しんどいオカマのお悩み相談 その4.誰も愛せなくてしんどい?

2017/02/10 UPDATE

しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は人を好きになれない女性からのお悩みよ。ねえ、オカマは恋愛経験が多いと思ってるでしょう?アタシが未曾有の人嫌いだとも知らずに!

【お悩み】
私は22才の大学生の女で、来年から会社員になります。
今まで一度も彼氏ができたことがありません。そもそもあまり誰かを好きにならない上、好きになってもすぐに気持ちが冷めてしまいます。人を好きになる努力も必要だと最近気がついたのですが、なかなか上手くいきません。どうすれば人を好きになれるでしょうか?

恋多きオンナと恋なきオンナ、いったいなにが違うのかしら?

世の中には、恋愛をし続けていないと死んでしまう回遊魚のような人間が一定数いるものよね。
アタシの知り合いにも、いつも恋をしている彼氏の絶えないブスなオカマがいるのよ。
そういう恋多きオンナは大抵オカマから蛇蝎のごとく嫌われているものだけど、なぜ嫌われ者の彼女たちは矢継ぎ早に恋ができるのかしら?
彼女の行動を対照例に挙げて、あなたが"恋なきオンナ"である原因を探りましょう。これほど参考にならない例もないと思うけど。

まずはじめに、彼女は異性に対するすべての行動が直球なのよ。
相手に恋人がいてもお構いなしに、少しでもいいなと思った人にはすぐさま近づき自分自身をさらけ出す。
合コンでアタシが慎み深く上品にアプローチをかけていたイケメンを、タコの捕食が如きボディタッチと「めっちゃタイプ」の連呼で略奪されたこともあったわ。
みんなにサラダを取り分けていたのもアタシ、飲み物を注文していたのもアタシ、ひとり終電前に帰ったのも、アタシ……。
彼女からは、「嫌われないかな」とか「失礼な人だと思われないかな」なんて不安は微塵も感じられなかったわ。
それは、自分は他人に受け入れられて当然の存在であるという、絶対の自信を持っているってことなのよね。

あなたは彼女とは逆で、異性に対して自身の感情を抑えすぎているのではないかしら?
人を好きになるための努力があるとするならば、それは互いに自己開示し合うことに他ならないわ。
恋愛に限らず、人間関係の深さは互いにどれだけ自身の心根をさらけ出したかで決まるもの。
アタシも「実はオカマなんです」と告白した途端、相手が堰を切ったように本音をぶちまけてくれた場面を何度も見たわ。イケメンから「アタシもオカマなの」と明かされたときは三日三晩寝込んだけど。
ただし、相手の心に土足で踏み込まないよう注意することね。まずは玄関先でごあいさつ。次はリビングに招かれて、いつか相手のお部屋に招待される日がくれば、ふたりで過ごす時間も居心地よく感じられるかもしれないわ。
そして、必ずしも多弁が自己開示をする方法ではないの。「言葉多きは品少なし」ということわざがあるように、品性を欠いて門前払いをされないようにしなくちゃね。

人に興味を持たなきゃ恋愛なんてできないわ

彼女はよく、人と関わりあうことが好きだと言っていて、毎日のようにクラブや飲み会に顔を出していたわ。
「ひとりの夜が3日続くと泣いちゃう」とも言っていたから、寂しがり屋でもあるのね。アタシはすぐにでもこのオカマを地下の独房に入れるべきだと思うけど。

恋愛感情を抜きにして、あなたは人そのものが好きかしら?アタシは嫌いよ、大嫌い。
そもそも人間を好きにならずして、誰かに恋愛感情を持つことなんてできやしないのよ。
アタシね、実は最近まであまり他人に興味を持てなかったの。人を見下しているわけじゃないんだけど、なんにも期待をしていなかったの。
だから彼氏ができなかったのよね。
いや、ブスなオカマだからって理由が9割なのは自覚していて、これは残りの1割の話よ。あとごめんなさい、さらに言うと今でも彼氏はできていないわ。
それはそれとして、まずは人に興味を持つべきだってことはわかっていたんだけど、その方法がずっとわからなかったのよ。
そこでノンケ友達に相談してみると、意外な解決策を提案してくれたの。
「映画や本が好きならば、人に興味がないのはもったいないよ。人間は生きた小説のようなもので、誰にでも必ずドラマがあり、そして何らかのプロフェッショナルだ。普段、君が創作活動をしているならばなお良いね。それが作品の肥やしになると思えば、俄然、人に興味が湧いてこない?」
そんな目でアタシを見とったんかい、と眉をひそめたけれど、人に少しだけ興味を持つきっかけになったのは確かだわ。
もしもあなたがアタシと同じように誰にも興味を持てないのなら、本のページをめくるように人と関わってみてはどうかしら。
心に残る一冊は、それはもう恋のようなものじゃない?

それでも人を好きになれないのなら

恋愛感情は1か0かでなく、様々な要素がからみ合って紡ぎだされるものだからね。知れば知るほどに尊敬と幻滅を繰り返し、人は互いに関わってゆくものなのよ。
腐心の末、上手く人を好きになれなかったとしても、それは罪でも罰でもないから安心して。
オカマたちを見ていて思うのよ。「好き」の形も色も大きさも、他人はもちろん、自分自身でも定められるものじゃないんだって。

さて、今回のお悩み相談は以上よ。
このコーナーでは読者の方からのお悩み相談を随時募集しているわ。
恋愛でも学業でも仕事でも、あなたがどんなことで悩み、どんな風に解決したいのか、できるだけ詳しく簡潔に教えてくれると助かるわ。
送り先は、アタシのツイッターアカウント(@BS_dim)のDMか、メールフォーム(okama.onayami@gmail.com)まで。
【お悩み相談内容】と【年齢、性別、職業など簡単な自己紹介】を忘れずにね。いただいた相談内容、個人情報はこのコーナー以外では利用しないし、長期的に保管することもしないから安心して。
また、このコーナーに関するご意見やご感想もお待ちしているわ。とっても励みになるから、気軽に送ってもらえると嬉しいわ。よろしく。

投稿者名

BSディム

夜な夜なネオン街をねり歩くアラサーのオカマ。
昼間は真面目な係長だが、退勤から3駅で夜の帳をドレスに変える。
中学2年生で周囲にカミングアウトし、以後オカマとしての人生を歩む中堅オカマである。
Twitter:https://twitter.com/BS_dim Blog:http://aiokama.hatenablog.com