月刊住むひと vol.09 JR総武線 西船橋駅 徒歩8分 賃料5.7万円 〜同じ物件の他の部屋見学ツアー〜

2019/02/04 UPDATE

この連載はほぼ実在する(ほぼです)ひとつの物件を取り上げて、この部屋に住んでいるひとの人生はどんなだろう、と勝手に妄想していくものです。

北向ハナウタが描く「住むこと」についての漫画とエッセイ、第9話。

交通:JR総武線 西船橋駅 徒歩8分
賃料:5.7万円(管理費含む)
築年数:築14年
主要採光面:南西
間取り:1R / 21.2㎡
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その他:軽量鉄骨造、2階

僕が模様替えをする理由はだいたい2個くらいあって

模様替えをしたい。理由のひとつめは、レイアウトに改善の余地があるからだ。

もっとも頭を悩ませているのがベッドの位置である。いまの配置だと、ベランダへ向かう際にどうしても毎回ベッドを乗り越えなくてはいけないのだ。何が悲しくて洗濯物を干すたびにひとり障害物競争を開催せにゃならんのだ。

ふたつめに、そろそろいまの部屋の配置にも飽きてきたためだ。なにせこの物件に住み始めてもう4年以上が経つ。気分転換でもしたい…なのだけど、凝り固まった頭ではどうしてなかなか抜本的なレイアウト変更はむずかしい。

「テレビのコンセントがここにあるでしょ、だからテレビ台はこっち側、ソファも自然とその向かいになるし…そしたら動線を考えるとベッドはここだよなあ、この向き?いや横にしたら寸法あわないわ。じゃぁ窓際に縦向きかな。や、待って、これ、いまの配置と全部一緒じゃん!」

なのだ。全部さっきと一緒じゃーん!障害物レース再開〜!なのだ。

「同じ物件の他の部屋見学ツアー」がしたい

そんなときに切に思うのが、「あぁ、これと同じ間取りのひとたちの部屋を参考にしたい」ということである。
おしゃれな部屋やインテリアを並べた雑誌なんて役に立たない、だってそれらに掲載されている部屋は筆者のそれと間取りが違うのだ。ファッション誌を見て「でもこの身長でこの顔だからいいんじゃん」と慎重にさせられるあの感じに似ている。頼む、自分と同じ部屋の例を参考にさせて!

というわけで、今回は冒頭の漫画で言いたいことをすべて言ってしまったような気がしないでもないのだけど、「同じマンション・アパートの住人たちを説得して、各部屋の見学ツアーをしたい」という話。

このツアーは相当参考になると思うのだ。
「あー、そのデッドスペース困ってたんですよねー!そんなサイズの棚あるんですか!」
「え、あっ、キッチンのそこって開くんですか?へー、調味料入れ!」
「わかりますわかります、電子レンジそこに置くしかないですよねー」
「二人がけのソファ置けるもんですね〜。勝手にあきらめてました」

同じ形の部屋だからこそ共有できる暮らしの知恵や”この間取りあるある”の応酬に思いのほか盛り上がるのではないだろうか。

まぁそんなご近所づきあいが円満に進むとも限らないけれど、少なくとも同じ物件を良しとして集った同志なのだから、赤の他人よりかは多少は気があう、はずなのだ。わからないけど、たぶん。

きっと仲良くすべきは上下階の住人

で、この見学ツアー、もっともチェックしておきたいのが自分の上下の階の部屋である。もちろん隣のひとの部屋とかでもいいけれど、自分の部屋と左右が反転されていたりすることもあれば配置が異なる場合も往往にしてあるからだ。
そう、この場合本当に仲良くすべきはお隣さんよりむしろ上下階のひとであり、隣人に渡した引っ越しそばを今すぐ回収して縦方向に媚びを売るべきなのである。

ちなみに筆者の上の階は大家さんが住んでいるので2度ほどお宅にお伺いしたことがあるのだけど我が家の数倍は広い部屋だった。なんにも参考にならない。単純に「いいなぁ」と思っただけだった。

投稿者名

北向ハナウタ

東京を拠点に活動する兼業ライター・イラストレーター。
好きなおでんは大根、好きなサイゼリヤメニューは、たらこソースシシリー風です。

twitter:@1106joe
blog:http://kitamuki.hateblo.jp/