しんどいオカマのお悩み相談 その39.彼と結婚すべきかわからなくてしんどい?
しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は結婚相手の条件に悩む女性からのお悩みよ。
オカマのアタシが結婚相手に求める条件って何だろう?……う~ん、ヒゲと筋肉かなぁ……。
【お悩み】
25歳の女性で、営業職です。
私にはひと回り年上で、遠距離恋愛中の彼氏がいます。
彼はバツイチで、お子さんもいるのですが、裁判離婚で親権が認められなかったようで、今は一人暮らしをしています。
先々、その彼と結婚したいと考えています。
しかし、友人には「もっといい人がいると思う」と言われます。
私自身も、彼より条件のいい人は他にいるであろうことはわかっていますが、どうしても、彼と結婚したいのです。
恋愛と結婚は違うと聞きますが、私はこのまま彼と結婚しても幸せになれないのでしょうか?
結婚とは「条件」だけでするものなのでしょうか……?
妻子持ちのゲイもいるのよね
女性と結婚し、子供までもうけているゲイを知っているわ。
彼は完全な同性愛者だから、決して女性を愛することはできない。できないはずなのに、妻子がいる。
いったい、彼は「何」と結婚したのかしらね?
アタシも同性愛者ではあるけれど、愛してもいない人と、愛し合っているふりをして、ひとつ屋根の下で暮らすだなんて絶対に無理だわ。
その生活を考えただけでも、胃液が喉まで上がってくるわよ。
以前、彼に「ゲイなのに結婚した理由」を尋ねたことがあるのよね。
すると、彼は少し考えてこう言ったわ。
「子供がほしかったから。あとはノリで」と。
なんて単純明快な理由なのかしら。自分の一生に関わることで、他人の人生をも大きく巻き込む決定だというのに。
でも、世間の考える結婚の理由や意味って、一部では、実はこういった単純さをおおいに含んでいるものなのかもしれないわ。
アタシをはじめ、相談者のあなたも、あなたの友人も、結婚という制度を必要以上に重く捉えてしまっているだけなのかもしれない。
結婚をするか否かが、愛情も含めた様々な評価の「総合点」のみによって決定されるのであれば、彼の決定は誰に責められるべきものでもないわよね。
愛情がなくとも他に好条件が揃えば結婚できるし、逆に、愛情だけに特化しても結婚はできるってこと。
件の彼の場合は、「子供がほしい」という願望に、「嫁と気が合う」という環境が重なって、結果として結婚という道を選んだのよね。
まったく後悔はしていない様子だったわよ。そして、「嫁を女性として愛してはいないけれど、家族として妻子を愛している」と言っていたわ。
……アタシにキスをしたあとでね。最低よ、最低。
これまで幾多のゲイを見てきたけど、既婚者のゲイって意外と多いのよ。
彼らが口を揃えて言うのは、やはり家族への愛情だったわね。
外で男と浮気をしながらも、家族を愛している。もちろん、浮気をしない人もいるだろうけど……。
彼らにとっては、その状態が最良の「好条件」であり「最高点」だっただけなのよね。
たとえ、それがどれだけ歪んでいたとしても、幸せだと言えるのならばそれでいいのよ。
確かに結婚は「条件」でするものなのかもしれないわ。
でも、だからといって、あなたが世間の言う好条件に合わせる必要なんてないの。
幸せの条件なんて、結局は、自分の中にしかないのよ。
いつ何時、幸不幸がやってくるかはわからないわ
「愛している」「一緒にいたい」それだけでも十分に、立派な結婚の条件となりうるわ。
ただ、結婚って、相手の良い面だけでなく、負の側面も受け入れなくてはならないのよね。
あなたの彼でいうと、たとえば年齢差ね。
老後のことを考えると、年齢はなるべく近いほうがお互いの負担は少なくなる。子供のこと、介護のこと、様々な面で同年代との結婚と比べて多少不利なのは確かね。
それから、別れた奥さんとお子さんのことも気になるわよね。
離婚した原因が彼にあったとすると、同じことがあなたとの間にも起こる可能性があるじゃない?
それから、慰謝料や養育費を払い続けているかもしれないし、今後、彼がお子さんに会うことを許してあげなくてはならない。
彼が以前に愛した家族の亡霊が、ずっとつきまとうことになるかもしれないのよね。
そういった負の側面を受け入れる覚悟ができているか、もしくは、それを埋め合わせられるほどの理由を見出せるのであれば、すぐにでも結婚に踏み切っていいんじゃないかしらね。
ただ、ひとつ言えるのは、たとえ負の側面が大きかろうが、小さかろうが、あなたが将来、幸せになれるか、なれないかは誰にもわからないのよね。
一見、悪条件に見えることでも、蓋を開けてみれば取るに足らないことかもしれない。それは時が経たなければ見えないことなのよ。
むしろ、デメリットだと思っていた彼の家族の問題は、彼からあなたへの愛情を深めるひとつの要因になるかもしれないじゃない?
逆に、あなたがこの結婚の最大のメリットだと思っていた愛情が、きれいサッパリと消え去ってしまうこともあるけど。
未来のことなんてわからないのよ。アタシにもあなたにも、あなたの友人にもわからないの。
となると単純に、あなたが今、彼と結婚したい理由が、彼と結婚する最大の理由となるんじゃないかしらね。
「だから絶対に彼と結婚すべきだ」とは言わないけど、結婚すべきでない理由だけを探し続けることはナンセンスだわ。
ましてや他の、まだ見ぬ誰かと彼を比べるなんてばかげているわよ。
だから、結婚について今のように必要以上に不安がることはないんじゃないかしら。
報われるときは報われるし、堕ちるときは堕ちる。ただそれだけよ。
何をもって幸せとするか
最後に、これだけは言っておきたいのだけど、もし幸せになりたいのであれば、他人から見た幸せを判断の軸にしてはいけないわ。
アタシみたいなオカマなんて、オカマらしさを求められて、それを演じて生きるばかりだし。自分を殺し続けているようなものよ。
他人の思う幸せを手にして、いっときの優越感と安心感を得られたとしても、それは真の幸せとはとても言い難いものなのよね。
人は、自分が何をもって幸せだと思えるのかを、しっかりと見極めながら生きるべきなのよ。
そうすることで、必ず幸せになれるとは限らないけど、少なくとも、心を鎖で締め付けられるような後悔は味わわなくても済むわ。
どうか、あなたも自分の心に従って、誰かとともに生きてみてください。
さて、このコーナーでは、読者の方からのお悩み相談を随時募集しているわ。
恋愛でも学業でも仕事でも、あなたがどんなことで悩み、どんな風に解決したいのか、できるだけ詳しく簡潔に教えてくれると助かるわ。
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