5歳さん嫁非公認コラム Episode:10「クリスマスが今年もやってくる」
ちょっと奇抜な奥さまと元気な息子さん達とのユーモラスなエピソードが大人気!ツイッター界随一の恐(愛)妻家 5歳(嫁公認アカウント)さんのコラム!
皆さんはいつまでサンタクロースを信じていましたか?
どこか懐かしい気持ちになる冬のエピソードを5歳さんから頂きました!
第1章 サンタクロースになった僕
僕は今年で34歳になるのですが、子を持つようになってからようやくクリスマスの真の楽しさに気付くことができました。
独身時代、クリスマスといえばとにかくデート。
イルミネーションを見に行って、オシャレなレストランで食事をして、夜景の見える場所で大好きな彼女にプレゼント。
「恋人がサンタクロース」の歌詞さながら、あの手この手で彼女の笑顔のために東奔西走して生きてきました。
もちろん、それはそれで楽しかったです。
いま振り返っても、たくさんのデートの思い出がイルミネーションよりも輝いています。
けれども、長男が生まれた6年前、僕は本当の意味で、サンタクロースになることの楽しさに気付けたのです。僕は子供にとって世界中でただ一人、オンリーワンのサンタクロースに進化を遂げたのです。
僕があげなきゃ誰が彼にプレゼントをあげるのでしょう?
第2章 寒さに負けずに追及するリアリティ
かつて私を通り過ぎていった彼女達はもちろん大人でしたから、恋人である僕が、その日一日限定で、サンタクロースを“兼任”しているような理解でいたはずなんです。
でも、子供達はサンタのコスプレをした僕を、本物のサンタクロースだと信じているのです。
それもかなり本気で…。
去年のクリスマスのエピソードを紹介させてください。
3歳と5歳になった子供達はサンタクロース宛に真剣にお手紙を書いて、プレゼントのリクエストをしていました。手紙を書いている時の横顔は本気そのもの。
『ふふふっ』と微笑みながら子供達の様子を見ていました(この時点でかなり楽しい)。
さて、いよいよやってきたサイレントナイト当日。日が暮れると同時に仕事に行くフリをして僕は家を出ました。
子供達に真実を悟られないように、サンタクロースの登場までキンキンに冷えた車の中で30分ほど待機します。そしてここからが大変な道のりです。
まずはお腹にバスタオルをぐるぐる巻きにすることで、体型をサンタクロースへと近づけます。
白いカツラとヒゲをはがれないように入念に装着し、赤い衣装を着こんだら、後部座席から大きくて白い袋を取り出して完成です。
玄関のインターホンを押して、昨日練習した野太い声で『メリークリスマス!!』と目いっぱいに叫びます(近所のみなさんごめんなさい)。
玄関からでも息子達の高鳴る鼓動を確かに感じました。
ドアを開け、いよいよサンタクロースの僕登場!(たまんねー!)
僕を見た子供達は喜びと怯えがhalf-and-halfといった顔をしています。
50%の怯えた様子もリアリティにこだわり、入念に準備を重ねてきた僕としては嬉しい反応なのです。
白髭面の野太い声をした太ったおじさんが突如として玄関に現れたら、『なんかやっぱり怖い』と感じるのが素直な反応ですよね。これこそが僕のこだわったリアリティ。
もちろん、怖がらせてるだけの太ったおじさんでは終わりません。そう、この日の僕は正真正銘のサンタクロースなのだから。背負った大きな袋の中にはとっておきのプレゼントがスタンバッています。
『君たちが書いてくれた手紙読みましたよぉぉおお!』
と少し大げさに言いながら、お兄ちゃんから順番にプレゼントを渡します。
2人は『あ、やっぱりこの人、本物のサンタクロースだ!』と確信したようで、初めて笑顔を見せてくれました。とびきりで、最高の笑顔。感激。
子供達を抱きかかえたい気持ちを抑えつつ、『ちゃんといい子にするんだよ』と言い残してサンタクロースはクールに去ります。
そしてまたキンキンに冷えた車内に戻り30分間待機します。でも今度は寒くない。
幸せには確かな温かみがあるのです。
変装を解いて帰宅すると、駆け寄ってきた息子達が『パパ!サンタがさっき来てプレゼントくれたの!』と目を輝かせながら報告をしてくれました。
『とぅっとぅるー🎶クリスマス大成功!!』と心の中でプラカードを上げる僕。
全国のパパがやっているであろうサンタクロース、やってみるとめっちゃ楽しいのです。
第3章 もらっているのは僕の方?
僕が子供の頃、クリスマスが近付くと新聞に挟まれたいまは亡きハローマックのおもちゃの広告を眺めながらわくわくしていまいた。
僕の父はコスプレはしなかったけれども、クリスマスの朝目覚めると、必ず枕元にプレゼントが置かれていました。
プレゼントの隣には必ず手紙が添えてあって、流暢な筆記体で『Merry Christmas』と書かれていました。
子供だった僕は、その英語のつづりを見て、これは間違いなくサンタさんが書いてくれたものだと確信したのです。その時の気持ちはいまでもありありと覚えています。
僕はいま、その思い出を子供にプレゼントする立場になったのだと思っていました。
でも違いました。実は僕こそが子供たちからプレゼントをもらっていたのです。
サンタクロースはどうして極寒の真夜中に、ソリに乗ってプレゼントを配るのでしょう?
それは、ただただ子供達の喜ぶ顔が見たいからなのだと気付きました。
毎日仕事でクタクタになるまで働いているけど、それもすべては息子達の笑顔のため。
長男は今年で6歳になりました。
もしかしたら『サンタはパパがやってるんだぜ!』なんてことを言い出す友達が保育園にいるかもしれません。
長男は物事をよく観察する子なので、サンタクロースを演じきる上でも細心の注意を払わなくてはいけません。もし一瞬でもサンタクロースはお父さんである、と疑わせるような綻びを見せてしまったら、優しい彼は『このサンタ、パパだと思うけど本気でやってるから気付かないフリをしておこう…』と余計な気を遣うに決まっているのです。そうなってしまったら僕はサンタクロースではいられなくなってしまう。ただのピエロになってしまう。
あと少しの間だけ、子供達には心からクリスマスを楽しんでもらいたい。
今年もパパは本気でサンタクロースを演じます。
全力サンタが今年もやってくる。
クリスマスが今年もやってくる。