しんどいオカマのお悩み相談 その34.女性として自信を持てなくてしんどい?

2018/05/09 UPDATE

しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は女性として自分に自信を持てなくなった女性からのお悩みよ。
アタシも自分に自信がないわ。たまにいる自信満々のオカマを見ると「すごい、無から有を作り出してる……」って感服しちゃうわね。

【お悩み】
24歳の女性、会社員です。
数年前に大好きだった男性に振られて以来、女性としての自分にまったく自信が持てなくなりました。
いま思い返すと、当時の自分は垢抜けておらず、自己中心的な性格だったので振られるのもわかるのですが、男女としての仲は悪くないと思っていたので、ショックでたまりませんでした。
また、当時所属していたサークルで、私以外の全員に彼氏ができたのも自信がなくなった要因です。
周りからは「〇〇ちゃんは可愛くて料理もできるのにおまえは……」などとイジられることも多く、さらに自信がなくなってしまいました。
好きな人ができても「どうせ振られてしまうし、告白しても迷惑だろう」と思ってしまいます。
周りはどんどん結婚していって、私だけ一人ぼっちになってしまう気がして怖くてたまりません。
自分に自信を持てればもっと生きやすくなる気がするのですが……意見をお聞かせください。

「独り身になりたくない」と思えるだけでも素晴らしいわよ

女性って、若いころから結婚適齢期なんてものを周囲から意識させられて、それを過ぎると売れ残りだの行き遅れだのと後ろ指をさされて、肩身の狭い思いをすることがあるわよね。
本当に最低なセクハラよ。
ただ、女性自身も表立って言わないだけで、結婚について強く意識して、独り身であることに焦りを感じている人が多いのもまた事実よね。

昔、アタシの同僚にとても結婚願望の強い女性がいてね。
20代後半のとても綺麗な人だったのだけど、当時は仕事も手につかないほど、毎日毎日結婚について考えていたみたい。
「絶対に30歳までに結婚したいんです!絶対に!」と号泣しながら上司に恋愛相談をしていたとあとから聞いたわ。
結局、新入社員の男の子と付き合って寿退社をしたのだけど、いまでは子供も授かって、それはそれは幸せに過ごしているみたい。

結婚して家庭を持つこと、すなわち種の保存の一端を担うことって、DNAに刻まれたもっとも分かりやすい幸福のひとつよね。
考えてみれば当然よ。それを幸せと感じなければ、誰も家庭なんて作ろうと思わない。人類はそこで絶えてしまうでしょうからね。
家庭を持ちたいという欲望に従順であることは、それ自体が人間として幸運で、幸福なことなのかもしれないわね。

アタシは「旦那や子供を持ちたい」だなんて毛ほども思わない、恋愛関係においてはパサパサに乾いたオカマだからさ。
何か別の幸せを見つけて生きていくしかないし、そこにしょうがなく希望を抱きながら生きているの。
たとえ、旦那と子供のいる生活を幸せだと思える感性が、アタシのDNAにもちゃんと刻まれていたとしても、すでに恋愛については何もかもを諦めてしまっているから、その幸せを手にできる可能性はごくわずかね。
もちろん、目の前に理想の体育会系イケメンノンケがいれば「アタシの味噌汁、毎日飲んでんかー!!」と即プロポーズをしてしまうかもしれないけど、今のところ特にそういった衝動に駆られてはいないわ。

相談者のあなたには、「恋愛をしたい、一人になりたくない」という欲求があるのだから、それはそれで、人間として自信を持つべきことなのかもしれないわよ。
もしも望むものが手に入ったときには、それを誰よりも大切にできるってことだから。思い切り幸せになれるってことだからね。
もちろん、“結婚しないという選択肢から得られる幸せ”を選んでもいいのよ。世間に惑わされず、我が道を進めるのであれば、それはそれで幸せなことよ。
ただ、今のあなたにはその道は考えられないみたいね。
だけど、安心して。いずれにせよ、何かを求め続ける限り、幸福になれる可能性はゼロじゃないのよ。
絶望はまだ頭すら見えていないのだから、焦って喚いて、諦めてしまうには早すぎるわ。

自分の魅力を押し殺しているんじゃない?

