食の知識が子どもの財産になればーー飯田圭織さんのおうちごはん

きのう何作った?

PEOPLE
2022.09.22

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モーニング娘。を卒業後、歌手やタレントとして活躍する飯田圭織さん。上京した15歳の頃から自炊を欠かさず、現在は9歳と5歳のお子さんのお弁当も作りながら、育児と仕事に奮闘しています。そんな飯田さんに、アイドル時代の食生活や料理のモチベーションを維持する方法、子どもとの食事で大切にしていることなどを伺いました。

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お話を伺った人:飯田圭織さん

1981年8月8日北海道出身。1998年モーニング娘。1期生としてデビュー後、2代目リーダーを務めた。2005年にグループを卒業してソロ活動を開始し、歌手やタレントとして活動中。

モーニング娘。時代は「食べないものを作らないこと」を意識

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ーー飯田さんはブログなどで手料理の写真をたくさん投稿されていますよね。もともと料理は得意だったのでしょうか?

モーニング娘。になることが決まって上京し、15歳から始めた一人暮らしをきっかけに、こまめに自炊をしていました。昔から料理が好きで、小学生の頃から、おやつも自分で作っていたんです。おやつといっても、ごはんが好きで、おかずみたいな料理を作っていました。卵焼きを焼いたり、じゃがバターやいも餅を作ったり。実家は北海道だから、家においもがたくさんあったんです。

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15歳の頃の飯田さん(オーディションを受けている様子)(オフィシャルInstagramより)

ーーモーニング娘。時代、かなりハードなスケジュールだったかと思います。そんな日々の中でも、自炊を続けていたのだとか。

体型キープのためにも、朝食は必ず家で食べたり、お弁当を作って楽屋に持って行ったりと和食中心の食生活でした。レコーディング時に、家でかぼちゃの煮物を作って、スタジオに持って行ったこともあるんですよ。つんく♂さんにも「おいしい」と言ってもらえて。嬉しかったですね。

現役時代は「昨日何してた?」って聞かれても思い出せないくらい忙しかったんですけど、「昨日はかぼちゃの煮物を作った。そうだ、あの仕事帰りにスーパーに寄ったんだ!」って食事で記憶をどうにか繋いでいましたね。

ーー当時の食生活では、どんなことを意識していましたか?

食べないものを作らないこと。若い頃のダイエットってお肉やお米を減らしてしまいがちだけど、お米を食べないと頭が働かないし、お肉を食べないと肌がカサカサになってしまうので。スイーツを食べた場合も、その分動くようにしていました。

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ーーレッスンやステージを乗り切るために、しっかり食べていたんですね。レコーディング前の勝負ごはんはありましたか?

歌はトークと比べてエネルギーを多く使うので、お肉です。シンプルに塩こしょうで焼いたり、生姜焼きにしたりして食べていました。レバーを煮たものも好きでした。

この仕事をしていると、毎日アドレナリンが大量に出るんですよ。なので、頭や気持ちをクールダウンさせるためにも、料理の時間が必要だったんです。おいしいものと向き合う時間が、忙しい日々の心の支えになっていましたね。

ーーアイドルってきらびやかに見える中で、体力勝負の仕事でもありますよね。「疲れて食欲がない時でも、これなら食べられる」なんてメニューはありましたか?

モーニング娘。時代は、どんなに疲れても食べていたんですけど、30歳でドリーム モーニング娘。を結成した時は、初めてごはんが食べられないくらい疲れて。「それでも、何か食べたい…」と思って、たんぱく質をとるために豆腐を崩して、ストローで飲みました。噛む体力もなかったんです(笑)。

ーー飲む豆腐!疲れた時も、栄養は意識していたんですね。

お弁当作りはイメトレで楽しく

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ーー現在、2児の母としてお弁当作りが日課となっているそうですね。毎日のお弁当作りはどう進めていますか?

手際よくするために、「おかずはここ、野菜はここ」って事前にだいたいの配置を決めています。実は私、上の子のときは知識も全然なくて、子どもが好きなものをそのままお弁当箱に入れていたんです。ある日、私が作ったお弁当がネットニュースに載ると「ミニトマトは子どもの窒息事故につながる可能性がありますよ」といったコメントがついて。「あぶないんだ!」と、慌ててやめました。

ーー実際、親になってみるとわからないことだらけで不安が募りますよね。

そうなんです。そんな中でも育児について発信すると、みなさんが色々と教えてくださって助かりました。一方で、ブログを見た方から「渋いお弁当は喜ばないよ〜」って言われてしまったことがあって。

だけど、息子は大葉を入れないと、「味がさっぱりしない!」って食べてくれないんですよ。聞くべき意見は取り入れつつ、ネットの情報だけに振り回されないように注意しています。

ーーお弁当作りのモチベーションを維持するためのコツって何ですか?

