しんどいオカマのお悩み相談 その7.道ならぬ恋がしんどい?
しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は不倫関係に悩む女性からのお悩みよ。知り合いの社長の愛人が「りん」って名前だったのをいの一番に思い出したわ。
【お悩み】
大学時代から不倫を続けて3年になります。
彼と出会って、結婚願望や子どもを授かりたいという気持ちがはじめて芽生えました。
すべてを望めないことは理解していますが、彼以外に「家庭を持ちたい」「人生を共に歩みたい」という思いを抱けそうにありません。
別の誰かに恋をして、彼のもとから去ったほうが幸せになれるのでしょうか?
結婚っていったい何なのかしらね
アタシも昔、知らないうちに「不倫相手の浮気相手」になっていたことがあるのよね。
当時付き合っていた彼が既婚者の男性と不倫していたのよ。それだけでもややこしいのに奥さんもまさか、旦那の不倫相手の浮気相手がこんなブスなオカマだなんて思っても見なかったでしょうね。お会いできるなら土下座して謝りたいくらいだわ。
ゲイ業界にも意外と既婚者は多いのよ。
事の流れで結婚して、もう10年以上も奥さんとキスすらしていない人もいれば、子供がほしいがためだけに結婚する人もいる。バイセクシャルで奥さんと子供を愛しながら、同時に男性を愛する人もいるのよ。
女性とひとつ屋根の下で一緒に過ごすだなんて、アタシには標高3,000mの山小屋で救助ヘリを待つときくらいしか無理だけど、どうやら彼らにとってはそれが当然の生活となっているみたい。
そんな既婚のゲイたちが口を揃えて言うのは、「奥さんや子どもを大事に思っている」ということ。
人間の倫理観なんて都合のいいものよね。
結婚したからと言って、愛情が未来永劫続くとはもちろん限らないわ。でも、結婚というたった紙一枚での契約は、あなたの言う「人生を共に歩むパートナー」の契約でもあるの。
人生って、誰もがドラマのような大恋愛をして、自分の生き方に100%納得して送るものではないからね。みんなある面では無感動で冷たくて、打算的に生きている。
もしも彼にとっての最良のパートナーがあなたであるなら、彼はとうに家庭を捨てているでしょうね。
その天秤に常にかけられていることを覚えておいて。あなたの選んだ道と、彼の選んだ道の重みは違うのよ。
既婚者が魅力的な理由を考えるのよ
アタシね、昔から友達が少なかったの。何の話だよ、って思ったでしょ?まぁ聞いてちょうだい。
オカマの本性を隠せず奇異の目で見られていた上に、持ち前のネガティブさと影の薄さも相まって、学生時代からほとんど友達がいなかったわ。
書いてて泣きたくなってきたから手短に話すけど、そんな中でいつも「コミュニティにおけるカースト上位の人間は、どうして誰も彼も自信に満ち溢れているんだろう」って羨ましく思っていたの。
でも、アタシも自分が会社で昇進してようやく分かったのよ。人を惹きつけ、時に粗暴な立ち振舞いですら魅力に変えるその自信は、確固たる居場所があることへの安心感から来ているものなんだって。
不倫や浮気をしている人にはちゃんと帰る場所があって、そこで待っている伴侶がいる。その余裕が人を惹きつけるのではないかしら。
あなたが好きになったのは、“既婚者である彼”なのよ。
それでも彼と家庭を持ちたいというのなら、我慢でも自分磨きでもなんでもして、彼が奥さんと別れてくれるのを待つことね。
でもね、略奪の末に結婚を果たした知り合いの女性がいるけど、正直言って辛そうだわ。旦那のメールは毎日すべてチェックするし、GPS端末を持たせて居場所を監視したり、少しでも女の影があれば、嫉妬に狂って旦那に怒りをぶつけたり……。彼女、前の奥さんと同じことをしているんですって。
不倫のように法に触れる行為も、バレなきゃ罪には問われないわ。けれど、犯した禁忌は一生枷となって自分自身を苦しめるのよ。
結局は別れろって話なのよ
自分が幸せになりたい、不幸になりたくない。相手を幸せにしたい、不幸にしたくない。手にしたい思いはすべて、彼の家庭や、彼の家族の人生を犠牲にすることで手に入るものではないのよ。それは重々理解していると思う。
彼と別れて、新しい人を探しましょう。もしくは、新しい人を探して彼と別れましょう。
あなたがいずれ味わう良心の呵責と、月日の流れでは洗い落とせないタールのように纏わりついた懐疑心は、決して彼と分かち合うことはできないのだから。
アタシも実は、このあいだ何度目かわからない失恋をしちゃったのよね。愛を与えることも与えられることも叶わない、なんてクソみたいな人生なんだろうって自暴自棄になってたの。
でもね、最近結婚したばかりの友達が言ってたわ。「散々だった人生が、ある日すっと花束に変わったんだよ」って。その言葉に一縷の望みをかけながら、アタシは今日も散々な日々を生きてるのよ。
だから、いつかあなたにも、あなたが次に恋をした人の人生にも、どうか花束が贈られますように。ついでにアタシにも。
さて、今回のお悩み相談は以上よ。
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