子どもの好き嫌いは喜ばしい!?親も子もストレスフリーで向き合う方法
「子どもの頃は大嫌いだった食べ物が、いつのまにか好きになっていた。」
そんな経験ありませんか?
私は小学生の頃、しいたけが大の苦手だったのですが、今では大好きに。しいたけを焼いて、ちょっと汗をかいてきたところにチョロッと醤油を垂らす…。あぁ!想像しただけでヨダレが出てきます。
他方で
「うちの子は好き嫌いが多くて、心配。」
「栄養バランスを考えて作ったのに残されて、めげる。」
なんて経験も、よく耳にする話。
子どもの好き嫌いは、「親目線」では心配や悩みとして捉えがちですが、「子ども目線」になって思い返してみると、成長とともにいつしかクリアできたものだったことに気づきます。
実は、子どもの好き嫌いは「喜ばしいこと」なんです。ですから「今のうちになんとかしなきゃ」と焦らなくて大丈夫。気長に向き合い続ければ、味覚の成長とともに克服していきます。
我が家の娘(7歳)は、かつて苦手だったピーマンやほうれん草を「おいしい!」と抱え込んで食べるほど大好きになりました。
そこで今回は、「親も子もストレスを感じることなく、子どもの好き嫌いと向き合う方法」についてお届けします。
子どもの好き嫌いは、喜ばしい!
子どもの頃は苦手だったものが、大人になったら食べられるようになる。
これはどうしてでしょう?理由は、二つあります。
1. 味蕾(みらい)の数
私たちの舌には、「味蕾(みらい)」という味を感じるセンサーがあります。味蕾があるおかげで色々な味を感じ、「おいしさ」を楽しむことができますが、味覚の敏感さは、味蕾の数に比例します。つまり味蕾の数が多いほど味に敏感なのです。
一般的に味蕾の数は、
・胎児期〜乳幼児期 約1万個
・20~30代 約7,500個
・60代以上 約3,000個
といわれています。子どもの頃「苦い」と嫌いだったものが大人になって食べられるようになるのは、味蕾の数が少なくなってきたから。大人になると辛いものや刺激物が好きになるのも、同じ理由ですね。逆を返せば、子どもは苦味や辛味を大人よりも強く感じているということ。だから「苦手」になってしまうのです。
2. 大脳のしわざ
大人に比べて胃腸の働きや免疫力などが低い子どもは、大脳が「苦味や酸味」を、「毒や腐敗物」のサインと受け止め、「食べてはいけないもの」と判断することが多いため、苦手になりやすくなります。つまり自分を守る防衛本能。子どもの頃に味蕾の数が多いのも、苦味や酸味を敏感に察知するためとも言えますよね。
こうして考えると、子どもに「好き嫌いがある」というのは、むしろ喜ばしいことだと思いませんか?私の場合、娘の好き嫌いを「あぁよかった!この子には自分の身を守る本能もあるし、味覚も敏感だ!」とプラスに受け取っていました。
だからといって子どもの好き嫌いを「仕方のないこと」と受け止めて放っておくだけでは、大脳はいつまでも学習するチャンスを得られませんし、味覚も成長しづらくなってしまいます。
そこで、我が家で娘の好き嫌いを改善するためにやってきたポイントは二つ。
ポイント1 「ひとくちだけ食べてみない?」を繰り返す
「体に良いが、娘にとっては苦手な食べ物」は、いくつかありました。私は、そういった食材を敢えて食卓に並べました。もちろん、味付けは子どもでも食べられるように工夫はしましたが。
我が家でよくあるのは、こんな会話。
母:せりちゃん、ピーマンちょっと食べてみて。
娘:やだ〜。苦いもん。
母:だよね〜。わかるわかる。お母さんも子どもの頃、苦手だったわ。でもさ、不思議だけど、ある日突然おいしくなる日が来るのよ。その日が今日かもしれないから、ひとくちだけ食べてみない?
娘:え〜。
母:パクパク。めっちゃおいしい!これ、大人にはたまらんよ。食べてみたほうがいいよ!
娘:ほんと?じゃあひとくちだけだよ。
ひとくち食べてみる娘。
娘:ぐえ〜っ!やっぱやだ。おいしくない。
母:あはは。そっか。まだ早かったか!オーケー!食べてえらかったね!
このやりとりは、これでおしまい。そしてまた日をおいて、出してみるのです。
しばらくは食べられなくても、出し続けることで、いつかそのタイミングはやってきます。ある日突然「食べてみようかな!」と自らトライしたり、家で食べなくても保育園や学校でおいしそうに食べている子につられて食べてみたり、自然と食べられるようになっていく子が、ほとんどです。
これぞ、大脳の学習。成長とともに様々な料理や味に触れていくことで、苦味や酸味に対して「この味は安全で、体に良い食べ物なんだ」と少しずつ大脳が学習をし、食べられるようになるのです。
娘も、苦手だったほうれん草に、ある日突然「バター炒め」がきっかけでハマり、大好物になりました。またピーマンも、ある日かつお節と炒めた料理を食べた途端、「おいしい!」と目覚めました。
味覚の発達は、長期戦。慌てる必要などありません。いつかお箸が伸びるその日まで、気長に、楽しみながら、少しずつテーブルに出してあげたいなぁと思っています。
ポイント2 嫌いなものを無理強いしない
ピーマンのやりとりのように、私は必要以上に無理強いしません。嫌いなものを無理に食べさせてトラウマにしたくないからです。
ピーマンやにんじんが食べられなくても大丈夫。「栄養のために」なら、代替品はいくらでもあります。ピーマンが嫌いなら同じ緑黄色野菜のトマトで良いし、しいたけが嫌いなら同じきのこ類のエリンギでOK。食物繊維が目的で野菜を食べさせたいなら、納豆を食べれば良いのです。「何がなんでもピーマンを食べなきゃいけない」という理由は、きっとあまりないはず。
仮にピーマンが一生苦手になったとしても、前述のように栄養面での代替品はいくらでもありますし、好き嫌いの一つや二つがあるくらいなら、それは個性の一つなのではと思います。
私は何よりも、まずは「楽しく食べる」を大切にしています。
好きな人と笑顔で食べると、おいしく感じませんか?
それはきっと、大人も子どもも一緒です。
楽しい食事こそ、食育で一番大切なこと。私はそう思います。
「まぁいっか」で、楽しみながら味覚を育てる
我が家では、時間があるときは娘と一緒に料理をしています。すると、苦手な食材も「自分が作ったから、ひとくち食べてみようかな」という気になるらしく、自らペロッと舐めて挑戦しています。作る工程から食材に向き合うことは、食育から見ても良いですよね。
「子どもの好き嫌いは、自己防衛本能が立派に働いている証拠で、喜ばしいこと。だから、今食べられなくても大丈夫。」
そう考えるだけでも、「まぁいっか」と、心が楽になりませんか?
無理強いせず、気長に食卓に出し続けることで、少しずつ子どもの味覚は発達していきます。
子どもの体を思う親の気持ちと、少しずつ発達していく子どもの味覚。
一人一人違う子どもの歩幅に合わせながら長い年月をかけて見守ってあげられると、お互いにハッピーですね。