歌い手S!Nの「僕とデートしませんか」 その5:名古屋港水族館
イケメンながらも過激な面白キャラで、若い女子を中心に大人気の、歌い手S!Nさん。そんな彼が、地元・名古屋のビミョ~な魅力をバーチャルデート目線で気ままに紹介します。
アイスム読者の皆さま、こんにちは。五回目の更新となりました、S!Nです。
名古屋の街を紹介しながら僕自身のことも紹介する、というテーマのもと、S!Nと名古屋の街をデートしている女子の気持ちをS!N自身が妄想しながら書く、ちょっと変わったデートコラム。今日も女子目線になりきって頑張ります。
第五回となる今回は、デートの定番と言っても過言ではない水族館へ行ってきました。いつもよりちょっと気持ちが浮ついている私(一人称は既に女子である)、そんなデートをご覧ください。
明日は名古屋港水族館でデート
「明日何時にしよっか!」
「何時でもいいよー」
いつものことだけど、彼が何かを決めることはあんまり無い。大体いつも私任せ。
興味がないのか、面倒くさがりなのか、たぶんその両方。
「じゃあ13時に着けるくらいにしよっか」
「りょうかい~~」
きっと今もスマホのゲームをしながら適当に返事してるんでしょ。ほんとに適当なんだから。
明日は名古屋港水族館!
なんだかこれ、いつもより“デート”って感じるのは私だけかな。
やっぱり定番よね、水族館。うんうん。楽しみー。
彼が楽しみなのかは分からないけど。でも一緒に行ってくれるんだから、まぁいっか。
「あ、ちょっと待って」
彼からのLINEだ。瞬間、嫌な予感がした。
ドタキャンかな。でもお仕事なら仕方ないよね。そんなことを考えながらメッセージを開く。
「イルカパフォーマンス13時からだから12時には着くようにしよ~」
「うん、わかった!」
あれ、思ったよりも楽しみにしてる?よね、きっと。
嬉しい。
当日は快晴!絶好のデート日和
名古屋港に行くには、地下鉄を栄駅で名城線金山方面(左回り)「名古屋港」行きに乗り換えて、大体20分くらい。
地下鉄名古屋港駅、3番出口、徒歩5分。
「暑い。完全に夏でしょこれ。夏になったらどうなるの。夏なんてもんじゃないじゃん、絶対」
地上に出た途端、億劫そうな声で彼が文句を言っている。
いつも以上に丸まった背中で、明らかに歩くのも遅い。
晴天に恵まれた今日は6月にしては確かに暑くて、少し歩くだけで汗が額に滲む。
「確かに暑いけど、デート日和って感じで良いじゃない?」
「はい、でーとびよりですね」
「もう少し感情込めてよ(笑)」
「無理、暑すぎて感情が溶けた。僕は今日ここで水族館に辿り着くことなく死ぬかもしれない」
大袈裟な彼の文句に付き合っていたら水族館が見えてきた。
小学生の団体や親子連れ、そして何組かのカップルがいる。
あぁ、私たちも今、他の人から見ればちゃんとカップルなんだ…なんて事を考えては顔がニヤけてしまう。
あれ、さっきまで後ろに居た彼の姿がない。
「歩くのちょっと遅くないですか?そんなダラダラした速度で向かうような弛んだ気持ちで水族館に来たんですか?飼育員はじめ水族館で働いている方々に対して、そして生命の素晴らしさや尊さを教えてくれる水棲生物に対して、畏敬の念が足りていないのではないですか?水族館は遊びじゃあないんですよ」
ちょっと!さっきまで後ろをダラダラ猫背で歩いていたくせに!
左手に握ってるスマホから察するに、スマホゲームの戦闘がひと段落着いたんだろう。
ほんとにマイペースだしキャラの振れ幅がひどい。
「あれ、チケットは?」
水族館正面の階段を上ると、右手に券売所がある。そこに向かうこともなく入口に向かう彼。
「買っといた」
「えっ、ありがとう!」
コンビニで事前に買っておくことができるらしい。券売所で待たずに入場できるのはすごく便利だ。
それに、買っておいてくれたことが素直に嬉しい!
