5歳さん嫁非公認コラム Episode:41「嫁を変える事は出来ない」
ちょっと奇抜な奥さまと元気な息子さん達とのユーモラスなエピソードが大人気!ツイッター界随一の恐(愛)妻家5歳(嫁公認アカウント)さんのコラム!
幸せな結婚の後、最初に立ちはだかる壁は「自分と彼(彼女)は違う人間」というものかもしれません。それでも共に生きていかなきゃいけない夫婦には、こんな知恵が役に立つかも…!?
第1章 ヤバいヤツと結婚しちまった
結婚してつくづく、自分の性格が変わったなと思う。
というよりも、嫁によって変えられたなと思う。もっというと、嫁の性格に順応したというのが正しいと思う。
嫁には「僕の事を思い通りに動かしたい」と思っている節が多々見受けられるんだけど、ワガママだし、すぐ怒るし、言葉のバットで殴りかかってくるし、とにかくなりふりかまわず全力ストレートでボールを投げ込んでくる。
今となっては「よく僕にこんなにも剥き出しの感情を向けられるな」と感心するくらいなんだけど、結婚したての頃は「これはヤバいヤツと結婚しちまったな」と正直思った。もう、ガチンコプロレスって感じだったんです。
あの頃は、僕も若くて気力も体力もあったので「このワガママ娘の性格を直してやる!」と意気込んでいたのですが、それは無駄な抵抗というものでした。嫁の頑固さは筋金入りで、「決して自分は悪くない!」と思っているので、自分は一歩も動かずに僕を動かそうとする。本人はテコでも動きませんでした。
口喧嘩もよくしましたが、たとえ口で言い負かしても、はっきりいって意味がないんですよね。むしろ恨みを買うだけ。しかも、後から倍になって返ってくるし、何一ついい事がない。正論というものの無力さを痛感しました。
第2章 もう、嫁は変わらない
そんなやりとりが3年ほど続き、僕はある事にようやく気付いたのです。
「人は変わらない」
当初、僕としては嫁を正しい道に導こうとしていたわけですが、これだけ一緒に過ごしても、嫁は僕の思うようには変わりません。僕の根本的な考え方が間違っているのだなとわかったのです。ある意味、この時に僕の方が変わったんだと思います。
それからは、嫁の事をなるべく肯定するようにしました。「そのままでいいよ」「逆に面白いね」と声を掛け、批判する事をやめました。そもそも、自分の思う通りにはならないのですから、せめてニコニコと生活してくれたほうが良いと思ったのです。
嫁に変わる事を求めず、特に期待もせずに生活するようになると、僕の気持ちはすごく楽になりました。家族だけど、嫁と僕は違う人間なんですよね。考え方も、ペースも、正義も違うんですよ。
「人は変わらない、変えられるのは自分だけ」
そんな言葉をよく耳にしますが、その事をしみじみとわからせてくれたのが、僕の嫁でした。
第3章 期待しないことがもたらす、思わぬ恩恵
これは結婚生活だけに言える事ではなくて、もちろん普段の生活にも応用出来ます。
僕は嫁にだけではなく、例えば友達とか、仕事先で出会う人たちにもあまり期待しなくなりました。そうすると、失望する事が少なくなりました。むしろ、嫁に比べると世の中の人達の方が頑張ってくれるので、期待していない分、喜びが大きいのです。だって、みんな僕が期待していない分、想像以上の事をしてくれるんですもの!
一見すると、周りに一切期待をしない人間って冷たく見えますけど、それはきっと違って、逆に人に対しての喜びのハードルがめちゃくちゃ低くなるんですよね。僕は嫁と向き合って世界に期待をしなくなってからは、周りに対して自然と感謝の気持ちが湧くようになりました。
「え?こんな事をやってくれるの?」
「ここまでやってくれるの?」
「なんで僕が喜ぶ事をわかってくれるんだろ?」
「想像以上の仕上がりだ!すごい!」
プライベートでも仕事でも「ありがとう」の気持ちが止まらなくなる。そして、期待していないから悲しいとか、うまくいかないって事がなくなりました。すべての事が想像以上で、感動的なんです。しかも、「期待ハズレ」という概念がもう僕にはないんですよね。
そして、ついに嫁も変わりました。
僕の喜ぶ事や助かる事を、少しずつやってくれるようになったんです。北風と太陽という有名な童話がありますが、人はポカポカと暖めてあげる方が、時間は掛かるかもしれないけど、変わっていくのかもしれませんね。
人はなかなか変わらないけど、変わっていこうとする自発的な気持ちだってちゃんと持っているんですよね。僕はそこに少しだけ期待したいと思う。
結婚してもう8年。
いつも僕が嫁に合わせているつもりでしたが、嫁も僕と歩幅を合わせようと少し努力をしてくれている事を僕は嬉しく思う。