しんどいオカマのお悩み相談 その16.友達ができなくてしんどい?

2017/08/02 UPDATE

しんどいオカマがしんどいお悩みにお答えする、しんどくても頑張るあなたのための人生相談。今回は大学で友達ができない女性からのお悩みよ。アタシ、友達が少ない上にその内の9割がオカマなんだけど、果たして参考になるのかしら。

【お悩み】
20歳の女性、大学2年生です。悩みは友達が少ないことです。
SNSにキラキラした日常の写真をアップするだけで“いいね!”が3桁もらえるような人気者になりたかったのですが、真逆の人生を送っています。
大学ではほとんど友達ができず、入学時に入ったサークルも肌に合わず辞めました。
変わることができない自分が嫌で、思いを新たにアウトドア系の部活に転部したものの、上手く馴染めず、月1回のミーティングも緊張と不安で憂鬱です。
友達を作りたくて入っただけの部活ですし、辞めたほうがいいのでしょうか?
みんなのように、一緒に大学生活を楽しめる友達がほしいです。どうすればいいのでしょうか?

努力なくしてキラキラなしよ

オカマ仲間のひとりに、自撮りとオシャレな小物の写真ばかりをSNSに上げ続けて、友人からの“いいね!”をかっさらっている女がいるわ。
自宅の冷蔵庫には塩辛と高菜と缶ビールしかないくせに、SNS映えするからという理由でわざわざ遠方までオシャレなランチを食べに行くの。
オカマ仲間の前では腐ったロールキャベツみたいな格好しかしないくせに、別の友人との自撮りでは、上品なブラウスを着て、しっかりとハイブランドの小物を写り込ませるのよ。

SNSにキラキラした写真を上げることでもらえる大量の“いいね!”は、オシャレ劇場のオシャレ女優に送られる拍手のようなものよね。
その拍手のために、彼女らはひたむきな努力を続けている。
たとえどんなに舞台裏がダサくとも、表舞台では一貫してオシャレな自分を演じきるのね。
一度くらいはスマホの誤操作で布団に散乱したじゃこアーモンドの写真でも上げてもらいたいものだけど。

相談者のあなたは、目標に対してこのように一貫した努力を払うことができるかしら?
アウトドア系の部活を選ぶことで、アクティブで健康的、加えてオシャレな環境に身を置き友達を作ろうと思ったその根性と行動力は認めるわ。
だけど、たかが月次のミーティングで憂鬱な気分になっているようでは、あなたが理想とする「サイコーの大自然をサイコーの友達と楽しんじゃうサイコーの私」には、とてもたどり着くことはできないでしょうね。
ナチュラルボーンキラキラ女子でもないし、人造キラキラ女子になるための継続的な努力もできないあなたが、彼女らと同じ賞賛を浴びようとするから苦しくなるのよ。

人って、ひたむきに頑張っている姿に惹かれるものなの。引きつった笑顔で背伸びをしている姿に向けられるのは憐れみだけよ。
大した未練もなく、他に多くの選択肢があるならば、あなたが今の環境に固執する理由は何もないわ。
人には適材適所があるの。たとえそれがSNS映えしない地味な場所であったとしても、友人から面と向かって「いいね」と言ってもらえる環境に身を置くことが、楽しく生きるということなのだと思うわ。

好きなものは好きだと言いなさい

半年ほど前から、取引先のイケメンエリートと仲良くさせてもらっているの。
彼が別の部署に異動になって、仕事上の付き合いがほとんどなくなった今でも、たまに二人で一晩飲み明かすほどの仲よ。
仲が深まったきっかけは些細なもので、彼がふと「実は好きなんですよね」と言ったマンガと、アタシが当時読んでいたマンガがたまたま同じだったのよね。
会議室で二人がマンガの登場人物について熱く考察しているところを、派遣のOLに見られて部長に報告されたこともあるわ。
言っておくけど、一方はイケメンといえどお互い三十を超えたオッサンよ。

あと、最近は別のイケメンとも仲良くなったわ。
営業先のお客さんなのだけど、近々プライベートで食事をすることになっているの。羨ましいでしょう。
このきっかけも些細なもので、たまたまお互いに観ているアニメが同じだったのよね。
隣の会議室では数千万円単位の商談が進んでいる中、アタシたちはアニメキャラのセリフについて熱く語り合っていたわ。
言っておくけど、一方はイケメンといえどお互い三十を超えたオッサンよ。

でも実はアタシ、これほどのエピソードがありながら、マンガもアニメもそれほど詳しいわけではないのよね。
「外出は疲れるからインドア派の彼氏がほしい」という理由から、インドアのポップカルチャー、サブカルチャーについて満遍なく超有名どころを押さえているだけなのよ。
今回もまんまとインドア派のイケメンが引っかかってくれたのだけど、二人とも既婚で子持ちのドノンケだから、彼氏にするにはなかなかハードルが高そうだわ。

友人関係って、共感から生まれるコミュニティの形だと思うのよね。
相手と自分のどちらかが何かしらのきっかけで自分を開いて、思想にある程度の共感が生まれると友人になる。
逆にいうと、どちらかが自分を開かなければ友人関係が築かれることはないのよね。
ただし、相手と同じものを好む必要はないわ。何を考えて、何を思っているのかを認めることこそが共感なのよ。

友達がほしいと願うあなたは、自分が本当に好きなものを好きだと言える勇気を持つべきだわ。
アタシは自ら進んで友達がほしいわけじゃないから、イケメンを捕まえるために罠を仕掛けて待ち続ける蟻地獄に徹しているけど。
体裁ばかりを気にするよりも、堂々とじゃこアーモンドが好きだと言えるあなたのほうが、きっと周囲からの共感を得られるはずよ。

無意識に打算的な関係を築かないよう気をつけて

アタシも義務教育のころから周囲に奇人変人の類だと思われていて、学生時代はほとんど友達がいなかったのよね。唐変木なオカマなのは認めるけど。
それでも寂しくはなかったわよ。スクールカーストの下層にいたけど、少人数ながらもクラスのはみ出し者同士で集まって、毎日笑って過ごしていたから。
虚栄心や自尊心を満たし、不安を拭うためだけに付き合う関係なんて、とても友達とはいえないし、長続きしないわ。
無理せず焦らず、自分が一番苦しまなくて済む場所を探しましょう。そこに、あなたにぴったりの友達が待っているはずよ。

さて、今回のお悩み相談は以上よ。
このコーナーでは読者の方からのお悩み相談を随時募集しているわ。
恋愛でも学業でも仕事でも、あなたがどんなことで悩み、どんな風に解決したいのか、できるだけ詳しく簡潔に教えてくれると助かるわ。
送り先は、アタシのツイッターアカウント(@BS_dim)のDMか、メールフォーム(okama.onayami@gmail.com)まで。
【お悩み相談内容】と【年齢、性別、職業など簡単な自己紹介】を忘れずにね。いただいた相談内容、個人情報はこのコーナー以外では利用しないし、長期的に保管することもしないから安心して。
また、このコーナーに関するご意見やご感想もお待ちしているわ。とっても励みになるから、気軽に送ってもらえると嬉しいわ。よろしく。

投稿者名

BSディム

夜な夜なネオン街をねり歩くアラサーのオカマ。
昼間は真面目な係長だが、退勤から3駅で夜の帳をドレスに変える。
中学2年生で周囲にカミングアウトし、以後オカマとしての人生を歩む中堅オカマである。
Twitter:https://twitter.com/BS_dim Blog:http://aiokama.hatenablog.com