しんどいオカマのお悩み相談 その46. 友人と仲直りできなくてしんどい?
しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は友人と仲直りしたい女性からのお悩みよ。
オカマ同士のケンカって、大抵が「軽口で相手のコンプレックスを刺激しすぎる」のが原因なのよ。くだらないわよね。
【お悩み】
25歳の女性で、旅行代理店で働いています。
ずっと仲の良かった親友とケンカして、口をきかなくなってしまいました。
きっかけはほんの些細なすれちがいで、どちらが悪いわけでもないと思うのですが、なかなか話をするきっかけが掴めません。
連絡を取らなくなってもう数年が経ちますが、このまま友人としての関係を終わらせたくありません。
仲直りするにはどうすればいいのでしょうか?
友情なんて壊れやすいものよ
長引く「冷戦」のきっかけなんて、ほんの些細な出来事であることがほとんどよね。
どちらかに明らかな過失があるようなケンカなら、深い仲であれば相手の心中を察してすぐに謝れるだろうし、そこまで深い仲でなければ、「冷戦」にすらならずそこで関係は終了する。
些細な原因だからこそ、仲が良いからこそ、どちらが謝るでもなく気まずい関係になって、胸にもやもやしたものを抱えたままケンカが長引いてしまうのよね。
アタシも人生経験がそれなりに長いから、数々の友人と、些細なきっかけで縁が切れてしまったことがあるわ。
アタシの容姿をなじってきたことが原因で殴り合いのケンカをして、最後はアタシが背負投げをしてそのまま連絡を取らなくなったオカマ。
お金の無心をしてきたから無視していたら、アタシの根も葉もない噂を流されて、仕返しにアタシも相手の根も葉もない噂を流したら殴り合いのケンカに発展して、そのまま連絡を取らなくなったオカマ。
やだ、殴り合ってばかりね、アタシ……。
彼女たちのことは、一時期は親友だとすら思っていたのだけど、最終的には陰でお互いを憎しみ合う関係になってしまったの。きっかけは本当に、些細な出来事だったのだけど。
いまでは疎遠になって、もう連絡先すらわからないわ。いつか会って、謝りたいとは思っているのに。
人間関係なんて脆く儚いものよ。永遠の愛を誓った夫婦ですら、3組に1組は離婚しているといわれるくらいだし、友人関係なんていとも簡単に崩れ去ってしまうに決まっているわ。
だから、友人関係は脆くて当然、壊れ消え去って当然のものとして捉え、構えておくのが、自分の精神衛生上もっとも好ましい状態なのかもしれないわね。
ただ、そんな中でも唯一、壊れてしまった友情を修復して、心の底からよかったと思えた関係があるの。
でも、これを友情と言っていいのかはわからないわ。だけど家族愛とも違う、友情に限りなく近いもの。
アタシと、実の兄との関係よ。
たったひとりで解決しようとしなくていいのよ
兄とは些細な原因のケンカがきっかけで、5年以上、口をきいていなかったの。
お互いまだ実家で暮らしているときに、「兄が脱いだ衣服を片付けなかった」というただそれだけで、口汚く罵ってケンカしたのよね。本当に些細なことでしょう?
それからは会えばお互いに睨み合って、陰ではお互いの悪口を言い合っていたわ。
ちなみに、この件についてアタシは悪いとは思っていないし、今でもそう思っているわ。たった一言謝ってくれれば許そうと思っていたけど、相手から言われた言葉は「これは俺の感性だから」。
ケンカをする前はふたりで一緒に温泉に行くほど仲の良い兄弟だったのに、いがみ合いは平行線をたどって、ついには5年の月日が流れてしまったの。
だけどアタシたちは、あることがきっかけで、また昔のように仲の良い兄弟に戻ることができたのよ。
アタシは仕事柄、経営者の集まる会合に出ることが多いのよね。
その日もいつものように、「はじめまして、今後ともよろしくお願いします」とヘコヘコしながらお酌をしてまわっていたの。
すると、ひとりの経営者の方から「あれ?君、お兄さんいるよね?しゃべり方とかそっくり!」と話しかけられたのよね。
「兄はおりますが、じつはいまケンカ中で疎遠になっておりまして……」
「それはいけないな!よし、会合が終わったら、俺が電話してやるよ!」
「はぁ、それはどうも……」
社交辞令と思って聞き流したわ。だけど、そんな会話を交わしたことすら忘れかけていた真夜中、兄から急に電話があったの。
「じつはさっき、電話があったんだけどさ……お前、元気?」
5年ぶりの会話は「ごめんね」じゃなくて「元気?」だった。
「ああ、なんとかね」
それからアタシたちは、最初はお互いに気まずさを覚えてぎこちない会話をしていたものの、徐々に以前のような関係を取り戻していったのよ。
結局、ケンカをしたことなんてとうの昔に許し合っていたけど、お互いのプライドが邪魔をして言い出せなかっただけなのよね。
だけど、あの会合で、あの人に出会わなければ、アタシはいまでも兄とは口をきいていなかった。
後押ししてくれる人がいた……ただそれだけで、アタシたちは救われたのよ。
だから相談者のあなたも、もし親友との関係を修復したいのなら、第三者に仲立ちしてもらうことが最善の方法となりうるかもしれないわ。
プライドが邪魔をしたり、拒絶されたりすることを恐れて連絡を取ることができないのならば、それを誰かに手助けしてもらえばいいのよ。
自分ひとりで呪縛から逃れようとしないでちょうだい。
人間関係は大切に
壊れつつあったとしても、修復してまで大切にしていきたい関係が存在するのは幸福なことよね。
ただ、せっかく修復できた関係に依存してしまわないよう気をつけて。
人間関係というものは貴重であるとともに、脆く壊れやすく、流動的であることに変わりはないからね。
程よい距離感を見極めながら、関係を大切にしていかなきゃいけないわ。依存して、重荷になって、また絶望して……真の孤独を味わうことのないようにね。
さて、このコーナーでは、読者の方からのお悩み相談を随時募集しているわ。
恋愛でも学業でも仕事でも、あなたがどんなことで悩み、どんな風に解決したいのか、できるだけ詳しく簡潔に教えてくれると助かるわ。
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ついにお悩み相談が本になったわ。
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