5歳さん嫁非公認コラム Episode:49「イクメンよ、さようなら」
ちょっと奇抜な奥さまと元気な息子さん達とのユーモラスなエピソードが大人気!ツイッター界随一の恐(愛)妻家5歳(嫁公認アカウント)さんのコラム!
ご自身も子育ての担い手である5歳さんが語る、「イクメン」の今後。子育てに積極的に参加する良きパパという意味で広まった「イクメン」ですが、最近はあまり耳にしなくなった気が…。
第1章 「イクメン」という言葉
「イクメン」が流行語大賞に選ばれた2010年。授賞式では、当時4児の父として産休を取ったタレントのつるの剛士さんがこんなコメントを残しています。
「自分の口からイクメンと発したことはないのですが、男性が育児休暇を取ることが共感をいただいて大変うれしく思う。育児休暇が普通になって、いい意味でイクメンという言葉が消えていけばいいと思う」
この言葉を今思い返してみると、いろいろなことを考えさせられてしまう。
「イクメン」という言葉が日本に誕生してから9年が経ちます。
つるのさんが「いい意味でイクメンという言葉が消えればいいと思う」と言っていましたが、ネットで「イクメン」と検索すると、こんな言葉が続きます。。。
「イクメン 嫌い」「イクメン 気持ち悪い」「イクメン アピール男」
「イクメン 違和感」「イクメンって言葉が嫌い」「自称 イクメン むかつく」
どうしてこうなった!?
「イクメン」という言葉がすっかり親の敵みたいになっちゃってます。
たしかに、言わんとすることはわかります。今までお母さんたちが当たり前のようにやってきたことを、パパが少し手伝ったくらいで「イクメンわっしょい!!」と社会全体で盛り上がっていたら、女性たちは「自称 イクメン むかつく」ってなりますよね。
ですが、実は男性も「イクメン」には最初からなんとなく違和感を感じていたと思います。僕の周りで、子育てを積極的にやっている友達が「アイアム イクメン!」と言っているのは見たことがありません。9年前のつるのさんも「自分の口からイクメンと発したことはないのですが」とちゃんと断りを入れているんですよね。この言葉が使われ出した頃から、男が自分で「イクメン」と言うことには抵抗があったということです。だから、「自称イクメン」って実は最初からこの世にいないんじゃないかな、、、なんて思ったりもしています(もしいたとしたらごめんなさい)。
余談ではありますが、僕も子育てや家事は結構やる、いわゆるイクメンです。
「イクメンね~」と一番言ってくるのは50~60代のおばちゃんでした。割と近所付き合いもちゃんとやるタイプのイクメンだったので、保育園の送り迎えとか、公園で遊んでいるときとか、買い物帰りとか、ご近所のおばちゃんにあいさつするたびに「イクメンね~」と言われていました。その後に必ずと言っていいほど「私たちが子育てしていた時はそういうの全然なかったわよ、今の若い人はえらいわね~」と言われました。団塊世代のおばちゃん達の「お父さんも子育てしてくれたら助かったのに。。。」という気持ち&願いが、イクメン時代到来の後押しをしたんじゃないかなと密かに思っています。上の世代の「もっとこうなったらいいのに」っていう思いが、ちゃんと引き継がれているのです。
第2章 「イクメン」が変えた男の意識
「イクメン」という言葉の登場で、男性の意識は確実に変わっていきます。
「イクメン」が広がり出したときの最初の意識は「父親が育児に参加する」というものでした。しかし、今では「育児は父親、母親が一緒にやるもの」という考え方に変化してきたのです。そして、この「子育て=母親」から「一緒に育てる」という時代の変わり目にクッション役として登場したのが「イクメン」だったのだと思います。「イクメン」とは誰かを指すものではなく、日本の子育てに対する意識を変える途中段階で必要な言葉だったのです。「イクメン現象」と言ってもいいと思います。
第3章 次に変わるべきは社会だ!
しかし、せっかく芽生えた「一緒に育てる」の意識に社会が追いついていかないのが現状です。
年々、少しずつ上がってきている男性の育児休暇の取得率もやっと5%(2017年度)になったというところなのです。
「育児休暇が普通になって、いい意味でイクメンという言葉が消えていけばいいと思う」
育児休暇の取得は全然普通になっていませんが、「イクメン」という言葉はこの9年で役目を果たし、消えていこうとしています。100%いい形で消えることができるのかといえば、もちろん課題も残っていますが、まずは意識から変わり、そして社会が変わるのだと思います。それこそ、おばちゃん達が次世代に託した願いが、今こうして実現しているのです。今僕らが感じている問題点を忘れなければ、次の世代では解消される可能性が高いかもしれません。
それこそ、息子たちが見ている僕らの姿は、彼らが将来子育てをすることになった時に見本として思い出されるはずなんです。そのつもりで日々接していかなくてはいけないわけです。世の中を一気に変えることなんて到底できないけど、自分の半径5mでできることはきっとあります。出産、育児で困っている人がいれば、何か助けられる事があるはず。妊婦さんに席を譲ったり、職場で育児休暇を取る人がいればカバーしたり、育児で寝不足の人に労いの言葉を掛けてあげることもできます。直接的に何かできなくても、例えば選挙で子育て支援の政策をしっかり打ち出している候補者に投票することだって子育て応援になりますし、納税だって立派な支援なんですよね。
父親が個人でイクメンを目指す時代は終わりました。
これから目指すべきは、社会全体のシステムのイクメン化です。
そして、その先に本当の意味で「イクメン」という言葉が消える世界が待っているのです。