育児 × 介護 = “戦略的”二世帯同居!への道 Step28:「どうする2人目?同居世帯の家族計画」
二世帯同居生活にも慣れはじめた甘木一家。義父母と若夫婦の世代差に発生する常識のギャップや生活習慣、子育て意識の違い……。さまざまな壁が立ちはだかりながらも、譲歩しあい、ときにはお互いの配偶者に愚痴をきいてもらったりしながら、(比較的)穏やかに同居生活を送っていました。
同居を決意したときには1歳になったばかりだった息子も、気づけばもうすぐ3歳。この時期、私たち若夫婦は、ある問題に直面していました。それは……
2人目の子供、どうする?という、いわゆる「家族計画」についてです。
できれば子どもは2人ほしいね というのが、もともと私たち夫婦の認識でした。かといって、何が何でも!というほど強い願望があったわけではありません。1人目をすんなり授かったので、そのうち2人目も……とぼんやり考えていたのです。
しかし予想に反しなかなか授かることはなく、いつの間にか二世帯同居を始めて1年を迎えようとしていました。
今思えば、第一子である息子が乳児の頃、私は完全に育児ノイローゼ状態でした。息子は新生児の時期から、寝ない・食べない・病気がちと比較的育てにくいタイプだったことに加え、旦那は多忙で不在がちで、初めての乳児育児はいわゆるワンオペ状態。そんな日々は着々と、私の脆弱なメンタルを蝕んでいったのです。毎日眼をどんより曇らせ、疲労と寝不足で重い身体を引きずりながら過ごし、かわいい盛りのはずの我が子の生後半年あたりまでの記憶がほとんどないほどの状態でした。
そんな事情もまた、しばしば育児の手助けをしてくれた義父母との同居を決意する、大きな後押しとなっていました。
同居したからにはもう大丈夫。2人目が生まれても育てていける……。と思う気持ちは確かにありました。また、年の差夫婦の私たちは夫の年齢を考えると、あまりのんびりもしていられません。「2人目不妊」という言葉をネットでチラホラと見かけるようになり、焦りも感じないではありませんでしたが、かといって不妊治療に踏み切るほどの強い気持ち(と予算)があるか?と自問すると、それほどでもないような気がします。
いろいろと考えた結果「今年のうちに授からなかったら、そういう運命なのだと受け入れて、息子をひとりっ子として育てよう」と決めました。
そんなわけで家族計画について思い悩む日々からは解放された私たち夫婦でしたが、義父母はまた別の方向に気を揉んでいたようです。
ある日、改まった様子の義母に呼び止められました。めずらしく歯切れの悪い調子で、私に向かってこう切り出します。
「ねえ、サカヱさん達、2人目のことはどうなってるの……?」
(おっと、これはもしかしてSNSなどでよく聞く、義父母からのはやく2人目産め攻撃というやつか……?)
今まで言われたことがなかっただけに、思いがけない話題にやや身構えます。しかし義母を見ると、どうも気まずい様子で、嫁いびりをする姑の調子ではなさそうです。
「そうですね、自然にできればいいのですが、授かりものなので無理ならひとりっ子でもいいかなと思っています」
「そう?もしかして……私たちがいるから、捗らないんじゃない?」
「はかどる?」
「だから、私たちがひとつ屋根の下にいるから……」
……なるほど!
義母の言わんとしているところをようやく察し、義母と私はふたりで赤面しました。
要するに義母は、親世帯と一緒に住んでいるから、2人目の子づくり(!)が思うように捗らないのではないか……そのせいで私たち夫婦は、2人目がほしいのにできないのではないか……と、心配していたというのです。
今思えば、そんな夫婦の事情にまで踏み入ってこられるのも余計なお世話だという気もしないでもないですが、義母があまりに真剣な様子なので、不思議と怒りは沸きませんでした。
怒りの代わりに激しい羞恥と焦りに襲われた私は思わず
「いえ!大丈夫です!その点については!とくに問題なく遂行しております!」
と、戦況を報告する兵士のような口調で答えたのでした。
この件で、あらためて二世帯同居の家族計画の難しさを実感することとなりました。ただでさえオープンにしづらい話題でもあり、夫婦間ですらきちんと話し合うことが難しいカップルも珍しくないでしょう。ましてや義理の両親に家族計画の進捗状況を赤裸々に報告できる人は、滅多にいないと思います。
しかし、二世帯がひとつ屋根の下に住んでいる限り、子供がもう1人増えるかどうか、増えるならばいつごろか、というのは、家族にとって決して他人事ではいられない、大きな問題です。
余計なお世話です。夫婦のプライバシーに口を挟まないで!と言うのは簡単です。しかし、余計な詮索を避けたいならなおのこと、家族計画については夫婦だけで完結するべきではないと思います。
今現在の若夫婦の考えや、先の見通しなどをきちんと伝えておくことで、親世帯もいらぬ想像を膨らませずに済み、将来への心構えができるのではないでしょうか。……と、義父母に思いがけず心配させてしまった反省からそう思います。
それにしても、普段はハツラツとして勢いのいい義母の、あのときの歯切れの悪い様子を思い出すたびに、おかしくてたまらない私です。
今回は、我が家の家族計画の反省点についてのお話でした。
この後の顛末は、また回を改めて綴りたいと思います。ぜひとも楽しみにお待ちください!