牛乳は朝飲む?夜飲む?時間栄養学で、おいしく元気に美しく!

六車奈々の子育てコラム「あいことばは、まあいっか」 #34

FAMILY
2022.12.23

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「骨が丈夫になるように、牛乳も飲んでね。」
「は〜い。」

こんな会話は、よく耳にしますよね。
では、こちらはいかがでしょうか。

「夜になったから牛乳飲もうね。」

こちらはあまり馴染みがないかもしれません。
どちらかというと、牛乳は「夜」より「朝」のイメージが強いですよね。

でも実は、育ち盛りの子どもや閉経後の女性が「骨の強化」を求めてカルシウムを摂ろうとする場合、理想は「朝」ではなく「夜」です。意外かもしれませんが、夜にカルシウムを摂取した方が、効率よく骨の材料に使われるのです。

では、朝の牛乳は飲んでも意味がないのでしょうか?

いえいえ、「ストレスコントロール」を目的にするなら、今度は朝がおすすめです。

ストレスコントロールには脳内でセロトニン(幸せホルモン)を増やすと良いのですが、その材料となるのが「トリプトファン」で、牛乳に含まれています。(乳製品や大豆製品、卵やバナナにも多く含まれていますよ。)

朝に牛乳を飲んで、日中に太陽の光を浴びて過ごすと、脳内でセロトニン(幸せホルモン)が作られます。セロトニンが増えると、心の安定につながります。また、セロトニンを材料にして夜にメラトニン(睡眠ホルモン)が作られるので、朝の牛乳は夜の睡眠にまでつながるといえるのです。

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なぜ、こんなふうに時間によって栄養効果が変わってくるのでしょう?

その根拠は、「概日リズム」です。

概日リズム

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概日リズムとは、1日周期の体内時計のこと。私たちは意識をしなくても、時間によってホルモンの分泌や体温、免疫系などを脳がコントロールしています。

日中はしっかり活動できるように体温が高くなり、夜は眠りへと導くために体温が下がります。また食べた栄養は、活動する昼は優先的にガソリンとして使われ、休息する夜は脂肪として蓄えたり体の修復に使われたりしています。

このイラストは概日リズムのほんの一部にすぎません。本当はもっと細かく、さまざまな機能を体にプログラミングしているのです。

こうして考えると、食生活の中に「いつ」を取り入れることは、合理的だと思いませんか?

「おいしさ」や「空腹を満たすこと」を求めるなら、何をいつ食べても自由ですよね。ですが、「骨を強化したい」「きれいな肌になりたい」など目的を持って食べる場合は、「何を食べるか」に加えて「いつ食べるか」を取り入れると、より効率アップすることができるのです。

このように、「何を食べるか」という従来の栄養学に「いつ食べるか」という体内時計の視点を加えたものを「時間栄養学」といいます。「時間栄養学」は世界中で研究が進められていて、日本では早稲田大学や女子栄養大学など、多くの大学が研究に取り組んでいます。

私は、この理にかなった効率の良さに感動して、時間栄養学にハマりました!

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日本時間栄養学会の会員として学会にも参加したり、世界各国の論文も読み漁って、夢中で勉強しています!

私は子育てにも、自分の美容にも、「いつ」を取り入れています。
娘にヨーグルトやしらす、チーズを食べさせるのは、夜が多いです。そして、納豆や亜麻仁油、トマトジュースは朝に出すようにしています。そして以前書いた時間割美容のコラムは、まさに時間栄養学をヒントに考案したメソッドなのです。

そこで今回は、簡単に取り入れられる時間栄養学の実践的な方法をご紹介します。

おすすめ時間栄養学

朝のコーヒーは体内時計のリセット!

私は毎朝、朝日を見てから1時間以内に朝ごはんを食べ、食後は必ずコーヒーを飲んでいます。理由は、体内時計をしっかりリセットするため。

体内時計のリセットが大切だというお話は以前のコラムでご紹介しました。体内時計のリセットには、「朝日を見てから1時間以内に炭水化物+たんぱく質の朝食」が必要ですが、最近の研究で、カフェインは体内時計のリセット効果が非常に強いことが分かりました。

「朝日+1時間以内に朝食」に加えてコーヒーを飲むことで、より元気な1日をスタートできます。さらにコーヒーに含まれる「クロロゲン酸」は、今注目されているポリフェノールの一つで、シミ予防など抗酸化作用の他、糖尿病予防や脂肪の吸収抑制、発がん予防など、さまざまな健康に関する報告が出ています。

紅茶や緑茶など、他のカフェインでもリセット効果は期待できますよ。
ただし「クロロゲン酸」はコーヒーに多く含まれていますので、美容効果も求めて飲む場合は、コーヒーがおすすめです。今はクロロゲン酸を多く含むインスタントコーヒーも売られていますので、忙しい朝には嬉しいです!

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腸活なら、朝の納豆がおススメ!

