすぐ結果を出してくれる。土屋太鳳ちゃんも言ってました。「腸内環境にはごぼうよ」って。

まひる:あのきんぴらごぼうは、今でも忘れられない味…。たまに食卓に出てくると、うるっときちゃう。私たちが出会った、私たちを繋ぎとめてくれたやつじゃんって。

ーーきんぴらごぼうをおすそわけしたよしこさんもすごいし、知らない人からの手料理をいきなり受け止めるまひるさんもすごいです。

よしこ:当時住んでいたのは、廊下から部屋の窓が見える特殊なマンション。私がきんぴらごぼうを持っていった時に、まーちゃんの部屋の電気がついていたんです。家にいると思ってノックしたら、ガサガサッと音が聞こえて、電気が消されて、居留守されたんですよ。だから、最初は受け止めてはいなかったはずです(笑)。

ーー今もきんぴらごぼうは定番料理として食卓に出てくるんですか?

よしこ:ささがきが大変なので、本当に心に余裕がある時に作ります。

まひる:よっちゃんは粕汁が得意なんですけど、ちょっとお腹の調子が悪いなという時は、さりげなく私のお椀に多めにごぼうを多く入れてくれたりします。

ーー親子のような、姉妹のような、なんか不思議な関係ですよね。

よしこ:そうですね。まーちゃんは三つ下だし、子どもみたいなかわいらしい感じなので、どうしても私がお世話したくなっちゃうんですよね。

「よっちゃんのスパイスカレーはびっくりするぐらいおいしい」

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ーーホームパーティーも開催するんですか?

よしこ:女芸人さんを呼んだりします。

まひる:普段よっちゃんが作ってくれる食事で、選りすぐりのおいしいものを作ってくれます。春巻きとか茶碗蒸しとか。

ーー本格的ですね!

よしこ:まーちゃんのお母さんがすごく料理上手で。多分、まーちゃんもお母さんの遺伝子を継いでいるんだと思うんですけど、味覚がすごいんです。たまに作ってくれる小松菜チャーハンも、めっちゃくちゃうまい。ぱらぱらにできるし、味付けも完璧。

私が料理に何か隠し味を入れたら「よっちゃん、これ入れてる?」と分かるぐらい!手先が不器用で、包丁は使えないんですけど、味覚はすごいから、ホームパーティーで料理をふるまう時なんかは、まーちゃんに味を見てもらったりします。

ーーまひるさんのフィードバックを受けて、よしこさんもどんどん料理が上手になっていくわけですね。

よしこ:料理上手でもないですけど、まーちゃんのおかげです。

まひる:よっちゃんがスパイスを調合して作ってくれるカレーが大好きで、みんなにも大人気なんです。スパイスカレーを作る時は、お店のように、お皿にきれいに盛りつけて、生クリームで模様を描いて、おしゃれに仕上げてます。びっくりするぐらいおいしいです、よっちゃんのスパイスカレー。

よしこ:でも、テレビでそのスパイスカレーを調理しているところを流したことがあったんですけど、VTRを見た視聴者さんから「よしこさんが使っているスパイスに悪霊が取り憑いているので、今すぐ捨ててください」と言われたことがありました(笑)。よく女芸人さんにふるまっていたので、申し訳なかったです(笑)。

円満の秘訣は「感謝の言葉を口にする」こと。

ーーいつも元気なガンバレルーヤさんでも、がんばれない日もありますか?

よしこ:めちゃくちゃあります。でもそういう日は、まーちゃんが「よっちゃん、今日は作らないで、頼もうよ」と言ってくれたりして。出前を頼んでくれたりするので、楽をしています。

ーー本当にケンカはしないんですね。

よしこ:昔はありました。今は仕事のことでたまに言い合いになることはありますけど…例えばお仕事でちょっとうまくいかなかった時に、反省をするじゃないですか。お互い納得するまで話してから、ごはんを食べるんです。すっきりしてから次の行動を起こすので、何もしゃべらず、険悪なムードのまま日常生活を送ることはないですね。

ーーごはんは楽しく、というのが二人のルールなんですか?