素っ気ないし面倒くさがりなくせに、こういう優しさは彼の魅力の一つだと思う。うんうん。
なんて、誰に言うでもない惚気を飲み込む私。
「でも残念だ、どうやら今日は入館時に1人2枚のチケットがいるみたいなのでこれは僕の分しかないですね…あっちで買って来たら?」
「それは嘘!(笑)」
優しいだけで終わらないのは照れ隠しなのかな。
日本一大きな水槽を眺めながらのんびり
そんなやりとりをしながら入場した私たち。
水族館に入った瞬間の、青に包まれる感じが好き。
太陽の光が揺らめいて、水槽の底やイルカを照らしているのがとても綺麗だ。
今日が晴れでほんとによかった。
名古屋港水族館は入ってすぐ右手側にシャチ、正面にイルカ、左手にベルーガの水槽がある。
「初っ端から出し惜しみ無しかよ」って彼が呟いたのが地味に面白かった。
ベルーガは真っ白で可愛いし、シャチは大きくて模様が可愛い。
「名古屋城に行った時のこと覚えてる?福島正則が名古屋城から名古屋港までの川を掘削したらしいっていった話」
「うん、なんとなく」
「絶対覚えてないでしょボケカスラッパ。10年ちょっと前、その川にシャチが迷い込んできたらしいよ」
「へぇ~」
暴言でオーバーキルされた私はあまり話を聞いてなかった。ラッパって何。ラッパって。
左右の水槽を見て回った後、正面のイルカの水槽に来た。
「先月末からバンドウイルカの赤ちゃんが公開されてるって」
「ほんと!小さくて可愛い~!」
「人工授精で生まれた赤ちゃんでこうやって生きてるバンドウイルカの赤ちゃんって、いまのところ日本でこの子だけらしいよ」
「そうなの?名古屋港水族館って実はすごくない?」
「正直すごいよね。全然知らんかったけど」
入口の3つの水槽を越えた先を右に曲がるとメインプールの水中が覗けるようになっている広間がある。
「私ここ好きー」
「日本一大きい水槽って書いてたねこれ」
「そう!欲を言えばここで色んな魚が見れたらずっと座ってられるのにな~って思う」
「でもイルカパフォーマンスの時のイルカの水中の動きをこんな間近で見れるのがめっちゃすごいよねー」
「もう一個こういう水槽があってそっちではたくさんの魚を見れたら良いのにね~」
「幾らかかるんだそれ(笑)」
のんびりと座りながら煌めく水とイルカを眺めつつ広い空間で彼と話せる。
贅沢じゃない?すごい贅沢。
お待ちかねイルカパフォーマンスの時間!
そろそろ13時。
今眺めていたこの水槽を今度は上の客席で眺める。イルカパフォーマンスが始まるのだ。
何頭ものイルカ達がトレーナーさんの指示に従ってヒレを振ったり、ステージに上がってクルクルと回ったり、フリスビーをキャッチしたり、同時にジャンプしたり、迫力のパフォーマンスが続く約20分間のイルカパフォーマンス。
「すごいねー。なんであんなに上手にできるんだろ」
「僕でもあんなに高く飛べないですけどね」
急に彼がこっちを見て手を振ってきた。
訳が分からないまま、私も手を振り返す。
「すごい!イルカパフォーマンスに出れるんじゃないですか?!」
「馬鹿にしすぎ!!」
いつものことながら、私を馬鹿にする時が一番楽しそうな表情を見せるんだこの人。
「後ろの大きなモニターで見どころをリプレイしてくれるのがかっこいいよね~」
「あれでもっと迫力が増してるよね、わかる!」
「ていうか、なんかもう十分堪能した気がするけどまだ半分も見てないんだよなこれ」
「次はどうしよっか?」
「今が北館だから、南館の方ぐるっと眺めて戻ってきたくらいでちょうどアザラシの餌やりが見れるんじゃないかな」
「そうする!じゃあ行こ!」
マイワシのトルネードの秘密!?
北館ではシャチ、ベルーガ、イルカといった大型の生物がいて、南館ではペンギンやサンゴのいる水槽、小さな魚たち、深海魚、そしてウミガメなどを見ることが~できる。
北館から南館に移動する連絡通路、その両サイドには飼育員さん達が撮影した館内での生物達の写真と、写真家の方が撮影した海での生物達の写真が飾られている。
同じシャチでも館内のシャチの写真の方が可愛らしく見えるのは気のせいかな。
「ペンギンはさ、水族館にも動物園にも居てちょっとずるいよね。人気者の名を欲しいままにし過ぎだと思う」
また変なこと言ってる。ちょっと物の見方がズレてるんだよなぁ。
「イルカパフォーマンス、ペンギン。あとマイワシのトルネードも有名だよね」
「あれも好き!一つの生き物みたいな!」
「でもちょっと前、水族館だから天敵いないし群れになる必要なくない?ってイワシも思い始めた、みたいな事件があったよ(笑)」
「えっ、なにそれ(笑)」
彼は変な事ばっかり知ってる。でもいつもの歴史うんちくよりは面白い。
「元々イワシが群れを作る理由は、はぐれると食べられちゃうからってことらしいんだけど、『どうせ自分たちは食べられんやろ!』と気づいたのか、群れをつくらない気の弛んだイワシが出てきた、ってニュースになってたんだよ」
「でも今は群れになってるよ?」
「対策として水族館が同じ水槽に天敵のマグロ軍団をぶち込んだら、『やべぇ!!』って緊張感持って、群れをつくるようになったんだって(笑)」
「マグロが学校の先生みたいになってるじゃない」
本当なんだろうか。目の前のイワシの群れを眺めながら、人間みたいだなっておかしくなった。
(※現在、名古屋港水族館ではマグロは展示しておりません)
アザラシとペンギンのフィーディングタイム!
