しんどいオカマのお悩み相談 その27.モテる女が憎くてしんどい？

しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は大学のサークルでモテない女性からのお悩みよ。
アタシもオカマの道を選んだ時点でモテることは諦めているのだけど、何年も彼氏が途絶えない知人のオカマを見ていると、アタシにも何とかしてモテる方法があるんじゃないかって思うわ。媚薬をガス状にして撒く、とか。

【お悩み】
18歳、大学一年の女性です。どうすれば男性とお近づきになれるのでしょうか？
出会いが欲しくて運動系のサークルに入っているのですが、同期の男子から何を考えてるのかわからない奴だと思われているようで、敬遠されています。
どうして自分がそんな風に思われるのか、いくら考えても思い当たる節がありません。
また、彼らはみんなキャピキャピしたかわいらしい感じの女の子が好きなようで、そういった雰囲気とは対称的な私のまわりに男性が集まることはありません。
キャピキャピした女がモテる世の中の構造が憎いです。

あらやだ、お悩みというよりは呪詛ね。
どうしてあなたがサークルの男の子から「何を考えているのかわからない」と思われるのか、今回の相談内容からはあくまで推測するしかないけど。
アタシが思うに、出会いのために運動系の部活に入るほど極まった男への渇望と、キャピキャピ女子に対する恨みの念が、あなたから人を遠ざけているのは間違いないわね。
そんな野性味の溢れる女がいたら、誰だって腫れ物扱いするに決まってるじゃないのよ。

それと、「キャピキャピ」という微妙に昭和寄りな言語センスも、あなたが敬遠されている原因なのではないかと思うわ。
調べてみたところ80年代に流行った言葉だそうで、18歳のうら若き女子大生であるあなたが使うには少々オッサン寄りなのよね。
アタシも先日、二十代前半の男の子と話しているときに、ショックな様子を「ガーン」と表現したら、「うわぁ！その表現オッサンですね！」と言われたのだけど、心の中では「ガビーン」とさらなる加齢臭を放っていたことはおくびにも出せなかったわ。

そんなアタシの話はさておき。
どこか昭和っぽく、女性を敵視し、男性に熱い目線を送るあなた……これはもう、オカマであると言っても過言ではないわよね？
オカマの悪い特徴ばかりが強調された、濃縮されたオカマのような女性であるあなたがサークル内でモテないのは至極当然のことだわ。

あなたが思うように、確かに世の中の男どもは元気で明るく若々しい、いわゆるキャピキャピした女が好きよ。
オカマのアタシですら、女性はキャピキャピした人のほうが好感が持てるもの。
誰に対してでもフレンドリーな対応をしてくれるから話しやすいし、甘え上手な気質は可愛げがあって、つい構ってあげたくなるものなのよね。
対して陰気な人間には、こちらから話題を提供しなければならないし、時に愚痴の相手をしてやらなければならない。
時間と労力を割く価値がある相手ならいいけど、そうでないなら疲労感が溜まってしまうだけ。
キャピキャピ女子は甘えん坊であったとしても、他人に対して甘えがないから好かれるのよ。
これは世の中の構造の問題というよりも、自分自身の問題なの。悪のオカマの化身であるあなたは、自分自身を変える必要があるの。

とは言えよほどの美人であれば、たとえオカマの化身であってもモテるわ。
アタシの知人に、誰もが振り返るような美人であるにも関わらず、無口でほとんど笑わない女性がいるの。
確かにミステリアスとか妖艶という言葉が似合う美女なのだけど、もしアタシが無口でほとんど笑わなかったら「泥人形」というあだ名が付くのは必至よ。
神の如き美人に、欠点は存在しない。何をしてもモテるのよね。

これもあくまでアタシの推測なのだけど、男を求めて今のサークルに入り、男性陣から微妙に距離を取られているあなたは、そんなに美人ではないとお見受けするわ。
また、あなたのまわりの女子も、全員が全員、美人なわけではないわよね。
美人を形容することわざに、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」というものがあるけど、あなたたちはいわば雑草なのよ。
名も無き雑草が誰かの気を引くためには、懸命に小さな花を咲かせるしかないの。
まわりの女子が咲かせている花、それが明るく元気で若々しくあること、つまりキャピキャピよ。

だけど、キャピキャピ女子を恨んでいるあなたは、キャピキャピの花を咲かせることはプライドが許さないだろうと思う。
男の前に媚びて場を盛り上げて、猫をかぶることなんてしたくないと思っているはずよ。
でもね、キャピキャピの本質を捉えると、あなたがすべきことがわかってくるの。

それは、何かを楽しむこと。
キャピキャピの本質は楽しむことなのよ。相手と共有する時間を楽しみ、深まっていく関係性を楽しむ。
キャピキャピ女子たちは、その場その場を楽しもうとした結果キャピキャピしているのよ。
そして、男どもはその楽しい時間に誘われたミツバチのようなものだわ。
あなたは今、サークルを心から楽しめているかしら。また、楽しむための周囲への気遣いを忘れていないかしら。
もしかすると、彼らとは楽しみ方が少し違っているのかもしれない。それならば、同じ価値観を共有できる人や場所を探せばいいだけの話だわ。
心からその場を楽しむことができれば、決してキャピキャピと誰かに媚びる必要はないのよ。

アタシが今モテない理由も、何も楽しめていないからだと思うのよね。あとブスなのと、オカマなのと、貧乏なのと、卑屈なのと……。
若い頃、アタシにもそれなりに男が言い寄ってきていたときは、目の前にあるあらゆるものが新鮮で、それらを愚直に楽しもうとしていたように思うわ。
あなたも少しだけ、そのギラギラした恨みの目線を他の楽しみに向けてみてちょうだい。悪のオカマの化身から、小さくとも可憐な花になりましょう。

さて、このコーナーでは、読者の方からのお悩み相談を随時募集しているわ。
恋愛でも学業でも仕事でも、あなたがどんなことで悩み、どんな風に解決したいのか、できるだけ詳しく簡潔に教えてくれると助かるわ。
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