まひる:ルールではないですね。たまたまです。

よしこ:まーちゃんは家ではすごくおしゃべりなんですよね。私を笑わせようとしてくるんです。まーちゃんは基本的に情報をTikTokから得ているんですけど、ニュースや経済情報なんかを、ごはん食べながら教えてくれるんです。だから会話が弾むんだと思います。まーちゃんが毎回議題を出してくれるんです。

まひる:そして、よっちゃんはアニメや映画を見るのが好き。私はあんまり見ないので、見たアニメや映画を全部口で説明してくれるんですよ。

よしこ:まーちゃんが「教えて」と言ってくれるんですよね。私が語る映画のあらすじを1時間も2時間も聞いてくれるんですよ。普通、聞きます?(笑)「それで?それで?」と聞いてくれるんです。

ーーお互いが気持ちよく過ごすため、無意識に気遣っているんですかね。

まひる:普段から「ありがとう」と感謝の気持ちは言葉にしていますね。私もよっちゃんも。それから、感謝の気持ちをハグで表現したり…。

よしこ:まーちゃんはハグが好きなんですよ。アメリカンな家で育ってきたから。私はあまりハグしてこなかった人生なんですけど、まーちゃんが毎朝「よっちゃん、おはよう」とハグしてくれます。

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まひる:そういう家庭で育ったので、みんなそうだと思ってました。感謝を具体的に伝えることは、意識してやろうとはしてないんですけど、クセとしてやっているかもしれないです。

よしこ:あと、まーちゃんはめっちゃ褒めてくれます!私が着替えている時「よっちゃん、スッキリしたね」とか言ってくれる。で、体重計に乗ったら全然痩せていない(笑)。でもすごく褒めてくれるから、嬉しいですよね。

ーー一緒に仕事をして、寝食をともにして、切り替えは大変ではないですか?

よしこ:私、結構仕事を引きずるタイプなんですよ。でもまーちゃんは、家では仕事のことを引きずらないし、私が落ち込んでるなと思ったらめっちゃしゃべりかけてくれたりする。そのおかげなのかなとは思いますね。一人暮らしだったら、ずっと落ち込んじゃうこともあると思うんですけど。

まひる:よっちゃんはものすごくやさしいんですよ。愛が深い。多分、イラッとすることが絶対あると思うんですけど、それを態度に出さないんです。怒りを物にぶつけることは絶対ないです。ストレスを溜め込む前に、ちゃんと思ったことを言ってくれる。「ごはん中にボイスパーカッションしないで」とか。

ーーボイスパーカッション(笑)。

まひる:「唾が飛ぶから、まーちゃん、ごめん。楽しいところごめんね。ごはん中はボイスパーカッションしないで」みたいな。

よしこ:食卓でボイスパーカッションします?(笑)やめて欲しいんですよね。

ーー(笑)。この連載でいろいろな方に聞いているのですが、料理とお仕事の共通点はありますか?料理のスタイルがお仕事の価値観に反映されていることも往々にしてあると思っていて、ぜひ伺いたいです。

よしこ:料理って、賢くなきゃできないんだなと思ったことはあります。私、料理を作るのに3時間ぐらいかかるんですよ。要領がよくないので、もっとよくしたいとは思っています。

まひる:手段を選ばないところが良さじゃないですかね。「おいしかったら、見た目や料理の過程はどうでもいいじゃん。アプローチは自由でいいじゃん」。そんな感じがします、よっちゃんの料理は。

もちろん料理本やレシピを参考にしていますけど、結構目分量で作っていたりします。計量スプーンを使わず、自分の指一つまみ分とか(笑)。自分を信じて、自分の感覚で自由にやっています。そのスタイルは、よっちゃんのお笑いスタイルにも通じるんじゃないかな。おもしろかったら、何でもいいじゃんって。

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取材・編集:小沢あや(ピース株式会社)
構成:五月女菜穂
撮影:小原聡太