5歳さん嫁非公認コラム Episode:12「7年前の約束」
ちょっと奇抜な奥さまと元気な息子さん達とのユーモラスなエピソードが大人気!ツイッター界随一の恐(愛)妻家 5歳(嫁公認アカウント)さんのコラム!
5歳さんが奥さまと7年前に交わしたある約束にまつわるエピソードについて、お話していただきました。
第1章 あなたと寿司とアルバイト
7年前、僕は嫁とある約束をした。
それは『お寿司を100回食べさせてあげる』という約束です。何故そんな約束をしたか?
今回はその時の事を話したいと思う。
僕らは寿司がとにかく好きでした。
そしてそんな僕らの初めて出会った場所も寿司屋でした。
『賄いで寿司が食べれる』という、そんな子供じみた理由で、その頃の僕は寿司屋でバイトしていた。
その寿司屋で一緒に働いていたバイト仲間が今の僕の嫁でした。もちろん嫁も賄いの寿司目当てで働いていました。
そういった意味では志望動機が一緒の寿司仲間です。
そして寿司をいつも美味しそうに頬張る彼女のことを『美味しい寿司屋があるから連れていってあげるよ!』とデートに誘った。彼女はそれにホイホイと付いてきた。
僕等は寿司屋で出会い、寿司で二人の距離を縮めた、まさに寿司カップルでした。
もし仮に、日本に寿司文化がなかったとしたら、僕等がカップルとして結ばれることは決してなかったでしょう。
そして僕らの寿司恋物語のスピードはものすごく早く進む、、、ナマモノだけに!
そして付き合って5ヶ月目に妊娠が発覚。そして結婚。
『寿司と恋は鮮度が命』とよく言いますが、僕等はフレッシュな気持ちそのままに、ゴールインしたのでした。
そしてお腹の中で日々成長している子供をどこで産もうかという話になりました。
嫁は『無痛分娩がいい』と言いました。
というのもその前の年に嫁のお姉ちゃんが無痛分娩で出産をしていて『楽勝だった!』と言っていたからなのです。そんなの聞いたら絶対に無痛分娩がいいじゃん!ってなりますよね。僕もそう思います。
なるべく嫁の希望に応えたいと思っていたので、さっそく調べてみたら、隣駅に無痛分娩が出来る病院があったので、すぐに見学へ行くことにしました。
第2章 迫りくる運命の決断
病院はホテルのように綺麗で、看護師の方達もとても感じが良く、しかも無痛で出産ができる。
『最高じゃん!』と嫁と2人でそう思いました、、、そうパンフレットを貰うまでは、、、
綺麗でおしゃれなパンフレットを読んでいたら、最後のページに費用についての記述がありました。それを見て僕はぶったまげた。
【 無痛分娩 80万円 】
、、、、80万円!?
どひゃぁぁあーー!?
何を基準にして高いのか安いのかを決めることは簡単には出来ませんが、その時の僕にとってはめちゃくちゃ高く感じました。
というのも当時の僕は自由な旅人の様な生活をしているフリーターだったので、もちろん貯金はゼロ。
結婚はもちろんのこと、出産のことなんて全く予想もしていなかったし、もちろん準備なんて全然出来ていませんでした。思い返すとかなり無茶してましたね。人生無計画にも程がある。
さてどうしようかな80万円、、、僕は考えた。
80万円って借りようと思えばどうにかこうにかして借りれそうな金額でもある。
う〜ん、、、どうしよう。迷いに迷った。
そこで僕は嫁にある提案をした。
『無痛分娩と寿司100回券どっちがいい?』
もちろん、無痛分娩で出産をして、そして寿司好きの嫁にご褒美のお寿司を100回食べさせてあげられることが理想的なのですが、人生とはままならぬもので、いつでも総取りできるわけではありません。
準備不足の僕がこう言うのもおこがましいですが、人生は二者択一の連続なのです。
なので、嫁に選んで貰いました。
嫁がもし無痛分娩を選べばお金をなんとか工面するつもりだったし、寿司100回券を選べばこれからの未来の寿司三昧生活を約束するつもりでした。
嫁は『ちょっと待って』と一日考えに考えた。
そして『寿司でいきます』と答えを出した。
それから近所に良い助産院を見つけて、そこで出産をしたのですが、結果から言えばものすごく安産だったので嫁も『無痛分娩ではなくても楽勝だったよ』と言っていました。
第3章 僕らが寿司を食べる理由
あの頃を振り返れば嫁は僕が貯金なんて全然してないことを知っていたし、雨漏りがする様なオンボロの家に住んでいたので、おのずと出すべき答えを嫁は理解していたと思います。
だからこそ未来の寿司100回券を選んでくれたのです。
それから今に至るまで、僕が自由人(旅人)をやっていた頃から比べると、かなり真面目に働くようになりました。少しずつですが生活にゆとりも出来てきました。
今では僕は仕事の休みが取れるたびに『ちょっと寿司でもどうですか?』と嫁をお誘いしている。
今、嫁を寿司に連れて行く理由は、あの頃はまだ若く、頼もしいわけでもなく、そして甲斐性なしだった僕に付いてきてくれた、嫁への恩返しだと思っている。
これから先も嫁にはお寿司をずっとご馳走してあげたい。
数えているわけじゃないけど、もうとっくに100回以上は寿司屋に行っていると思う。でもこれからも嫁が美味しそうに寿司を食べる姿をずっと一番近くで眺めていたい。