育児 × 介護 = “戦略的”二世帯同居!への道 Step27:「二世帯同居の子育てハック~乳幼児編~」

2019/03/14 UPDATE

二世帯同居を始めた老夫婦と若夫婦。そして、2歳の幼児がひとり。
「子育てについての世代間のスレ違い」はよく言われる問題ですが、もちろん我が家でも毎日のようにありました。
「歩行器はいらないの?」「早めに英語を習わせたら?」「ママが留守の間にアイスクリームあげちゃった!」
こういった勝手な文言が義母の口から発せられるたびに過去の私は頭を悩ませ、ときには「ふざけんな!」と心の中で毒づいてもきたのですが、同居から10年以上経った今でも何とかかんとか、2人の子どもを無事に育てています。そんな経験を通して「今思えばこれがよかったのかな?」と感じる、スレ違いへの対処法を綴っていきたいと思います。


■祖父母世代の子育てノウハウ、今では通用しない問題
 → 否定するのではなく一緒に学ぶ


「新生児の頃から風呂上りに白湯を飲ませる」「果汁は生後2カ月から」「離乳食は親が噛み砕いたものをあげる」
これらはすべて数十年前には子育ての常識とされていたことです。当時子育てをしていた祖父母世代には当たり前でも、現代では効果が否定されていること、有害ですらあると判明したこともたくさんあります。
祖父母世代だって「孫育て」意識を高く持って、きちんと勉強して知識をアップデートしている方もたくさんいます。そうでなくとも「自分たちの若いころとは子育ての方法が違う、昔のやり方を押し付けると子世帯から嫌われ叱られる」という感覚は多かれ少なかれ、持っておられる方が大半です。
しかし、中高年になってから、身に染みついた常識を一朝一夕に変えられないのは当たり前。まして、いくつになってもかわいい自分の子どもが孫を産み、育てるのに奮闘している姿を見ると、子育ての先輩として手助けしてやりたくなり、つい昔のやり方を持ち出して……子世帯とトラブルになるわけです。

こんなとき、できる限り波風を立てず、しかしきちんと子どもを守るために子世帯ができることはというと「現代の知識を伝えるとともに、祖父母世代の感情は否定しない」に尽きると思います。自分が信じてきたことを「あなたのやり方は古いんです!今はそんなことしません!」と否定されてしまうと、頭でわかってはいても気持ちは納まらないものです。
私のおすすめは、「私の子供の頃もそうだったけど、今は違うんですって」戦法です。
「私も赤ちゃんのころは2カ月から果汁飲まされてたんです。でも最近ではアレルギーや虫歯の原因になることがわかって、早くから果汁をあげるのはダメなんだって小児科の先生に言われてびっくりしました!」
「私も歩行器に入っている写真があります。かわいいですよね~。でも事故も多くて、欧米だと販売禁止の国もあるんですって。ハイハイすると全身の発達にもいいらしいんです」
……というように、一度は祖父母の意見に寄り添い、自分たちもそう育てられたことを強調しつつ、現代ではそれはダメ!とハッキリ伝えるのです。
“祖父母(昔の育児)VS父母(現代の育児)”という対決構造には決してせず、昔の育児で育てた・育てられた私たち(祖父母と父母)が、新しい情報を一緒に取り入れていくという意識を家族で共有していくことが、スムーズな育児知識のアップデートの秘訣ではないかと思います。


■何度言っても親の意見を尊重してくれない問題
 →「いつもトイレをキレイにご利用いただきありがとうございます」論法

それでも古い常識を捨てようとしない、目を離したスキに勝手に食べ物を与えようとする、荒っぽいあやし方をする……など、困った祖父母世代の方も、ときにはいらっしゃいます。我が家の場合も、息子がまだ歩き出さないうちに勝手にアイスクリームを与えられていたことがありました。軽度とはいえ卵アレルギーがあるのに!思わず取り乱しながら責めると「アイスに卵は入っていないと思っていた」とまったく悪びれない様子で言われ、愕然とすると同時に、伝え方が充分でなかった自分自身の認識の甘さを改めて感じました。
そこで、
・大人の食べものは絶対に勝手に与えない
・初めての食べものは小児科の診察時間内に、必ず親が立ち会いのもとで与える
上記のルールを徹底すること。そして、私の伝え方が不十分だったことを伝えました。