インスタで流れてきたお弁当画像を見て、「私もこういうの作りたい!」って、真似して作ることが多いです。夜のうちに「野菜を切って配置して…」ってイメトレしておくと、朝の料理の時間が楽しみになります。

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飯田さんの手作りお弁当(オフィシャルInstagramより)

ーーお子さんと料理を楽しむこともあるのだとか。

子どもとは、よくカレーを一緒に作ります。この間、冷蔵庫から具材を取り出すところから始めてみると、「お肉は豚肉と牛肉どっちがいいかな?」って、すごく真剣に考えていました。同じメニューでも、何度も繰り返し作ることが大切だと思いましたね。

ーー料理を通して、お子さんの知的好奇心を伸ばしているんですね。

そうなんです。食事中に「お肉は血や筋肉を作ってくれるんだよ」って話をすると、息子は「サッカー上達のために筋肉をつけたい。だから、鶏肉をいっぱい食べる!」って栄養素も学んでくれます。

ーー逆に、用意した食事をお子さんが食べない時もあったかと思います。そんな時はどう工夫していましたか?

息子は何でも食べるんですけど、娘が小さかった時に「ひき肉が後に残る感じが苦手…」ってハンバーグなどを食べてくれなかったんです。野菜をすりおろして伸ばしたり、ふわっと蒸してみたりして何とか食べやすいように工夫しました。

それが今では餃子も好きになって。よく一緒に100個くらい餃子を包んで、冷凍しています。形が悪くても「自分で作ったんじゃん〜」って言えるので(笑)。自分で作ったものだと、喜んで食べてくれますね。

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子どもと一緒に餃子を作った時の投稿(オフィシャルInstagramより)

調味料もコミニュケーションのきっかけに

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ーー飯田さんの「推しスーパー」はどこでしょうか?

三つあって、「コストコ」と「オーケーストア」と「オオゼキ」。特にオオゼキが好きで、無料で魚をさばいてくれるんですよ。愛用しています!

コストコなら、「さくらどり むね肉」がおすすめです。チキンハムにすると日持ちするし、サンドイッチの具にも活用できます。さらに、チキンハムを柔らかくしておけば、チキンカツにも使えるんですよ。チキンカツって中まで火を通さないといけなくて、つい揚げすぎてしまうことがあって。だけど、チキンハムにしてから揚げると、サクサクの衣が作れます。チンジャオロースの代用にもなるので、便利ですよ。

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チキンハム(飯田圭織オフィシャルブログより)

ーー挑戦してみます! 作り置きもされるそうですが、常備菜はどんなものを作っていますか?

私は作り置き魔なので、「キャベツのコールスロー」をたくさん作っています。お酢とオリーブオイルと砂糖、塩、こしょうで簡単に作れておいしいですよ。他にも、酢の物が好きなのでピクルスも入れていますね。

ーー調味料にもこだわっているのでしょうか?

アンテナショップに行って、店員さんにおすすめの調味料を聞くようにしています。料理に詳しい店員さんと話すのは楽しくて、「匂い嗅いでみますか?」みたいなやりとりが好きなんです。

ーー調味料もコミニュケーションをとりながら、楽しんで選んでいるんですね。

そうなんです。以前おすすめしてくれたものの感想を伝えると、「じゃあこれも、好きだと思います!」って感じで、次から次へと提案してもらえるんですよね(笑)。食に興味がある方と話すのは楽しいです。

最近になってやっと肩の力が抜けてきた育児

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ーーモーニング娘。のOGメンバーとは、育児などの情報交換もしていますか?

男の子のママ同士である圭ちゃん(保田圭)とはよく会っています。最近は「カブトムシってどこで採集した?」って話題で盛り上がりました。男の子の親あるあるですね(笑)。

離乳食についての相談も受けることもあります。私は、上の子の時は塩分量を気にして、ストイックになりすぎちゃいました。だけど、下の子のときは「健康で育っているから、そこまで気にしなくてもいいや」って思えるようになったんです。最近、ようやく肩の力が抜けるようになりましたね。

基本的に子どものごはんは三食作っているのですが、夫にお願いした時は、カップ麺が空いていることも(笑)。以前は気にしていたのですが、今は「毎日じゃないし大丈夫」って考え方に変わりました。

ーーお子さんも大きくなって、自分の時間が増えたと思います。お子さんとの関係に変化はありますか?

上の子は今、小学3年生になりました。これまではずっと親が見守っていたのに、最近は自分だけで遊びに行けるようになったんですよね。少し「親離れしたのかな?」って感じます。

ーー今後は、どんな風に家族の食卓を楽しみたいと思いますか?

今、子どもとスーパーに行った時に「何食べたい?」って聞いてみて、分からない料理名や食材があれば、子どもに調べさせるようにしているんです。大人が教えればすぐのことでも、自分で調べると新しい発見があるので、たくさんの食に関する知識が増えて、子どもの財産になればいいと思います。

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取材・編集:小沢あや(ピース株式会社)
撮影:曽我美芽
構成:吉野舞