「そろそろ餌やりの時間だからもどろうか」
「もうそんな時間?早いね」
深海魚も、カメも、川魚も、一つ一つの水槽を眺めてるとあっという間に時間が過ぎていく。
水の生き物って時間を忘れさせるような、そんな気がする。
ユラユラ揺れてる水の波長が心地いいからだろうか。
次はフィーディングタイム(生き物達のごはんを観察できる時間)に合わせて『ゴマちゃんデッキ』へ。
ここでは2匹のゴマフアザラシと20羽のケープペンギンを間近に眺めることができる。
「そういえば私が前きたとき、アザラシの餌やりの場所なんてなかったような気がするけど」
「去年の夏に出来たらしいよー。僕も初めて見るわ」
「すごいね、ご飯の時間なのが分かるのかな。なんかすごい元気に泳ぎ回ってる!」
「確かにうちの猫も毎朝同じ時間に起こしに来るな。体内時計ってすごいね」
「芸覚えるくらいだし時計読めるのかも」
「えぇ!?僕でも読めないのに!!」
ゴマフアザラシが飼育員さんに従って芸を見せてご飯をもらっている。
ガラス一枚のこの距離でアザラシをじっくり眺めるなんて初めて!
そしてその後にはケープペンギンが。
「ペンギンが地面歩いてるの初めて見た…」
「わたしも…!」
そう、ここではフィーディングタイムにあわせてペンギンの“お散歩”を楽しむことができるのだ。
「可愛すぎるやろ!」
しゃがみ込んで夢中でペンギンを眺める彼。
「これはちょっと、抗えない可愛さね…」
両足ジャンプで階段をペタペタと飛び降りる様子が可愛くて仕方なかった。
楽しかった水族館の帰り道…
「そろそろ帰りますか~」
「大満足ね」
フィーディングタイムを堪能した私たちは、お土産屋さんをぐるっと見渡してから帰路についた。
「マジか、クッピーラムネとコラボしとる…。いやいやマジか、シェ・シバタともコラボしとる…」
お土産屋さんでまた彼の変なスイッチが入ってたのは見て見ぬふりをした。
「楽しかったね~」
「うん、思いのほか楽しかった」
「じゃあまたね」
「は~い」
別れ際、いつも彼の一言でドキっとさせられる私は、なんとなく今日も身構えていた。
「そういえばさ、」
ほら、来た。そうそういつも不意なデレにときめいたりしないんだから。
「世界で今ここにしかない生物ってなんだと思う?」
「えっ」
世界?ここだけ?
それって、私たち、みたいなまさかそんなロマンティックなこと?
水族館デートの帰りにそんな甘い言葉を聞かせてくれるの?
どうしよう、分からないフリをして彼の口から答えを聞いた方が良いんだろうか。
考えるだけで耳が熱くなってきた。
「わかんない?」
勇気を出して、照れながら答えた。
「私たち、とか?」
「は?ナンキョクオキアミだよ」
は?
そういうこと?水族館の話?
「ちなみにオオシャコガイも日本ではここにしかいないらしいよ。じゃあまたね~」
もう!!水族館デートのあとなのに!!
マイペース過ぎ!!私のドキドキ返して!!
はい!以上です!
お土産屋さんでお土産の写真撮ってたらシェフと記念撮影したみたいになってしまった。ちょっと恥ずかしかった。
というわけで今回は名古屋港水族館でした!!
良いですよね水族館。水はいい。癒しですよ癒し。
小さい頃は単純に生物を眺めるためだけのスポットとして利用していたんですが、大人になってから再訪してみると学術的にも大変意義のある施設なんだなぁと感じます。
飼育生物の繁殖してるって生物の事を知るうえでめちゃくちゃすごいことですよね。すごい(語彙力)。
名古屋港水族館があるガーデンふ頭には『名古屋海洋博物館』『南極観測船ふじ』『ポートビル展望室』もあって、歴史的な資料などがたくさんあります。
水辺の生物を眺めるだけでももちろん楽しいですし、知識欲を満たすという点でもとても良い場所なので、ぜひ遊びに行ってください。
では、また。
名古屋港水族館
http://www.nagoyaaqua.jp/
料金(通常入館):
大人・高校生: 2,000円
小・中学生: 1,000円
幼児(4歳以上): 500円
料金(夜間入館)
大人・高校生: 1,600円
小・中学生: 800円
幼児(4歳以上): 400円
※夜間入館はゴールデンウィーク、夏休み期間の午後5時以降のみ可能
営業時間:
<通常期>9:30~17:30
<夏休み>9:30~20:00
<冬 期>9:30~17:00
<休館日>月曜休館(祝日の場合は翌平日)
※GW、7~9月、年末年始、春休みは無休
※冬期にメンテナンス休館あり
※詳しいスケジュールはホームページをご覧下さい
(※掲載内容は2018年6月時点のものです)
(※今回の撮影は営業広報課2名の職員様がご同席くださり、各コーナーの魅力を丁寧にご教示くださいました。お忙しいところ、本当にありがとうございました)