娘も私も、毎日朝に納豆を食べています。目的は、腸を元気にすること。朝納豆を続けているおかげで、家族全員、便秘知らずの元気な腸です!

前夜からの長い絶食明けで朝ごはんを食べると、胃と腸が一気に動き始め、腸の蠕動ぜんどう運動が促進されます。腸が活発に動くことによって腸内では乳酸菌などの善玉菌が増えるのですが、この時に腸内細菌の「エサ」である水溶性食物繊維を摂っていると、さらに善玉菌が増えて腸内環境が改善すると言われています。水溶性・不溶性ともに食物繊維を多く含む納豆は、朝に食べるのがおすすめです!

ちなみに納豆は、冷蔵庫から取り出してすぐに食べるよりも、常温になるまで待った方が納豆菌が増えるので、おすすめ。私はいつも食事の準備段階で冷蔵庫から納豆を取り出します。そして朝食の最後、常温になり納豆菌がたっぷり増えた状態で食べています。

スイーツは、14時〜15時に食べると最も太りにくい!

脳の中枢時計には『BMAL1(ビーマルワン)』という時計遺伝子があり、体内時計の調節をしていますが、別の働きとして「脂肪を蓄積」します。つまりBMAL1が多いと太りやすく、少ないと太りにくいのです。こちらをご覧ください。

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提供:日本大学薬学部 榛葉繁紀教授

これはBMAL1が1日でどう増減するかを表しています。グラフを見ると、BMAL1の生成量は夜に増え、昼に少なくなっているのが分かります。中でも最も少ないのは午後2時~3時頃。つまり間食をするなら、最も脂肪が蓄積されにくいこの時間帯がおすすめ。またここで間食をとると、夕食のドカ食い防止も期待できます。1日の間食は「200kcal」程度が目安。
逆に夜10時〜朝6時までは太りやすいので、私は絶対に食べません。

カルシウムは夕食が効果的!

冒頭でお伝えしたように、小魚や牛乳などカルシウム摂取は夕食がおすすめ。

概日リズムのイラストにある通り、人間の骨は昼に古い骨が溶けて、深夜に新しい骨が作られています。

では、骨の強化を求めて朝に牛乳を飲んだ場合はどうでしょうか。

胃の中に入った牛乳が消化吸収される頃、人間の骨は溶けている真っ最中。つまりせっかくカルシウムを摂取しても、効率的に骨の材料にはなりにくいのです。

食事で摂ったカルシウムを効率よく骨の材料にまわしたいなら、骨が作られる深夜から逆算して「夕食」ということになります。特に女性は閉経後、骨粗鬆症のリスクも高まりますので、毎日夕食でカルシウムたっぷりの食材を意識したいですね。

塩分の制限が緩められるのは夜

塩分の制限が緩められるのは、意外にも夕食。実は、同じ量の塩分を朝昼夜に摂った場合、朝昼よりも夜の方が、尿に塩分が多く含まれているのです。つまり夜は、尿と一緒に塩分が外に排出されやすいということ。理由は、血中のアルドステロン(腎臓でのナトリウムの再吸収を促すホルモン)が、朝に高くて夜に低くなるからです。

私はこれを利用して、夜にはお酒と一緒に少ししょっぱいものも楽しんで、朝昼はなるべく塩分を控えています。減塩は、時間栄養学を利用してメリハリをつけると、無理なく食事を楽しめますね(高血圧で医師の食事指導を受けている方は、医師の指示に従ってください。)

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糖質制限をするなら夜!

私は朝と昼にしっかり炭水化物を食べて、夕食で炭水化物を控えています。朝昼にしっかり食べるのは、日中元気に働くため。夜に控えるのは、ウェイトコントロールが目的です。

数年前から糖質オフが流行っていますが、ブドウ糖は脳の大切な栄養素。日中は、しっかりパフォーマンスできるように、ガソリン(ブドウ糖)を補給する必要があります。

「炭水化物を食べて、太らない?」なんて心配しなくて大丈夫。健康な人の場合、すい臓のインスリンは、日中にたくさん働けるようにプログラムされています。朝と昼に食べた炭水化物は、大勢いるインスリンがしっかり働いて、血糖値を正常に戻してくれます。

ですがインスリンは夕方以降少なくなり、夜中にはほとんど出てきません。ということは夕食以降に炭水化物を摂り過ぎると、太りやすいということ。深夜にラーメンなどを食べてしまうと、休憩していた少数のインスリンたちが無理やり働かされることになり、素早く血糖値を下げることができません。すると太りやすいのはもちろんのこと、血糖値が高い状態が続き、糖尿病になりやすくなってしまうのです。

ガソリンとして大切なブドウ糖は、朝昼にしっかり、夜に控えると、美と健康だけでなく、脳もしっかり働いてくれるので、充実した毎日を送れますよ。


いかがでしたか?
「いつ」を意識するだけで、こんなにも効率よく栄養を吸収できてしまう時間栄養学。ぜひ、毎日の食事に取り入れてみてくださいね。

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