しんどいオカマのお悩み相談 その17.過去の自分が許せなくてしんどい?

2017/08/18 UPDATE

しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は過去の行いがトラウマとなって次の恋愛に踏み出せなくなった女性からのお悩みよ。トラウマ製造機みたいなオカマにも彼氏がいる現実。皮肉なものよね。

【お悩み】
21歳の大学3年生、女性です。新たな恋愛に踏み出せずに悩んでいます。
2年前に初めて彼氏ができたのですが、当時は愛情表現の方法がわからず、相手の気持ちを試すような身勝手な言動をしてしまい、彼を傷つけてばかりいました。
別れを切り出されたあとも、彼の気持ちを考えずに一方的な連絡をするばかりで、最後は絶縁されて関係が終わりました。

今では彼に対して本当に申し訳なく思っていますし、自分の愚かな行いを後悔しています。
好きな人ができても、距離が近づけば近づくほど、過去の自分を思い出して自己嫌悪に陥るようになりました。
また相手を傷つけてしまうのではないかと思い、次の恋愛に踏み出すのが怖いです。
過去の自分との向きあい方を教えてください。

相手の気持ちを試す行為は自己愛の極みよ

そうね、最低よ。過去のアンタは最低だわ。だけどまだ救いがある。

アタシも昔、恋人に対して急に木で鼻をくくったような態度をとって、彼が無償の愛を注いでくれているかを試したことがあるのよね。
人と人との間に不変の愛が確約されることなんて絶対にないのに、当時は見放されてしまうことが不安で仕方がなかったわ。
今思えば、こんなブスな上に調子に乗ったオカマの相手をしてくれるだけでも土下座して感謝するレベルなのにね。

以前もこの相談で触れたけど、恋愛感情は自身に欠けているものを埋める心の働きだからね。おぼつかない足取りであてどなく歩くことが当たり前だった人生に、ある日、手を引いて同じ道を歩んでくれる人が現れる。
それはとても幸福なことだけど、同時に頭をよぎるのよね。「また独りで歩き続けるのは絶対に嫌だ」って。
だから相手を試すのよ。もしまた独りになってしまったら、もはや一歩だって動けないと思い込んで。

恋人の気持ちを試すという行為は、結局、自分を孤独から守るための自己愛でしかないのよね。
でも、その愚かさを自覚しているなら救いがあるわ。
あなたは彼と別れて以来、誰とも付き合わずに生きてきたわね。それはどうにかまた独りで歩いてこられたってことなのよ。彼に支えられていた部分を少しずつ埋めながらね。
過去を悔いて、次こそは同じ過ちを繰り返したくないと思っているあなただからこそできたのよ。
自分に欠けていた点を補えたのなら、独りでも立派に生きられる可能性があるということ。
だけど、独りでも立派に生きられるようになったあなたが、もし誰かと二人で生きられたら、そこには楽しさが加わると思わない?
今のあなたなら、次の恋愛に踏み出したときは、新しい彼と並んで歩けるわよ。そうしたらきっと今度は楽に、楽しく過ごせる。

後悔は罪滅ぼしにはならないわ

どうして人は、なかなか自分を許してあげられないんでしょうね。
他人なんてたったの5秒で許せることもあるのに、いざ自分のこととなると、自らの規範に従って、自分自身をいつまでも罪悪感の檻に閉じ込めてしまう。
忘れようとするたびに心を苦しめる光景だけが鮮明になって、償い方もわからず、時の流れが罪を洗い流してくれるのを期待して待つしかないと思ってしまう。

でもね、世間の人はさも「私は善良で罪なき幸福な人間です」って顔をして歩いているけど、どんな人にもひとつやふたつ表に出せない過去があるものよ。
他人もそうだからといってあなたの罪悪感がすぐにでも消えるわけじゃないけど。
他人に堂々と言えない過去を持っているからといって、不幸で不自由な人生を送らなきゃいけない理由にはならないのよ。
この世のすべてを善悪二元論でとらえないでいてほしいわ。そうなるとアタシなんて極悪人になっちゃうからね。

大切なのは、過去に醜く暗い部分があるからこそ、他の誰かを傷つけまいとし、受けいれようとする慈しみの心を持つことができたのだと、自分を認めてあげることだわ。
二度と会えない人に対する後悔を、自分を悪人にして償おうとするのは簡単だけど無意味なのよ。それは罪滅ぼしにならないわ。
同じ苦しみを重ねないため、同じ悲劇を繰り返さないために過去を活かして生きることだけが、この苦しみを乗り越える方法で、過去と真摯に向き合うということにもなるのではないかしら。

与えられることがあたりまえにならないように

相手が自分に好意を抱いていれば、望むものはなんでも与えてくれると思っている人は多いわよね。
傲岸不遜な態度で優越感に浸ったって、そんな主人と奴隷のような関係が長続きするわけがないのだけど。
恋人も友人も家族も、その関係は好意のギブアンドテイクのバランスによって成り立っているという本質は変わらないわ。
人は与えられる喜びには鈍感だから。少しずつでも与える喜びを知っていけば、きっと相手の好意に心から応えられるようになるのだと思う。
最初は偽善や独善でも構わないから、次の恋の相手には、どうか自分からも与え続けることを忘れないでいてほしいわ。

さて、今回のお悩み相談は以上よ。
このコーナーでは読者の方からのお悩み相談を随時募集しているわ。
恋愛でも学業でも仕事でも、あなたがどんなことで悩み、どんな風に解決したいのか、できるだけ詳しく簡潔に教えてくれると助かるわ。
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投稿者名

BSディム

夜な夜なネオン街をねり歩くアラサーのオカマ。
昼間は真面目な係長だが、退勤から3駅で夜の帳をドレスに変える。
中学2年生で周囲にカミングアウトし、以後オカマとしての人生を歩む中堅オカマである。
Twitter:https://twitter.com/BS_dim Blog:http://aiokama.hatenablog.com