アレルギーの怖さ、揺さぶられっこ症候群の実態など命にかかわる問題はなおさら、知っていて当たり前だと思わずに祖父母にもしっかりと伝えておく必要があります。それでも改めてもらえないようなら、子どもを守るため、やむを得ず祖父母から距離を置かなくてはならない場合も出てきます。
そこまで拗れる前に、何ができるでしょうか?私のおすすめは、軽いジャブでけん制をし、祖父母のプライドをくすぐっておくことです。
「知り合いの同居世帯が、何度言っても赤ちゃんに勝手に食べ物をあげるので、しかたなく別居することになったんですって。我が家はそんなことをしない、現代の育児に理解のあるおじいちゃんおばあちゃんで本当によかった」
ここまであからさまだと少々ワザとらしいのですが「我々世代の育児を理解しようとしてくれて嬉しい」というメッセージを伝え続けることで、祖父母世帯が「進歩的な、子世帯に嫌われない祖父母」であることに喜びを感じてくれるようになればしめたものです。
ちなみに我が家はというと少々度が過ぎてしまったのか、義父が「私たちが子育てしてたころはなかったけど、今はみんなこういうのをやるんでしょう?」と勝手に某・乳児向け早期英語教材の無料体験を申し込み、まったくその気がなかった子世帯とひと悶着…という事件がありました。
何ごとも、過ぎたるは及ばざるがごとし、ということでしょうか。


■身内からのクソリプは無視できない問題
 →言ったからには責任を持たせる


育児をしていると、身内からのいわゆる「クソリプ」に悩まされることも多々あります。
「どうしてこんなに泣くのかしら、お母さんの愛情不足?」「泣いてすぐ抱っこすると抱き癖がつくわよ」
……このふたつのセリフが同じ義母の口から出たとき、思わず自分の耳を疑ったものです。
おそらく義母にはまったく悪気はありません。ただそのとき頭に浮かんだことを気軽に口に出して、なんとなく育児に参加した気になっているだけなのです。しかし、こと子育てに関しては特に、こんな軽口でさえも母親の精神を多大に追い詰めます。それに気づいてもらうために私が義父母にとった戦法、それは「義父母を第三者でいさせない」ということです。
明らかに寝ぐずりしているだけなのに「どこか痛いから泣いてるんじゃないの?」と言われたら、「心配なので一緒に見てください」とお願いする。「言葉を喋るのが遅いんじゃないか」と言われたら、「何歳ころにどのくらい喋れば心配ないですか?一緒に本で調べてくれませんか?どこに相談すればいいと思いますか?」と畳みかける。要は、自分の言葉に責任をもってもらう ということです。
家族から気軽に放たれるこれらの言葉は、大した根拠はないことが大半です。深く考えずに口出しすると結論が出るまで付き合わされる。他人事ではいさせてくれない。幾度もの繰り返しで学習させることで、少しずつではありますが、ストレスフルな義父母の軽口も減っていったように思います。

育児は困難の連続です。まして祖父母世帯との人間関係も加わって、悩みが増えるのは当然です。
しかし子どもにとっては多様な価値観を持つ大人に囲まれ、たくさん可愛がられて育つことは決してマイナスにはなりえません。密室育児の難しさが問われる昨今、多くの大人の目と手がある多世代同居のメリットはますます大きくなっていくのではないでしょうか。
祖父母と父母がいがみ合う姿ではなく、協力して生活をうまく回していく姿を子どもに見せられるよう、今後も努力を重ねていければいいなと思う今日このごろです。

つかさちずる

イラスト・つかさちずる

娘との日々をブログ「むすメモ!」に綴ったりLINEスタンプを作ったりしている絵描き。
回転寿司とゲームをこよなく愛するアラサー。
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