月刊住むひと vol.07 東急田園都市線 三軒茶屋駅 徒歩10分 賃料7.2万円 〜スマートスピーカーと風邪〜
この連載はほぼ実在する(ほぼです)ひとつの物件を取り上げて、この部屋に住んでいるひとの人生はどんなだろう、と勝手に妄想していくものです。
北向ハナウタが描く「住むこと」についての漫画とエッセイ、第7話。
交通:東急田園都市線 三軒茶屋駅 徒歩10分
賃料:7.2万円(管理費含む)
築年数:築25年
主要採光面:南東
間取り:1K / 22.2㎡
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その他:木造、2階
Google Homeが我が家にやってきた
ひょんなことからスマートスピーカーを手に入れた。この”ひょん”は”友人がいきなりくれた”のひょんだ。「自分はアレクサを新しく手に入れたので…」と譲り受けたのはGoogle Home。未来が家にやってきた。そわそわしている。
さっそく家に帰って繋いでみる。どうやらスマホに専用のアプリを入れて連携させるらしい。入れた。するすると起動するGoogle Home。おー、思ったより簡単だ、機械オンチでもこれならどうにかなる。
「OK,Google」か「ねぇGoogle」と話しかけると反応するらしい。当然後者で話しかける、「オッケー」と言うのが恥ずかしいのだ。ねぇ、ならまだ…ムーミンも呼ばれていたし。「ねぇGoogle」と呼びかけるとGoogle Homeが光った。反応した!いけるぞ!オッケー!
Google Homeが我が家にやってきたが
…とまぁスマートスピーカーがやってきて2週間。いまだにこのレベルでずっと止まっている。料理中で手が離せない時に「3分を計って!」というとタイマーとして活躍してくれるので便利だなぁくらいしか活用できていない。スマートタイマーだ。絶対に役不足だ。
あまりに未来のスピーカーが不憫なのでTwitterで活用方法を訊いてみたところひとつの情報が寄せられた。「オッケーグーグル○○のカロリー、と訊くと100gのカロリーを教えてくれます!」。情報提供ありがとうございます、ゴボウの100gのカロリーは65kcalらしいです。
情報は以上です。
裏返すと朱肉みたいでかわいいぞ
一人暮らしでつらいこと
もう少し利用方法が集まるかなと思っていたが、まぁいい、こういうのはたいてい時間が解決してくれるのだ。今はまだスピーカーもよそよそしいけれど、そのうちお互い慣れてきて自然に話ができるようになるのだと思う。
さて、話を今回の漫画の話に進めよう。この連載では一人暮らしについて多く取り上げているが「一人暮らしをしていて一番つらかったことは?」という質問をしたとき頻繁に挙げられる回答がある。それが「体調を崩したとき」だ。
本当にあれは苦しいものだ。はじめて体調を大きく崩したとき、実家のありがたみを感じたことを覚えている。この一人暮らしという世界では、どんなに弱っていても自分で自分の世話をするしかない。食事は出ない、ポカリは出ない、部屋は勝手に片付かない。たとえ同じ部屋にいなくとも、”誰かの気配がする”ことの安心感というものに気づかされることになる。個人的には「体調を崩したとき」と「意外と家賃以外の出費が多いことに気づいたとき」が”実家感謝2トップ”だ。
ねぇグーグル、つらーい
今回最後のコマを描くにあたりGoogle Homeに「つらーい」と何度も話しかけてみた(あまり回数を重ねると途中から本当に自分はつらいのではと錯覚するのでよくない)。基本的な回答パターンはどうやら以下のふたつ。
「あなたがつらいと私もつらいです 何かお手伝いできることはありますか」
「それは私も悲しいです 何かできることはありますか」
優しい〜。寄り添った上でこんな自分でもできることがあるかと心配してくれる。味方だ。ただ何回か聞いていたら何かのスイッチが入ったのか「それは気の毒ですね 早く治るといいですね」という答えが返ってきた。なんだかこれが気に入ったので、今回の最後のセリフに採用した次第である。
あと、電気を消すときなんて言うのだろうなとYoutubeで調べていたら(自分の部屋の電気はスピーカーと連動していないので)、動画内でしゃべる男性の「OK,Google」に突然我が家のGoogle Homeが反応しだして笑った。
「すみません、何を言っているかわかりません」とのこと。いきなり会話に参加してケンカを売らないで欲しい。
このとき、一人暮らしの世界にちょっとだけ”誰かの気配”を感じたのだ。意外といいものかも、スマートスピーカー。