5歳さん嫁非公認コラム Episode:30「5歳、仕事辞めたってよ」
ちょっと奇抜な奥さまと元気な息子さん達とのユーモラスなエピソードが大人気!ツイッター界随一の恐(愛)妻家5歳(嫁公認アカウント)さんのコラム!
あなたは今の「働き方」に満足していますか?
第1章 僕の決断
先週、仕事を辞めてきました。
とは言っても、無職になったわけではありません。今まで僕は3つの仕事を掛け持ちしていたのですが、そのうちの1つを辞めてきたのです。
辞めたのは配送屋の仕事です。
今年の夏は殺人的な暑さだったので、8月には途中で『…死ぬかもしれない』と命の危険を感じたりもしました。実際、一緒に働いていた同僚達は暑さにやられて熱中症でバタバタと倒れていきました。次から次へと社員が倒れ、その影響で、残っている人達の仕事はドンドン忙しくなって、まさに灼熱の負のループに陥ってしまったわけです。暑いし忙しいし、今振り返っても、そんな過酷を極めた状況の中でよく生き残ったなと自分で自分を褒めてあげたい気持ちでいっぱいです。
第2章 ハイテンション・ワーカホリックと化した僕
そんな脳裏に焼きつくほどアッツアツの2018年夏だったわけですが、配送業の他に僕は整体の仕事とライターをやっていました。この2年間、二足のワラジならぬ三足のワラジを履いて走り続けてきたのです。
僕の人生を振り返ってみて思うんですが、なんで人ってちょうど良い忙しさを維持できないんですかね?
と言うのも、この[三足のワラジ]スタイルで働き始めた最初の頃は、一つひとつの仕事の忙しさがちょうど良かったんです。配達して、適度に整体の予約も入って、時々原稿を書いて、心地良い忙しさの中で仕事をこなしていたのですが、そんなのほんとに最初の一瞬だけでした。
配送業も慣れてくるとどんどん仕事を振られたし、整体も他の仕事が忙しい時に限って予約の電話がガンガン掛かってきたし、ありがたい事にライターの仕事もバンバンきました。
仕事って、忙しくなればなるほど果てしなく忙しくなるんですよね。仕事が仕事を呼び、忙しさが忙しさを呼ぶ。ちょうど良い忙しさなんて、この世には存在しないのかもしれない。
しかも、仕事の忙しさがある程度のラインを超えて振り切れてくると、ツラいとか苦しいとかっていう感情が無くなってきて、ランナーズハイみたいに「なんか忙しいの超楽しいぃぃい!!」という状態になってくるんです。
例えばバイトで、4連勤は一番キツいけど、もう10連勤超えると逆に休まない方が体が楽っていうのと同じです。これは自己防衛反応なのかわかりませんが、人はそうやってやらなくちゃいけない場面、ここぞ!という状況で山場を乗り切ってきたのかなと思います。
実際、僕も今年の夏はキツいのにもかかわらずハイテンションで働いていました。「キツいのが気持ちいいぜ!ツラいのが楽しい!」とかって叫びながら仕事してましたからね。完全なるハイテンション・ワーカホリックですよ。
しかしながら、それだけ働いているとお金はどんどん入ってくるものの、家族の時間がどんどん減っていくわけです。
夕方仕事が終わって一回帰宅すると、息子達が玄関でお出迎えをしてくれるのですが、おかえりなさいの次に決まって「パパ!よるはおしごとある?」と聞いてくるのです。
もちろんほぼ毎日、夜も仕事があったので「あるよ」と答えると、息子達は僕の足にしがみつきながら「おしごとサボりなよ〜」「あそぼうよぉ〜」「いかないでよぉ〜」と言います。嫁も背中にしがみついてきて「一緒に遊ぼうよー!」と言い出します。
リアルに後ろ髪を引かれて、それを振り切って仕事に向かっていました。
時々、夜に仕事が入っていない時は「パパ!よるはおしごとある?」の問いに対して僕は「ないよ!!パーティーナイトのはじまりだぁーー!!」とハイテンションで答えて、それを聞いた家族はお尻をフリフリしながら踊ったりしていました。僕に夜の仕事がないってだけで、家族がパーティー気分になるんです。
このワンシーンだけ切り取ってみれば幸せなお気楽ファミリーだけど、裏を返せばそれだけ息子達、そして嫁に僕との時間が足りてないって事なんですよね。
第3章 未来設計は大切だけど…
ちょっと前に、何週間か連続で土日も仕事が入っていた時があって、小1の長男にこう言われました。
「さいきんパパとぜんぜんあそんでない」
その表情はとても寂しそうでした。
僕はその一言で自分の生き方、働き方を考え直す必要があるなとしみじみ思ったのです。
僕だって息子達と遊びたい!
それで、仕事を辞める事にしました。
嫁にその事を話してみると「とてもいいと思う!」の一言。
嫁だって僕と遊びたがっているうちの一人です。なんならこの世で僕と遊びたい気持ちが一番強い人かもしれません。
家族を養っている立場としては、この先のお金の事とか考えなくてはいけないわけですが、何となく計算してみたら、残り2つの仕事をちょっと頑張ればなんとかなりそうだという結論に至りました。未来設計はとても大切だと思うけど、あんまり心配し過ぎても身動きが取れなくなっちゃうので、「なんとかなるなる」の精神を大切にしています。というか、今までそう考えてなんとかなってきました。
“子供がお父さんと遊んでくれるのは10歳まで”と言われています。小1の長男は今7歳なので、あと3年しかない。ここからの3年間が子供と一番思い出を作れるチャンスなのです。
「今作らないで、いつ作る!思い出!」
僕の心のキャッチコピーです。
もうすでにカウントダウンは始まっています。
ちなみに、昨日の昼間は仕事がなかったので、小学校から帰ってきた長男と2人でテレビゲームをやりました。息子とゲームをやるのは久しぶりです。いざプレイしてみると、僕が知らない間に腕前を上げていた長男に全く歯が立ちませんでした。
「めっちゃ上手くなったね」と褒めると、「へへへ」と照れ笑いをしながら「パパがずーっとおしごとおやすみならいいのになぁ〜」と言っていました。
気を抜いていたらいつかまた仕事人間に変身してしまいそうなので、息子のこの笑顔を忘れないようにしていたいです。