しんどいオカマのお悩み相談 その23.ダメな自分を変えられなくてしんどい?
しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は自分を変えられない女性からのお悩みよ。これはアタシ調べなんだけど、オカマ業界では少なくとも半世紀前から短髪で髭をたくわえたマッチョがモテ筋だったことが確認できているわ。今も昔も全然変わらないのよね、オカマって。
【お悩み】
20歳、大学3年生の女性です。
協調性がないのに、そのくせまわりの目ばかり気にするダメな自分を変えられないことが悩みです。
最初に入ったサークルでは、人間関係を上手く築けず、練習にもついていけなくなり、辞めてしまいました。
これではダメだと心機一転して入ったボランティアサークルでは、次第にやりがいを感じることができるようになり、夢中で取り組んだ結果、部長になることができました。
しかし、指示が下手なのか、部員に仕事を任せると上手く進まないため、何でも自分で背負い込んでしまうようになりました。
また、本当に言いたいことは言えずに、当たり障りのない言葉でその場を収めようとしてしまいます。
自分を変えるために部長職になったはずなのに、自分のダメなところばかりを改めて実感することになりました。
私は今後も変わることができないのでしょうか?胸を張れる自分になりたいです。
残念ながら解決できないわ、このお悩み
アタシも。アタシもそう、ダメな自分を変えられないの。
……さて、回答者のオカマも同じ穴のムジナということで、回答一行目で見事にお悩み解決の可能性はほぼゼロになったわね。
どうしましょう、原稿の目標字数まで、あと2,000字くらい余っているのだけど。
アタシ、ダメでしょう?アタシ自身もずっと自分がダメだと思っているし、事実ダメなの。
医者から止められてもスルメを月に1kgも買っちゃうし、暴飲暴食で体重はうなぎ上りなのに、ジムは会費だけ払い続けて通っていないわ。
焼きニンニクを30粒くらい食べた翌日に出勤したら、上司にしこたま怒られてすぐに帰宅させられたこともあったわね。もしかするとウチの会社、毎日ニンニクを食べ続けたら無期限の休暇取得が可能なんじゃないかしら?無期限の無職ともいうけど。
あと、会社のコーヒーは経費で落ちるから、給湯室は無料のドリンクバーだと思っている節があるわね。一時期はカフェインを取りすぎたせいか会議中に手がブルブルと震えだしたこともあるわ。
とにかくアタシは何もかもがダメなオカマなの。その上、ダメなところを改善しようともしていない、成長の余地さえもないオカマなのよ。
ダメじゃないところがあるとすれば、冬になっても肘やかかとがガサガサにならないところくらいかしら。新陳代謝で肘やかかとだけが成長しているの。
あなたのような未来ある若い子たちや、輝かしい実績を残している成功者は「今日の自分は、昨日の自分よりも成長していたい」なんて言うわよね。
それは確かにすばらしいことだけど、アタシの場合は、すでに"成長"は"老い"に変わっていて、自分が日々退化し続けているように思えてならないのよ。
アタシが自分のダメな部分を自覚した上で、それを変えようともしないのは、そういった諦めの気持ちがあるのかもしれないわね。
だけど、相談者のあなたにはまだ自分を変えたい、成長したいという気概があるから、救われる可能性も残っているわ。
今回、アタシがあなたにアドバイスできるのは、部員へ的確な指示を与える方法でもなく、はっきりと自分の意思を伝える方法でもないわ。
自分を変える、成長するということがどういうことなのか。ダメなアタシなりの視点であなたに伝えてみたいと思うの。
完璧ね、不可能だという点に目をつぶれば
結論から言うと、あなたはすでに変わっているし、成長できていると思うわ。
以前入っていたサークルでは鳴かず飛ばずで、新たなサークルでも一兵卒に過ぎなかったあなたが、周囲から頑張りを認められて部長にまで上り詰めたわけじゃない?
もし1年前のあなたが今のあなたの姿を見たら、きっと賞賛の拍手を送るでしょうね。
だけど、あなたは自分に納得していないのね。現状で想像し得る最大限の努力を行い、完璧な過程と結果が得られることでしか成長できないと思っている。
それは仕事をする上で必要な向上心だとは思うけど、常に100%を求める完璧主義は、自分の成長を自覚させてはくれないものよ。
人はね、自分の成長に対してはひどく厳しくて、そして鈍感なものなの。
だけど実際は、「自分を変えよう」と心の中で思ったなら、そのときすでに変化や成長は始まっているものなのよ。
すべてが滞りなく、誰もが完全に満足する過程と結果を残し続けて生きるなんてどんなに優れた人間でも無理よ。
理想通りに進まない、できないのは当たり前だけど、それらの最適解へと自分を導く過程にこそ成長があるのではないかしら。
だからあなたが、自分を変えられない、変わらないと嘆く必要はないのよ。すでに変化は起きているのだから。
アタシも、昔は結構な完璧主義者でね。
機械で機械を作るような完璧さを仕事に求めていて、よく上司や部下に「ここまでやらなくても……」と嫌な顔をされていたわ。
100点満点のテストで、必ず100点を取らないといけないと思っていたのね。
確かにお賃金をいただく上で不要な考え方ではないのだけど、最近気がついたのよ。アタシがやっていたのは、100点から1点たりとも減点しないように気を張っていただけだったのだと。
加点方式ではなく減点方式の評価を自分に下していたのよね。それでは仕事に緩急も何もなくって、余裕のない状態からずっと抜け出せなくなるわ。
余裕を持って仕事の全体像を捉えられなくなると、自らに課した膨大な課題をさばくことで手一杯になって、結果として妥協や予期せぬミスを招いて自己評価はどんどん下がり続けてしまう。
思い描いている理想の自分からは余計に遠ざかってしまうのよ。
まずは自分が完璧ではないことを自覚した上で、周囲に求められている自分の像を客観的に捉え、明確にしなさい。それから優先的に力を注ぐべき箇所を決めてから、一歩を踏み出すべきだと思うわ。
つまりは、肩の力を抜きなさいってことよ。
傷ついた時計に見るオカマの成長
アタシね、いつも風防に擦り傷のついた腕時計をつけているのよ。
よく見ればわかる程度の、他人にはほとんどわからないような傷なんだけどね。
完璧主義のアタシにとっては今すぐにでも修理をしたくてたまらない、居ても立ってもいられないくらい気になる傷なんだけど、あえてそのままにしているの。
これは、完璧主義者のアタシが不完全さをどこまで許容できるのかという戒めなのよね。
つい過度に自分を追い込みそうになってしまったら、この時計を見てひと呼吸置いてみるのよ。そうすることで、目の前の、今の自分に不要な部分が見えてくるの。
あらやだ、これってもしかして、アタシも自分自身を変えようとして、成長しているってことなのかしらね。
ほら、人は自分自身の変化には鈍感なのよ。
何もかもを諦めたと思っているオカマだってそうなんだから、あなたのような野心を持った女性ならなおさら、変わり続けられるはずだわ。これまでも、これからもね。
さて、今回のお悩み相談は以上よ。
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