それでも、自信なんて一朝一夕で身につくようなものではないわよね。
自信や自己肯定感って、何もないところからは湧いてこないのよ。
誰かに褒められて、評価されて、最後に自分自身からも評価されなければ、決して身につくことはない。


アタシにはね、どれだけ他人から褒められたところで、最後には「いや、もっとすごい人はいくらでもいるし」と、謙遜を超えて卑屈になってしまう癖があるの。

アタシは幼いころからずっと、両親から「いい子であり続けなさい」と言われて育てられたわ。
人に優しく、どこまでも謙虚で、誰にも迷惑をかけない子でいなさいと。
だからこの歳になっても、「いい子でいなきゃいけない、完璧でなければいけない」という思いから、自分への評価がどうしても辛口になってしまうのよね。
たとえ、誰かに褒められたとしても、喜ぶことを躊躇してしまうの。
だって、自分が自信を持つことって、誰かに劣等感を抱かせてしまうことに繋がるかもしれないじゃない?
それって、自分の中でアタシは「わるい子」ということになってしまうのよ。

いい人であり続けるということは、確かに人としては正しいことなのかもしれないわ。
だけどそれは同時に、自分を押し殺すということでもあって、自分ではない誰かの心地よさのためだけに生きていくということなのよね。

でも、自分を押し殺すことによって他人が得られるものなんて、実は何もないの。
むしろ自分が自信を持って行動することのほうが、誰かの背中を押してあげられたり、希望を見せてあげられたり、悲しみを癒やしたり、たくさんのものを与えられるのに。
身に染みついて離れない卑屈さが、いまだにアタシを苦しめているのよ。

相談者のあなたは、「昔は自己中心的だった」と言っているけど、もしかすると自分自身を必要以上に否定してしまっているのかもしれないわ。
年齢を重ねると、自分自身で気がついたり、誰かに指摘されたりして、過去の自分の言動が幼稚で身勝手なものに思えるものよね。
だけど、もしかしたら、それはあなたの個性であって、魅力の一つだったのかもしれないの。
あらゆる個性を押し殺してまで卑屈になる必要はないわ。
あなたはもっと、自分のために生きていくべきよ。それが自信となり、あなたの魅力になっていくんじゃないかしら。

個性を貫くにはバランス感覚が大切よ

一度自分の幼児性を自覚してしまったら、なかなかそれを見なかったことにするのはプライドが許さないかもしれないわね。
だけど世の中なんて、多少図々しいほうが楽に生きられるのよね。そして、その図々しさにどうしようもなく惹かれてしまう人が一定数いる。
アタシも生真面目な男より、オラオラ系の男のほうがタイプだもの。「んもう、仕方ないんだからぁん!」って言いながら甲斐甲斐しく世話をしたいもの。

自分の個性とはいったい何なのかを考えて、もう一度、あなたの思うがままに振る舞ってみてはどうかしらね。
ただ、相手への思いやりも忘れてはいけないわ。人に苦しい思いをさせてまで貫く個性なんて、あなた自身も望んでいないはずだから。
大丈夫よ、過去を振り返ってきちんと反省できているあなたなら、きっとバランスを取って生きられるはずだわ。

さて、このコーナーでは、読者の方からのお悩み相談を随時募集しているわ。
恋愛でも学業でも仕事でも、あなたがどんなことで悩み、どんな風に解決したいのか、できるだけ詳しく簡潔に教えてくれると助かるわ。
送り先は、アタシのツイッターアカウント(@BS_dim)のDMか、メールフォーム(okama.onayami@gmail.com)まで。
【お悩み相談内容】と【年齢、性別、職業など簡単な自己紹介】を忘れずにね。いただいた相談内容、個人情報はこのコーナー以外では利用しないし、長期的に保管することもしないから安心して。
また、このコーナーに関するご意見やご感想もお待ちしているわ。とっても励みになるから、気軽に送ってもらえると嬉しいわ。よろしく。

投稿者名

BSディム

夜な夜なネオン街をねり歩くアラサーのオカマ。
昼間は真面目な係長だが、退勤から3駅で夜の帳をドレスに変える。
中学2年生で周囲にカミングアウトし、以後オカマとしての人生を歩む中堅オカマである。
Twitter:https://twitter.com/BS_dim Blog:http://aiokama.hatenablog.com